「北海道が舞台だからこそできた映画」ゴールデンカムイ チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
北海道が舞台だからこそできた映画
「るろうに剣心」然り、「キングダム」然り、最近は「お金をかけた有名漫画の実写化」が流行しているように感じる。本作もその類ではあるのだが、時々ある製作陣のお金を儲けようという魂胆が丸見えの作品ではなく、原作未読の人間にも十分楽しめる、予算をかけただけある力作だった。
まずアクションが凄いスケールでの撮影だった。日本は狭いのでアクション撮影に不向きだとも言われるが、本作は北海道での撮影なので、その強みを存分に活かした最高のカメラワークの連続。クマなどの動物は流石にCGだろうが、全く違和感なく画面に溶け込んでおり、真夜中の雪山での緊迫感は手に汗握るものがあった。
またアイヌ文化を知れるというのも本作の楽しみ方の一つだ。言語はもちろんのこと、アイヌの人の考え方や獲物の捕まえ方など知らないことがほとんどで、とても興味深く観れた。そして劇中に出てきたアイヌの知識が物語を展開させる上でも実際に組み込まれており、北海道を舞台にしている意味があったと思う。
原作未読の立場からの発言となるが、キャスティングも良かった。山崎賢人は「キングダム」に続いての本作なので、どんだけ不死身なんだよと思ってしまう(笑)。もはや「無敵の山崎」という称号を授けてもいいだろう(笑)。そして2番手の山田杏奈も良かった。二人のコンビネーションは抜群で、今後さらによいバディになっていくに違いない(シリーズ化する前提で話しています)。
あと、玉木宏と舘ひろしも最高だった。玉木宏が演じた鶴見はもはや狂気ともいえるほどの圧倒的な存在感で、杉元の頬に団子の串を刺した場面は強烈なインパクトがあった。舘ひろしに関しては佇まいがカッコよく、これから土方歳三がなにをするのかが気になって仕方ない。馬に乗っている姿、様になってたなぁ。
とりあえず続編は作られるはずなので、それまで楽しみに待ちたい。今回は原作のまだまだ序章の部分を映像化しているとのことだが、今後どのような物語が繰り広げられていくのか楽しみだ。