「ヤングマスター、師弟出馬。 往年のカンフー映画を彷彿とさせる、激アツ少年物語!」雄獅少年 ライオン少年 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ヤングマスター、師弟出馬。 往年のカンフー映画を彷彿とさせる、激アツ少年物語!
中国の田舎町を舞台に、獅子舞に情熱を燃やす少年たちの奮闘を描いた青春アクションアニメ。
少年たちに獅子舞を教える魚屋のオヤジ、チアンの日本語吹き替えを務めるのは『魔女の宅急便』『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの山寺宏一。
日本語吹き替え版主題歌を担当するのは『告白』『この世界の片隅に』で知られる女優/アーティストののん。
Filmarksさんのオンライン試写会に当選しましたので、鑑賞させていただきました!Filmarksさん、ありがとうございます♪
さて、昨今何かと話題を集める中国アニメ。
『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』(2019)の日本におけるヒットは記憶に新しいところ。
そんな中国からの新たな刺客が本作。扱う題材はまさかの獅子舞!
とはいえ、たむらけんじがネタで使っているアレではなく、「舞獅」という2人1組となって演舞を披露する、舞踊とカンフーが一体になったようなもの。
ジャッキー・チェン主演の映画『ヤングマスター 師弟出馬』(1980)に出てきたアレっすね。
舞い踊る獅子舞の姿に「おおっー!ジャッキーのアレやん😊」と思っていると、すかさず「ウォン・フェイホンの伝説は誰もが知っているだろう…」というナレーションが。おおっ、フェイホンといえば『酔拳』シリーズ(1978-1994)でお馴染みのカンフーマスター!酔拳だけでなく獅子舞の達人でもあったのか。ここでもまたジャッキー要素が。ジャッキー・ファンとして、開始1分でニヤニヤしちゃいました✨
お話の内容も、往年の香港映画を思い起こさせる熱血カンフーもの。「友情・努力・勝利」をそのまま映像化したかのような、超ど直球なスポコン映画となっています。
情熱はあるがひ弱な主人公、女好きなサル、大食漢なデブ、ダメ親父だけど舞踊の腕は一流の師匠。そして主人公が憧れるのは超一流の美少女獅子舞ダンサー。
カンフー映画や少年漫画にありがちな設定ですが、ベタだからこその強靭さがあり、とても安心して鑑賞することが出来ます♪
美女を観て鼻血を垂らすとか、デブが乗ってバイクが壊れるとか、そういうベタすぎるギャグも満載。この辺りも香港映画っぽくて懐かしい気持ちになりました😀
物語の面白さやキャラクターの魅力もさることながら、本作で最も特筆すべきはその映像美!
3Dアニメーションで描かれた光や水の表現、そして舞い踊る獅子舞のアクションがとにかく素晴らしいっ👍
キャラクターの日常芝居はあと一歩という感じだったのですが、背景やアクションの描写は世界最高レベルと言ってもよいのではないでしょうか!
いや、やっぱ中国アニメのレベルはどんどん高くなってるな…。
基本は超王道の物語なんですが、後半ある展開により映画のトーンがガラッと変わる。『おしん』(1983-1984)みたいな児童労働ものになっちゃって、正直「えぇ…こういうの求めて無かったんだけど…」と思っちゃった。
もちろんこの展開も終盤への前フリなんだけど、個人的には最初から最後まで熱血スポ根映画として貫徹して欲しかった。
あとこのシリアスな児童労働パート、時間の流れがなんかおかしい。
バリバリ働いていたように見えるけど、主人公が出稼ぎしていたのは予選会から本選までの間でしょう?それってどんなに長く見積もっても2〜3ヶ月くらいのもんじゃないの?かなり長い期間働いていたように見えたんだけど…。うーん、よくわからん。
時間の流れが変だといえば、主人公が獅子頭を取りに戻るシーン。アレ絶対間に合わないよね😅
あの風雲たけし城みたいなレース、一体何時間やってたんだよ…。
コミカルなノリやギャグは好きなんだけど、一点気になるのは本選で師匠が披露した『クレヨンしんちゃん』を思い起こさせるあのくだり。
それまでがかなりシリアスだったのに、急にくだらないギャグを挿入するもんだから、一体どういうテンションで鑑賞すれば良いのかよくわからなくなってしまった。
とまぁ、特に後半になってくると脚本のアラや杜撰なところがポツポツと出てくるのです。
そもそも獅子舞競技会ってなんだよ、って言いたくなるけど、ああいうのって中国では本当にあるのかしら?
とはいえ、かなり楽しくて燃える映画なことは間違いない。
カンフー映画好きやスポ根漫画ファンには是非とも鑑賞してもらいたい一作であります!!