「実写映画化の成功例として名を挙げたい作品」ゴールデンカムイ といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
実写映画化の成功例として名を挙げたい作品
私は原作未読です。でも、めちゃくちゃ楽しめました。
原作ファンの友人の感想も聞いたのですが、本作は原作の良さをしっかり活かし、大きな改変はほとんど無かったとのことでした。大迫力のアクションシーンや俳優陣の演技、圧倒的ロケーションなどは原作ファンの友人も納得のクオリティで、私のように原作未読の人も分かりやすく楽しめる内容になっていたと思います。原作ファンも原作未読者も、どちらも楽しめる作品と言うことで、漫画原作の実写映画としては大成功と言って差し支えないかと思います。
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日露戦争で戦果を上げ、どんなに傷ついても倒れないその姿から「不死身の杉元」の異名で呼ばれ恐れられていた杉元佐一(山崎賢人)。戦争が終わってからは砂金が採れると聞いて北海道に渡り、一攫千金を求めて放浪していた。そんな中、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊についての噂を聞きつける。
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正直めちゃくちゃ良かったです。
序盤にある日露戦争シーン、杉元の獅子奮迅の大活躍。めちゃくちゃ迫力のあるアクションシーンが素晴らしかった。実写劇場版の『るろうに剣心』を彷彿とさせるスピード感のあるアクションで序盤から世界観に引き込まれます。
キャラクター造形も良かった。
原作は未読ですが有名な作品なのでキャラクタービジュアルは知っていましたので、新しいキャラクターが登場するたびに「まんまじゃん!」って思いましたね。杉元佐一役に山崎賢人は合わない気がしていたんですが、実際に鑑賞してみると違和感が無い。役作りのために肉体改造をしたそうですが、その成果が出ていたと思います。また、アシリパ役の山田杏奈は幼さの残る顔立ちがイメージに合っていたと思いますし、白石役の矢本悠馬もキャラクターのイメージに合っていて一気に白石が私のお気に入りキャラになりました。
ストーリーも良かった。
原作は30巻以上続く漫画です。もちろんこれだけの長期連載漫画を一本の映画でまとめることは不可能ですので、原作のきりのいいところまでを映画化するか、映画オリジナルのエンディングを用意して強引に完結させるかのどちらかになるパターンが多いです。本作は原作を大きく改変はせず、漫画の3巻ぐらいまでの内容をまとめた前者のパターンですね。ストーリーがどうしても中途半端なところで終わるため不完全燃焼感が残ってしまいますが、原作の面白さはしっかり残りますし、原作未読の私のような人にも分かりやすいですし、原作ファンにも好感触です。
本作、漫画原作の実写映画化としては最高レベルの傑作だと思います。原作ファンの方も原作未読の方も、是非劇場でご覧になっていただきたいです。オススメです!!
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【以下、余談】
ちょうどこのレビュー執筆の時期(2024年1月末)、SNS上でとある漫画の実写ドラマについてネット上で大炎上が巻き起こっています。とある漫画が実写ドラマ化される際、原作者の意に反する改変が行われたことが原作者のSNS投稿によって判明し、ドラマの脚本家が批判を受け大炎上に発展。そのことに責任を感じてしまってか、最終的に原作者が自ら命を絶ってしまうという悲しい事件です。
これは私の中で「漫画原作の実写ドラマ化」というものに対する認識が大きく変わってしまうような事件でした。もともと私は原作を実写化するにあたって多少の改変は仕方ないと考えてはいましたが、この事件をきっかけに、そういった改変に対してもこれまで以上に厳しい目で見るようになる(なってしまう)気がします。