EO イーオーのレビュー・感想・評価
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映像は魅力的だがストーリーが心に響かない
詩情豊かな映像には思わず引き込まれる瞬間があるが、EOの放浪の旅からはあまり寓意や教訓のようなものが感じられず、動物の目を通して人間の本質を炙り出すような話にもなっていない。
サッカーチームにボコボコにされて瀕死の状態になっているはずのEOが、いつの間にか荷車を引いて働かされていたり、人間を蹴り殺した?EOが、次のシーンでは馬と一緒にトレーラーに乗せられたりと、エピソードとエピソードの繋がりの悪さも気になる。
EOを巡る物語のはずが、終盤ではEOとは関係のないところで話が進むため、エンディングでEOが迎える運命にも唐突感が否めない。
途中、ロボット犬が出てきたりして、結局、何が言いたいのかよく分からなかったのだが、「動物愛護」の名目で保護されたことから始まるEOの受難を描くことで、人間の偽善や身勝手さを糾弾したかったということなのだろうか?
おとぎ話は飛躍する
ごめんなさい。僕にはわからなかった。
イエジー・スコリモフスキ監督は今回が初鑑賞
『バルタザールどこへ行く』は未見(TSUTAYAにすら無いとは驚いた)
それが良くなかったのか、イマイチ流れに乗れなかった。
最初の動物愛護団体のいわゆる誰得運動は良かった。
動物のことなど微塵も考えてなく、ただ自分が信じる正義に酔いしれたいだけの偽善者であることは、その後のEOへの仕打ちから明白である。
次に、白馬と雑誌(?)の撮影をしている光景を見かける際も、結局人間は動物を都合の良いインテリアにしか思っていないということが伝わってくる。
この流れから「EOはこれからいろいろな善人や悪人と会うけれども、どいつもこいつも人間様が偉いというスタンスは自覚的であれ無自覚であれ同じで、そいつらの身勝手な行動によりEOはどんどん不幸になっていく」という話を想定したが、どうも微妙に違った。
サッカーチームのところまではその観点で見ると面白かったが、そこからどんどん人間の所業とEOの運命の関連性が希薄になっていったように感じた。
特にイザベル・ユペールが出てくるあたりでは、人間側の行動とは関係なくEOは自由に動けてしまう。
よってあのラストも「人間の身勝手さのしわ寄せを一身に受けた成れの果て」という感じがあまりせず、理不尽さや不条理さもさして感じなかった。
そのような憤りを感じさせることがこの作品の目指していたところだとは思うが、以上の理由により僕にはイマイチ響かなかった。
たらい回しの旅
イーオーにとって傍迷惑でしかない動物愛護団体による無駄な正義感から人間の愚かさをロバの目線で描く目的ですら定かではない旅、サーカス団は居心地の良い場所でカサンドラとの再会を待ち望んでいる、そんな寂しげな表情を見せるけれど、それですら人間側の勝手な考え方でしかない、仄々とした動物映画をイエジー・スコリモフスキが、そんな意外性を感じながら、危機感を煽るショッキングな映像描写から優雅で自然美溢れる映像とロバに癒されるだけの映画にはならない、人間が世界の中心で暴力が当たり前の日常でしかない。
イザベル・ユペールが登場してから別の映画が始まるようで短編にもならない本作との重要性も感じられない不思議な感覚、インスパイアされたロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』と比較しなければならないか、少しだけエミール・クストリッツァだったらどう撮っていただろう、と、関係無いけれど思ってみたり!?
人為的な被害者としてのメタ。
抵抗することも、文句を言うことも、ましてや自決することもできない無垢なロバが直面する困難な処遇。ロバでなくても多くの人間は心を痛めるだろう。その原因は、我々を代表する愚かな人間の所業。ロバを思想、多様性、民族、宗教、地球と置き換えることで、作品のスケールは無限の拡がりをみせる。沈鬱な気分のまま観終えた。
絶賛されるほどの共感は持てないけれど…
斬新?特異?悲哀?啓発?
ヤバイ、オモロくないかも・・・。いや、ヤバイ、オモシロすぎる・・・と思うものの、一気に落とされたー・・・といった率直な印象。
動物目線というには特段新しいわけでもないけれど、ロバ目線って・・・なぜか新鮮に感じたものの、明らかに人間が作り出したロバの気持ちにしか思えませんでした。だから、一瞬めっちゃ引いた感じで眺めていたのですが、展開がなかなか面白くて、ロバという選択肢はなかなか絶妙なのかもと面白みを感じ始めると、結構見入りましたが、まさかまさか・・・とおそれている間にバツンと暗闇で終わってしまった・・・という感じです。
難しくはないけれど、感情のもって行き方とかや思考が追いついていかないような、そんな難しさを感じる作品でした。
令和の子猫物語
EOにとっての人間
今みたかった映画
(バス遅れで15分見られていない部分があります)基本的に良作です。
今年149本目(合計800本目/今月(2023年5月度)6本目)。
映画館に「バス」で行くのって怖いですね…。地下鉄(大阪メトロ)を使うべきでした。
最初の15分ほどの鑑賞がまるまる抜けています。申し訳ありません。
で、ロバを主人公にするか、ロバ目線で見たとき「どうでいい」争いをしている人たち、各自を主人公にするかは微妙なところがありますが、ここはロバなのだろう、というところです。
「実は」本質的に考えれば、ロバでも馬でもウサギでも変わらず、ある人がもめているとき、第三者が見ているという状況があれば、そういう喧嘩って起きにくいのは確かに言えます(その代表例が監視カメラ)。
ちょっと名前を忘れたのですが、去年だったか2年前だったか、豚をテーマにして豚「しか出ない」(よって豚目線で進む)映画があったと思うのですが、テイスト的にはそれに似るところがあります。
見方としていろいろな解釈はできると思いますが、「どうでもいい言い争いはやめようよ」「その言い争い、見ている人いますよ」という警告的なもの(換言すれば、どうでもいい言い争いはするべきではないし、本質的な言い争いは自宅なりでちゃんと証拠を並べてするべき)ではなかろうか、というところです。
映画の作品の手法がこのように特殊な映画であるため、いわゆる動物愛護の論点も出てきますが、ちゃんとこのことについては記述があります(動物は傷つけていません)し、日本基準でみても概ね妥当だろうといったところです。
採点においては特に気になる点がなかったこと、また最初の15分の間を見られていないことなどこちら側の帰責性があることもあり、「便宜上の」フルスコアにしています(まさか最初の15分で極端に珍妙な描写ばかりということも考えづらい)。
人間社会の不条理な構造に一陣の棹さしても、 何の波風も立たず、
ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、
一頭のロバの目を通して人間のおかしさと愚かさを描いたドラマ。
人間社会の不条理な構造に一陣の棹さしても、
何の波風も立たず、
構造の目的に飲み込まれて消えて行く。
それは、ロバという獣であっても人間社会構造の一部で棲息しているからだろう。
そんな渇いた虚しさの中で生きて行けるのは、
愛してくれたカサンドラとの触れ合いが思い出があるからだろう。
それにしても、
シンプルなストーリーなのに、
複雑に凝った映像に、ケタタマシイ音響が作品の気鋭を見せるが、
兎馬の鈍重で優しさを損なわせた仕上げは如何なものか!?
^^
愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、
心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。
しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。
その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人らさまざまな善人や悪人との出会いを通し、
EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく。
放水が逆流するようにロバの潤んだ目には世界が、人間社会がどの様に写るんだろう、を想像してみて映像化してみました…みたいな?
①映画が終わりエンドクレジットの終わり頃に、もはや見飽きたくらいの「この映画ではいかなる動物も傷つけられてはいません」といういつもの文章が写されるが、監督はもしや皮肉としてこの映画を撮ったのではと思ったくらい。
映画ではそうかもしれないが現実世界ではどうだろう。
我々人間は動物の肉を食べなければ栄養に偏りが出るからどうしても動物を殺して肉を食べなければならない(私は、ヴィーガンとか菜食主義とかは胡散臭いと思う主義。だって植物にだって命があるし何も意識がないと思っているのは人間だけかも知れないし。)
人間(だけとは限らず自然界とはそういうものだ)とは所詮他の命の上に生を営んでいるもの。
②人間のおかしさ・愚かさを描いた映画は数限りなくあるとはいえ、前例があるにしてもロバ(どんくさい生き物と見なされる)の眼から見たものとして描かれるのは前代未聞だろう。
私程度の映画ファンレベル
最近、幾つかの作品に「目に付く」形で登場が話題(?)のロバ。ついには全編「ロバ目線」という本作『EO イーオー』は賞レースでもかなり話題になっていたこともあり、上映を楽しみにしていました。せっかくなので、トレーラーは勿論のこと、レビューサイトの評判も覗き見ることもせず臨んだわかですが、、、
観終わって、作品に対する複雑な思いのままレビューサイトを巡回(採点のみ確認)してみると、総合評価よりもレビュー付きの方の採点が高めです。判りやすいのはRotten Tomatoesで、TOMATOMETER(映画批評家)97%に対し、AUDIENCE SCORE(一般視聴者)67%。
そもそも、私、本作の監督(・脚本)のイエジー・スコリモフスキ作品は『イレブン・ミニッツ(16)』だけしか鑑賞しておらず、しかも、あまり高い評価を付けていません(正直、内容も忘れています)。ポーランドの「巨匠」と呼ばれ、カンヌの常連でもある監督について、おそらく私程度の映画ファンレベルでは理解しきれていないのでしょう。卑下するわけでなく、正直にそう思います。
物語は終始EOの目線で見ながらすすみます。あるきっかけで自分を愛してくれた女性の手を離れ、居場所を転々とします。作中において度々「動物愛護」が謳われますが、どこに行ってもEOにとって居心地が良さそうには見えません。なんなら偽善的とすら思いますし、「EO目線で見る人間」を観ている私たちは、人間が如何に滑稽で、身勝手で、愚かなことをしているのかを感じざるを得ません。
エンドロール中、Castに見る「EO」には6頭の名前がありましたが、そもそも作中で数頭ロバが画面内に映ると、どれがEOの見分けすら微妙です。そして、ロバって見た目可愛いし、力持ちで健気に働いて、もう嫌いになる余地ないくらいに思いますが、あの奇声だけはひきますね。確かに、夜中にジャングルの奥からあれが聞こえてきたら(他の映画からの引用)怖くてしょうがないw
と、脱線しまくって文字数稼ぎましたが、ご批判を恐れずにつければ、私の評価は「高め」につけても星2つ半でした。(なんか)すいません。
愛しのカサンドラ
サーカスで飼われていたロバのEOと、その周辺で絡む人や動物達の様子をみせるお話。
ヴロツワフ市の条例で動物愛護がなんちゃら言い出し、サーカスへの動物出演が禁じられたことで売られて始まっていくストーリー。
ロバの目を通してとはあるけれど、語ったり喋らせたりという描写はないし、EOの一人称視点は少々、ポーランドからイタリアへの放浪旅なんてありました?
どれだけ距離が離れているかわからないけれど、ポーランドの馬牧場で働かされて、今度は子供と触れ合う幸せそうなロバ牧場。
なんか人間今作模様というより動物模様?が多いのですかね…。
そして脱走して彷徨って波瀾万丈な旅が続いて行くけれど、気づけば間違いなくEOがその場にいない状況での、訳の判らないショートドラマが増えてませんか?終いにはどういう経緯でその牧場へ?
EOが絡んだ人や動物達をみせる群像劇ってことなんだろうけれど、動物の扱いに対する悲しさみたいなものがホンノ~リある程度で、自分には面白さが解らなかった。
不思議で、独創的で、刺激的で、美しい映画!
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