劇場公開日 2022年11月11日

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あちらにいる鬼のレビュー・感想・評価

全70件中、41~60件目を表示

4.0「鬼手仏心」、いや「鬼心仏手」か。

2022年11月13日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

居るよなぁ、
特定の女性層を磁石のように引き付けるこの種の男性って。

この磁石はN極・S極のように更に二つの属性に分けられ、
片方はそれに気づかず、却って周囲をやきもきさせるタイプ、
もう片方は自己の魅力を判っていて、都合良く利用するタイプ。

本作の主人公『白木篤郎』が後者の好例。

虚言癖もあり、更に二重三重に不倫を重ねても罪悪感さえ持たず、
相手の自殺未遂にも感情を動かされることは無い。
あまつさえその後始末に妻をよこすくらいに。

加えて、自分の所有物と見做している間は、
著しく独占欲も強くなる。

一個の人間として見た時に、
まさに「クズ」と表現したくなるほど。

しかし、こうした男に限って
抜きんでた才能を持っており、彼の場合は小説の才。

そしてその魔性に魅せられてしまったのが『長内みはる』。
『篤郎』が妻帯者で娘もあることも知りながら
ずぶずぶと道ならぬ恋に溺れて行く。

本編は、そんな二人の馴れ初めから、
『篤郎』が亡くなるまでの約三十年を
時系列に沿って描いたもの。

中途、『みはる』の出家仏門入りにより、
肉体関係は清算されるものの、おそらく精神的な繋がりは、
彼の死まで続いたのだろう。

人は誰でも心の中に鬼が済んでいると言う。

鬼心が表出する・しないは夫々も、
自身では押し殺していて、傍目にはそう見えなくても
鬼をおさえきれない場合がある。

『篤郎』の妻『笙子』のケースがそれにあたるか。

不倫相手との清算を任され、
読みにくい原稿の清書をし、時としてゴーストライターともなる。
夫が何処で何をしているかを知っていながら、
けして離婚しようとはせず、
お釈迦様の掌上の『孫悟空』のように夫をあしらう。

しかし時として、やるせない感情が溢れ出す時があり、
そこはやはり人間らしさの体現なのだろう。

三人の主人公を演じる、『寺島しのぶ』『豊川悦司』『広末涼子』が
何れも出色。

その技量に頼った監督は、意図的に顔のアップの場面を多くし、
感情の動きを微細な変化で見せる。

時としての長回しにも十分に対応できる力量が
三人皆々素晴らしい。

わけても今回は、実際に髪を下ろしてまで取り組んだ『寺島しのぶ』の役作りに
女優としての意気を感じる。

〔キャタピラー(2010年)〕や〔ヴァイブレータ(2003年)〕にも驚かされたが
違う意味でカラダを張った彼女の凄みを改めて思い知る。

実際の『井上光晴』がどのような人物だったかは知らぬが、
今回演じた『豊川悦司』は同性から見ても随分と魅力的。

身勝手なのに変に憎めず、
女性の心理を読むことにたけている奔放な男を
軽々とモノしてみせる。

もっとも、身近にこんな人物が居たら、
世の男共は気が気ではなかろうが。

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ジュン一

4.0寺島しのぶの剃髪シーンは見所

2022年11月13日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

萌える

人気作家の長内みはる(寺島しのぶ)は作家・白木篤郎(豊川悦司)と講演をきっかけに知り合い、男女の仲になった。一方、白木の妻・笙子(広末涼子)は夫の奔放な女性関係を黙認することで夫婦生活を続けていた。しかしみはるにとって白木は体だけの関係にとどまらず、同じ小説家として、書くことを通してつながることで、かけがえのない存在となっていった。その後、みはるは白木との男女の関係を断つため出家し・・・という、ストーリー。

瀬戸内寂聴と井上光晴、井上の妻の3人がモデルの小説が原作らしいが、寺島しのぶが瀬戸内はるみにみえた。
特に寺島しのぶのリアル剃髪シーンは女優魂の凄さを感じた。
耐える妻役の広末涼子も素晴らしかった。
鬼とは自由奔放に好きになった女性を抱きまくった白木の事なんだろう。もちろん豊川悦司も良かった。
人の心を打つ作品を書こうとしたら、それなりの実経験が必要なのかも。芸のためなら女房も泣かす、っていう歌の歌詞が頭をよぎった。

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りあの

4.5久々に男と女の腐れ縁という業を描く日本📽️の秀作。主演二人が名演。特に寂聴さんが憑依したような寺島しのぶの演技には舌を巻く。男としては、鰻を食べながら涙する豊川悦司の表情に涙が溢れた。

2022年11月13日
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鑑賞方法:映画館

①戦後の日本映画の黄金時代に『浮雲』という、腐れ縁で繋がったどうしようもない一組の男女が流されて行く姿を描いた傑作がある。時代も背景も全く違うが、令和版『浮雲』というところか。
②最初に二人でタクシーに乗っているシーンで、白木がみはるの帯を誉める。これだけでこの後白木とみはるの間に男女の関係が生じることを暗示してそこはかとない官能が匂い立つ。運転する付き人も「またか」と思ったかどうか分からないが反応する。「帯を解く」ということが昔の日本でどういう意味を持っていたか知っている人にはわかるだろう。上手い導入部だ。さすが荒木晴彦の脚本。
③白木が不倫をする度に(しかもみはると関係しているときにも二重不倫をする)綿矢りさの『嫌いなら呼ぶなよ』に出てくる不倫男とそれを糾弾する女性達と一緒に糾弾するその夫達のことが思い起こされてならなかった。不倫男もどうしようもないナルシストで小狡い男ではあったが「自分はそういう人間だと自覚しているし、それをしないと自分ではないと思うので悪いこととは思わないし、だからどうしても止められない」というところはわかる気がした(私も世間の訳知り顔ってあまり好かんので)。一方、糾弾する側の妻とその夫達と同じように考える人達にとってはこの映画には拒絶反応を示すだろうけどなぁという事も。
④演出も大変しっかりしている。廣木隆一監督作品には『ヴァイブレータ』には感心したが(『ここは退屈、迎えに来て』もなかなか良かった)、最近は若者向けの映画ばかり撮っていてちょっと軽んじてました。見直した。しかし元ピンク映画・ポルノ映画の監督達ってみんな映画的演出が巧いというのは面白い。
⑤白木のモデルとなった井上光晴は、最近観て襲撃を受けた映画『地の群れ』の原作者だった。What a coincidence ! みはるが男としてだけではなく、同じ作家として一目置いていたのもわかる気がする。でもこういう人だったんだ。
⑥“どうしようもない男だけど愛しくて仕方がない”という気持ちは、ハッキリ言ってよくわかる。本当に“恋”をした人間には誰でもわかると思う。ただ、普通は世間とか他にも色んな事が気になって一歩を踏み出せない、一線を渡れない。しかし、みはるはその一線を易々と越える強さというか価値観がある。そして白木とは愛欲・情欲だけではなく、どうしても切れない糸という縁を持ってしまう。
それでも、いつかは切らなくてはならない、ということも理解している。そこで選んだ道が出家、理由として“どちらかが死ななければ終わらない。あなたには死んで欲しくない。だから私が死ぬの。出家って生きながら死ぬようなものでしょ。” 出家とは本来そういうものではないし、実際には他にも理由があったようですが、この📽️ではるみにそう言わせたのは、“それほど好きなのだ”ということを強調するため。
そして、鰻を一緒に食べながら、妻の「あの人は出家したからもう鰻は食べられないのね」という一言に嗚咽し泣き出す表情を撮し続けることで、白木も同じ気持ちだったことを観客に伝える映画的演出。
⑦寺島しのぶの演技は久々に日本映画で観た“これが演技”というもの。『愛の嵐』のダーク・ボガート、『アマデウス』のF・マーリー・エイブラハムや『愛と喝采の日々』のアン・バンクロフトが見せた演技と比肩出来るだろう。
⑧豊川悦司も“どうしようもない男”の可愛さや色気を漂わせながらしっかりした人物像造形を見せる。
⑨広末涼子は、さすがに寺島しのぶと豊川悦司の横では分が悪いが、白木の言葉を真に受けて家出して家に押しかけてきた勘違い女を白木が慌てふためきながら外に連れ出す一幕を横に平然とお茶を飲んでいるシーンはなかなかよかった。また、歳をとってからの演技もよろしい。
実は三者の中では一番難しい役柄でそれだけやりがいのある役なのだが、そう思い至ると、同じ様な題材の『火宅の人』で同じ立場の役を好演したいしだあゆみの凄さを今更ながら思い出してしまう。

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もーさん

5.0(特殊な事情もあり)積極的な減点もしにくいのも確か。

2022年11月12日
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今年328本目(合計603本目/今月(2022年11月度)15本目)。

まずこの映画はもとの小説があり、もとの小説内で、小説で登場するキャラクタが別の実在しているキャラクタを参照している、といったことがまず前提にあります。そして小説で描かれる内容の映画化ということなので、時代はだいぶ前、昭和になっちゃいますからね…。

 一応R15だから最低限「みちゃいけない人」は設定されているし、確かに描写が極端に偏っているなぁ…(R18よりというより、単に頻度の問題)、あるいは「現在の基準に照らすなら」道徳観がないなぁ…という部分は感じましたが、この点、特に多くの方も書かれていますが、道徳面というのは歴史や地方等で慣習によっても変わってきますし、「今の基準からみておかしい」とかというのは、それもそれで理解はしても、妥当な採点か?というとそれも難しく、「おそらく当時はこのような風習だったのだろう」という理解で見る必要があるし、それ以外の方法は無理なので、まぁ、確かに「うーん…」という部分はあるし、いわゆる「大人の営みのシーン」は多めでもあるのですが、元の小説には忠実である必要があるし、今の、ではなく、「当時の」道徳観で論じなきゃいけないという前提では、多くの方が書かれている「なんじゃこりゃ」の部分は理解はしても、その「当時の倫理観はそうであったのであろう」という前提では大きくは引けません。

 ラストはちょっと涙が…。
まぁ、「だいぶ」人を選ぶのは事実ですが、今週は結局「すずめ」がどんどん押していて来週はわかりませんが…マイナー作はどんどん放映回数が減ってしまいかねないので、興味がある方ならぜひどうぞ。

 確かに気になる点はあるものの「当時の道徳観がわからない以上、現在の道徳観を用いて減点する」というのは著しく正義に反しますし、常識的に見れば(ある程度どうかな…と思う点はあっても、同じ日本であるのであるから)わかるということも踏まえて、あえて私は減点なし、にしました。

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yukispica

3.5長生きする秘訣がここにありました‼️❓

2022年11月12日
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私事ですが、三十年ほど前、瀬戸内寂聴氏に仕事で講演を依頼しました。
高齢者の生きがい、と題して、二時間で百万円、恋愛それも性愛の話をされました、どんな依頼でもその話をされるようです、もちろん小説もそれオンリー。
事前に、彼女のことを調べたら、生き方もそれオンリーでした。
その目的のために、パワハラ、セクハラ、不倫などやりたい放題、それで文壇から批判され、出家を隠れ蓑にして、生き返りました、彼女の口癖は、神も仏もいるもんか。
その当時、七十超えでしたが、テカテカと輝き皺一つありません。
この映画を観て、こんな人が長生きするんだ、そう思う。
こんな人の犠牲になる我々凡人は、死ぬ気で生きるんじゃ無くて、殺す気で生きないといかん、つくづくそう思います。
凡人に生き方を教えてくれる映画、是非。

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アサシン5

4.5凄く愛情に溢れた映画でした。

2022年11月12日
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泣ける

悲しい

みはるさんのエンディングの涙について考えてみた。

どうしようもない人だけど、愛おしくて、愛おしくてしょうがない、いっそ死んで欲しいって劇中で言ってたみはるさん。

エンディングの涙はようやく自分の思い通りになった喜びか、それでもやっぱり生きていて欲しかったと願う悲しみか、それが綯交ぜになったあの表情、寺島しのぶさんの演技、素晴らしかったですね。

余談ですが、男は弱くないと愛されないんだなと改めて感じました。

男は強くなければ生きてゆけない、優しくなければ生きている資格がないとレイモンド・チャンドラーは言いますが、女々しくて弱い人滴し(女誑し)の男であればあるほど愛されるんじゃないかと······

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ちゆう

3.0鬼って誰?あちらはどちら?

2022年11月12日
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どこまで実際にあった事なのかは分からないけど、昭和の時代って浮気オッケーだったのか?
豊悦演じる小説家の既婚者の白木篤郎と後に尼さんになる未婚の小説家長内みはるが、仕事で出会ったのをきっかけに愛人関係になる。それにしても白木めちゃくちゃモテる。出会った女達とやりまくりだ。そしてその事実を知っていながら責めもしない広末涼子演じる妻、笙子。とっても綺麗で可愛かったよ。何だか分からないのが、皆んな浮気しまくってる所。あら、日本にもフリーセックスの時代あったっけ?なんてね。かなり長い間、付き合っていた、みはるが突然出家する事に決める。出家するって死にながら生きるって事なのね。何じゃそれ?
この映画、瀬戸内寂聴さんの話なので主人公はみはるかと思ってたんだけど、白木の生き様の方がメインだった気がする。そしてラストはジジババになった3人が迎える運命。
誰かと対立する事もなく、ずっと楽しげなベッドシーンを観せられ続けた感じ。そこそこ楽しかったです。

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涼介

2.5ある意味ファンタジー

2022年11月12日
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2022年劇場鑑賞259本目。
超能力とか、宇宙人とか、そういう非日常の出来事を描く映画もファンタジーですが、こういった自分には全く起こり得ないこともファンタジーに感じます。
豊川悦司40歳も無理あったし、髪にちょっと白メッシュ入れた広末涼子がお婆さんというのも雑なメイクだなと。
まぁ妻と愛人が憎しみ合わずに済むために出家してバランスを取ったのだけは共感できましたが、なんともじっとりした作品でした。

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ガゾーサ

3.0タイトルの意味は……?

2022年11月12日
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単純

寝られる

アツロウ元気過ぎる。

とはいえ、そんな男に惹かれてしまう時もあるんでしょうね

あんまり共感できる事無かったですけど笑

時代も時代だったので

そんな無茶苦茶も通ってしまってたんですかね?

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BAMBi

3.5舞台挨拶鑑賞

2022年11月12日
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鑑賞方法:映画館

MCの人がとても上手でした。

白木さんが主人公ですね。奥さんは、とてもたいへんなのに笑顔を絶さなかったことはスゴいです。
瀬戸内寂聴さんのロマンスですね。
鬼は誰? わかりませんでした。

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かん

2.0未だ行ならず

2022年11月12日
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163本目。
ブラックパンサー観ようと思ったけど、長さに躊躇し、こっちにしたけど、ブラックパンサーより、ちょっと短いだけだけど、まあいっかと。
これも作家の映画で、この方達の考える事は特殊過ぎて分からない。
で、あの方がモデルになってるのも知ってたし、どういう人生を歩んだかも、何となく把握。
波乱万丈なんだろうけど、出会う前が描かれてないから、それでチャラなのかなと思ってしまうし、大人の映画なのかと思うけど、ちょっと自分には思うけど、お前もいい年だろうと、自分にツッコミ。
まあ面倒な事は避けるし、考えない主義だから、俺には向いてない作品かな。
でも最後に少しでも、幸せな気分で劇場を後に出来ればと思ったけど、そういう感じでもない。
未だ行ならずです。

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ひで

1.0お坊さんって肉や魚を食べられないっていうけど、鰻、食べられないのね。

2022年11月12日
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鑑賞方法:映画館

ダメだ。共感できないまま終わってしまった。白木と言う、自分の罪業に一切の後悔をもたないろくでなしに溺れた、みはる。そのみはるも、まずまずのクズにしか見えない。愛という言葉をつかえば、なんでも許されるとでも思っている開き直りが、自分には耐えられない。
他人の物(旦那という意味で)を好きになってしまうことを責めたりしない。それを欲することも仕方がない。「不倫はいけないこと」は理解しているけど、それが人間だとも理解している。だけど、そういう関係になってしまう時でさえ、一抹の負い目を感じるものではないか。しかも、出家してさえも、愛欲を捨てきれない未練がましさ。そしてその一連の二人の行動を赦す妻の、"ずるさ"。世の中にこういう関係があることを否定はしない。愛は溺れるものだし。だけど、さもそれを美しいものと、世間に公にして憚らない破廉恥さに、共感の欠片も湧いてこない。鰻?お前ら、好きなだけ食っとけよ、って思った。

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栗太郎

3.5【性に奔放で、思う存分に生きた男女の作家の関係性の変遷を描いた作品。今作を観ると、改めて寺島しのぶさんと、豊川悦司さん及び広末涼子さんの凄さを感じた作品である。結局女性が一番強いのであるなあ・・。】

2022年11月11日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー ご存じの取り、今作で描かれるみはるは、情念でペンを取ると言われた故、瀬戸内寂聴さんであり、白木は、晩年まで女好きで知られ、数々の女性と同衾したと言われる故、井上光晴である。
  それにしても、白木の妻(広末涼子)を含めて、凄い濃密な関係性である。-

◆感想

・今作では、男女のSEXシーンが多数描かれているが、殆どのシーンで、猥雑感はない。
みはると、白木が性欲を満たすためにSEXを行っているわけではないからであろう。
二人は、人としての繋がりを身体を重ね、相手の体温、重みを感じる事で、得ようとしたのであろう。

・白木の妻が、夫の浮気を知りながらも平静を保っている姿。常人には俄かには理解出来ないが、白木が妻の文才を買っていた事に、自分の存在意義を持っていたのだろうと、勝手に推察する。この辺りの微妙な心の機微を、広末さんが絶妙な表情で演じている。

・だが、みはるは”このままだと、情念及び白木の家庭を壊しかねない”と感じ、出家するシーン。前段階でみはるの髪を白木が風呂で洗ってあげるシーン。
この二つのシーンは今作では、胆のしーんである。
”女性の髪を優しく洗ってあげる男性って、魅力的ではないだろうか”
私は、無いです・・。

・そして、総てを察して白木の行動を赦す、白木の妻。
彼女はみはるの剃髪式を知り、”貴方が行ってあげた方がいいわ・・。”と言う。
その後、二人は馴染の鰻屋で鰻を食べるのだが、妻が”もう、あの人は食べられないのね‥。”と言う言葉を聞き、涙を流す白木の姿。
 豊川悦司さんの畢生の演技であると思ったシーンである。

・十数年が過ぎ、臨終が近い病院のベッドに横たわる、白木の脚を出家したみはると、妻が揉むシーンも印象的である。正に、二人は、同士ではないだろうか・・。

<今作は、赦されざる不倫をどのように捉えるかが、評価の分かれ目であろう。
 私は、不倫は許されざる行為と思っているが、実際に井上光晴と、瀬戸内寂聴氏は、今作で描かれた行動を取っている。
 女性がどう感じるかは分からないが、男から見ると叱られるのは重々承知の上で”アレだけ、好きな事をして、最後は愛する二人の女性に看取られた白木って、何とも幸せな男だなあと”感じた作品であるとともに、結局強いのは女性なんだよなあ、と思った作品でもある。
 あ、勿論、私は家人一筋である・・。>

■2022年11月12日 追記
 ・イロイロと考えて(時代状況も鑑みて)、評点を4.0から3.5に変更しました。悪しからず。
 ・レビューに大きな瑕疵がありました。御指摘頂いた方々、ありがとうございました。

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NOBU

3.5本当の主役は…

2022年11月11日
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荒野さんの小説とても繊細で好きです。
今回は親の不倫関係を娘が描くという難題に取り組まれ、小説家の方は世の中のシキタリなど超越したところで書かれているのだな、と改めて思いました。

寂聴さんの人物像に関しては、熱狂的なファンもいながら、仏を冒涜してるとか、自分のしたことを棚に上げて他人に指南できるのか、など一定のアンチの人もいますね。
この映画で、出家した動機は不倫関係を清算したいため、となってますが、それでまたアンチが増えそうです。例え最初の動機がそうであれ、出家前に少しは仏教の勉強をされたのではないか。また出家後も修行の様子が一切無く、彼女の説法に心酔している方々はどう思われたのかなと、少し気になりました。
(井上さんの談話で、寂聴さんご自身も不倫問題だけでは無く、何故出家したのか判然としないとのことでした。更年期も関係あったかもっと。映画でもその場面がありました。)。
どなたかも仰っていましたが、そこを深掘りしないのは、この映画の主役は寂聴さんでなく、井上さんのお母様だったということでしょうか。それで何となく腑に落ちました。

トヨエツさんの好演が際立ってました。

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ちゃっぴー

1.5ただただ酷い

2022年11月10日
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低知能な脚本と俳優陣の演技。

文学的要素が全くなくなってしまって、原作が大なし。
なんだろう。コレやる意味あるのだろうか?

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ビビ

5.0三つ巴の鬼

2022年10月27日
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鑑賞方法:試写会

決して不倫を擁護する映画ではないですが、このタイミングでこの映画を作った意味を考えると、かなり攻めた問題作だと思えます。
性や倫理から解放された愛の選択であり、
文学の犠牲者への弔いでもあると感じました。

アップの表情で語るシーンが多く、それに応える役者がまたすごい。
ガッツリ演技を堪能しました。
素晴らしいシーンの数々は予告編としても切り取られています。
風呂のシーンには感情が掻き乱されて泣けました。
そして、アップではない海辺の後ろ姿。
むしろここのロングショットを活かす為にアップを多用していたのか!と思えるほど。
ぜひご堪能いただきたい。

でも、一番のお気に入りは自転車の二人乗りでなびくスカート!
ドレープが計算されている衣装で、これまでの相手には感じなかった心のざわめきが表現されていました。
ここに至るまでの出会いのシーンがまた素晴らしい。

白木とその妻の笙子と長内は同類。
愛と快楽の狭間で人を傷つけたり自分が傷つけられたり…その体験から絞り出す珠玉の一編の為なら、どんな犠牲も厭わない。
生身の人間同士の業に身を投じながら、主観と客観に脚色を加え小説として昇華させる。
全てはその為だけに。
文学に魅了され、人の心を無くした三つ巴の鬼に感じました。

荒井晴彦さんの脚本は人間の性と業を真正面から描いていると感じます。
いつも、愛だけに収まらないセックスシーンが胸を打ちます。
孤独な心の癒しや慰めだったり、自己肯定だったり現実逃避だったり。そして時には闘いだったり。
更に本作では歌がキーポイントになっていて、当時の空気感を色濃く表すと同時に、
現代の風潮へのアンチテーゼにもなっていたと感じます。
ラストシーンも歌っていたのでは??と思うのですが。いかがでしょうか?
もし歌っていたのだとしたら、不要だからカットしたのでしょうが、ちょっと聞いてみたかったです。春歌だったらすごいな。

あと、音楽にすごく違和感があるシーンがいくつもあったのですが、重くなりすぎないように逆張りにした…とか??
意味があってその曲にしたと思うので、引っかかりました。

#あちらにいる鬼

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shiron

2.0これ、、誰得の映画??

2022年10月17日
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鑑賞方法:試写会

寝られる

初めてオンライン試写会で映画を見せてもらった。
前知識なしの状態で見た。瀬戸内寂聴さんがどんな人かなどはほぼ知らず、“瀬戸内寂聴さん=なんでかは知らないけどなんか有名な女のお坊さん”くらいにしか認知してなかった。
オンライン試写会、感想を投稿する前提での視聴とのことで、催促のメールが来るので感想一応書くけど、自分の感想を見た誰かがこの映画を見たい!って思わせるようなこと書ける自信が全くない。これだけは最初に断らせて欲しい。私の今の人生経験値がこの映画を見るのに足りな過ぎるだけなのかもしれない。でも自分ではどうしようもできないので、申し訳ないけどこのまま書いていくことにする。
まず、登場人物がみんなクズだった。なんで??ってくらい。不倫とかが今よりも許されるというか、黙認されてた時代背景なのかもだけど、普通に見てて気分悪かったし、見るに耐えなくて途中で見るのやめようかなって何回も思った。
瀬戸内寂聴さんのことよく知らなかった私が見て、こんな人だったのかってドン引きだったし、知らない方が良かったとすら思った。だから、瀬戸内寂聴さんが亡くなったあとの今、その人の評価を下げるかも知れないこの映画を公開していいのかな。少なからず私みたいに感じる人はいるだろうし、この映画は誰得なんだろうって本当に疑問だった。
俳優さんたちは完全にクズな人物を違和感なく演じてたって意味で上手いんだと思うけど、仕事選んだ方がいいんじゃない?、が素直な感想だな。この映画で、実際に髪の毛剃って体張ってるって言われてもなぁ、ちょっとついていけないかな。
同世代の人にはお勧めできないです。しがない女大学生の感想でした。

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流星の水菜

まじ、しょうもな

2022年10月16日
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ただ、だらしない恋愛

こんなのを芸術とは呼ばない

こんなのを出家者、尼さんとは呼ばない

ただの色情地獄です。

美しくもなんともない。

以上

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もふもふ

5.0良かった

2022年10月16日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

最初、あまりにも破天荒な白木篤郎の振る舞いに呆れ果てましたが、豊川悦司さんが演じることによって色気があるチャーミングな人に見えてきました。

激しさや複雑な思いを胸に秘めながらも、お互いの存在をリスペクトしている妻も愛人も素敵でした。
同じ人を愛した事で独占する事は叶わなかったけれど、そこまで深く愛せた事は羨ましくもありました。

夫の理不尽な振る舞いに耐え忍び、大きな愛で包む妻を演じた広末涼子さんも素敵でしたし、激しい感情を自分でも持て余している様な寂聴さん演じる寺島しのぶさんも素敵でした。
特に、尼になる為に髪を剃るシーンは寂聴さんと寺島しのぶさんが完全に重なって涙が出てきました。

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ひろみん

4.5瀬戸内寂聴の出家前の恋愛が赤裸々に

2022年10月16日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

全く(タイトルの事は)知らず視聴。瀬戸内寂聴みたいだなーと思って観終わってから調べたら、、、
やはりそうでしたか。

なんとも切ない、昭和の、大人の恋愛物語でした。
好き放題に野良犬のようにあちこちで浮気する旦那(豊川さん)、それを辛抱強く耐える奥さん(広末さん)は凄いし、現代ではあり得ない神のような女性でした。
主人公であり浮気相手(瀬戸内寂聴さんがモデル)の作家(寺島さん)もまた悲しかった。
最後はケジメをつけるべく出家しお坊さんに。。。

最後は泣けました。。
奥さん、寂聴さん、皆んなでご飯食べるシーンや、二人で見送るシーン。
そしてタクシーの中の寺島さんの表情。→これにエンディングテーマ浜田真理子さんの恋ごころが加わり号泣でした→後を引く。オンライン視聴だった為、ラストシーンだけ10回はリピートしたと思います(笑)

この映画、本当にお勧めです。
是非色んな大人の方に観て欲しいです。

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ノブ様