「凄いなぁ…」あちらにいる鬼 まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
凄いなぁ…
寺島しのぶの「後妻業」を見たくて、間違えて「後妻業の女」を鑑賞。あらっ??大竹しのぶだった…。
それはそれで楽しみましたが、何となく諦めきれなくて、翌日気を取り直して「あちらにいる鬼」をチョイス。
寺島しのぶ→我が子を捨て、「家族とか家とか、そんなものどーでもいい」とハッキリ清々しいまでに言ってのけ、そして小説を書き。不倫し。「男を清算できないから」という理由で出家。
豊川悦司→妄想と虚言癖(自分の嘘の生い立ちをまるで本当のように語る)、姉の方と付き合って姉が自殺したら妹と付き合って。女と見れば性交に勤しむ。
広末涼子→旦那(豊悦)の浮気相手が2回も子どもを堕ろしているのに、「ごめんなさいね」と言って金を渡しに病室へ行く。理由は「そうすることが自分にとっては一番簡単だったから」。ある意味それはごもっとも、それしかできまい。そして自分も他の男と浮気未遂。しかも恐ろしいのが、この人は旦那の不倫をネタに小説を書いている。世間的には旦那が書いていることになっていて、この夫婦はそれを共有しているのである。
す、凄いわ…なかなかこうは生きられない。
恐ろしい。こりゃ鬼だよ。3人とも鬼だぁ。
ぶっ飛んでるというかぶっ壊れてる。
寂聴さんは、本を出版し、精力的に講演会をして、99歳まで生きて、TVでは愛嬌たっぷりの顔を振りまいて、よく分厚い牛の肉塊(ステーキ笑)をジュージュー焼いて、ペロリと平らげていた。寂聴さんの話をみんなが有り難がって聞きたがるという、不思議なお人だった。個人的には、性に没入して生きた方というイメージしかない。
己の欲望に、ただ、ただ、忠実に生きたワガママ人間たちの話だったが、こんだけ好き勝手に生きても、意外とみんなでご飯食べたり出来るんだな〜と、そんな異次元な世界があるんだなという所が、大変興味深かった。
自分を含め、人間の業には虫唾が走るほどの嫌悪感と、諦念と、哀れさと、一抹のいとしさを感じるのだけど、命の燃やし方って、本当に人それぞれね…と思った。
広末涼子さんって、ただ可愛いくてちょっと変わってる、現在迷走中の人みたいなイメージだったけど、芝居したらこんな良い表情するんですね。知らなかったです。女優さんなんだなと認識を改めました。大変良かったです。広末涼子が一番良かったな。