「人間社会の不条理な構造に一陣の棹さしても、 何の波風も立たず、」EO イーオー カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
人間社会の不条理な構造に一陣の棹さしても、 何の波風も立たず、
ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、
一頭のロバの目を通して人間のおかしさと愚かさを描いたドラマ。
人間社会の不条理な構造に一陣の棹さしても、
何の波風も立たず、
構造の目的に飲み込まれて消えて行く。
それは、ロバという獣であっても人間社会構造の一部で棲息しているからだろう。
そんな渇いた虚しさの中で生きて行けるのは、
愛してくれたカサンドラとの触れ合いが思い出があるからだろう。
それにしても、
シンプルなストーリーなのに、
複雑に凝った映像に、ケタタマシイ音響が作品の気鋭を見せるが、
兎馬の鈍重で優しさを損なわせた仕上げは如何なものか!?
^^
愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、
心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。
しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。
その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人らさまざまな善人や悪人との出会いを通し、
EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく。
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