「美しい描写で表される苦いストーリー」EO イーオー jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい描写で表される苦いストーリー
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所属していたサーカス団が解散し、パフォーマンスの相棒である女性と離れ離れになってしまったロバが、望まぬまま様々な人と関わりながら放浪するといったストーリー。多くは説明せず、表情に乏しくつぶらな瞳のロバとの関係性を通して、関わる人間の性質を描写している。
最後に関わった貴族の息子の元にいれば、ロバは恐らく命を落とすことはなかったと思われる。しかし、大好きな相棒の元にはもう戻ることができないことを悟り、自らサラミになる選択をしたようにも見える。
序盤は愛らしく見えたロバが作品後半ではやや凛々しく、終盤では少しくたびれて小さくなったように見えた。演出によるものだと思っていたが、エンドロールによるとどうやら複数のロバがEOを演じていたとのことだった。
ストーリーのつなぎがやや荒く、展開に違和感を感じる部分がある。一方、大自然や町並みの中でロバのシルエットのみを映し出す映像、赤い光の点滅や短調の音楽でストーリーの転換を示唆する手法は面白いと感じた。
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