別れる決心のレビュー・感想・評価
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情景ごと後を引く危ういもの同士のとりあわせ
本作はとにかく観ていてじれったくてしょうがない。
とっくのとうに取り調べの刑事と容疑者の関係から、男と女の精神状態になっているのに。
どこかで男として見られたい、女として見られたいと思うから、お互いの立場を忘れてしまう。
そこを奥手を装って、奇妙な均衡を保とうとするから、いらつくのである。
言ってしまえば、己の職務を忘れた刑事と夫殺しの容疑をのらりくらりとかわす、容疑者にすぎないのに。
でも、パク・チャヌクはそこを執拗に描くのである。
執着か愛着か、愛情か恋愛か、その微妙な揺れを描いてやまないのである。
そこに人間の本質が見えてくるかのように。
男を演じたパク・へイルは、「殺人の追憶」で演じた都会的な刑事がそのまま年取ったような危うさ。
女を演じたタン・ウェイは、「ラスト・コーション」の妖艶な女スパイさながらに、魔性の女の危うさ。
危ういもの同士のとりあわせは、いらつきとじれったさのなか、情景ごと後を引く。
ミステリーに見えた前半はおもしろかった。
そう感じたか方が多かったようですが、はじまってから
しばらくはミステリー仕立て、伏線かなという描写も
あって、その後の展開を楽しみに見てました。ところが、
途中から、いい年をして煮えきらない大人のラブストーリーの
様相に。よく知らないのですが、いわゆる韓流ラブストーリーって
こんな感じなんでしょうか? 昭和の日本映画の匂いが
ぷんぷんしてますね。しばらくは我慢してみてたのですが、
そこからは、ストーリーを追うのがめんどくさくなって、
映像を楽しんでました。もっと、ミステリーに振って欲しかったな。
五里霧中
岩山から転落した男の不審死事件。自殺か、他殺か…? 刑事のヘジュンは男の妻ソレに疑惑を抱くが、両者共に惹かれ合っていく…。
このようなストーリーやプロットは古今東西にある。例えば『氷の微笑』など。
それをどう二番煎じにならず見せるか。本作の監督はパク・チャヌク。ならば期待するのは過激なバイオレンスやエロスの描写。ましてやヒロインは『ラスト、コーション』のタン・ウェイだ。
刑事と容疑者の立場でありながら、禁断の関係へと深みにハマっていく…。度肝を抜いた『お嬢さん』の性描写再び…。
が、ある意味驚いた。チャヌクの作風でもあるバイオレンスもエロスもナシ。一体どうしたというのだ、チャヌク…!?
インタビューで、今回は必要なかっただけ、と、さらりと言ってのける。
これを筋金入りのファンは期待外れと見るか、新境地と見るか、人それぞれだが、個人的には新境地と見た。いや、その手腕はますます冴えたものに。
唯一のバイオレンス/グロ描写はハエが群がる死体ぐらいだが、特筆すべきはエロスの描写。“官能描写”と言った方がいい。
直接的な描写はほとんどナシ。終盤も終盤にキス・シーンがあるくらい。劇中の二人の視線、表情、仕草、醸し出す雰囲気や距離感…ふとしたそれらが堪らなく官能的なのだ。パク・ヘイルとタン・ウェイの名演も大きい。
もはやエロスを描くのに直接的な絡みをわざわざ描かない。そんな匠の域にまで達しているのである。
官能的でありつつ、終始ミステリアス。ユーモアも孕む。
知的で複雑のように見えて、主軸は実はシンプル。オチも意外なほど呆気ないもの。
それをまるで劇中の如く霧の中を彷徨わせるかのように、見る我々を翻弄させる。
現実、妄想入り乱れ。
分かったような分からないような、奇妙で独特。その感覚すら何とも心地よい。
この韓国の鬼才は、やはり只者ではないと改めて心底思わせる。
後味の悪さ最高潮
実力
サスペンス×謎解き×純愛
エロスの汐
『オールド・ボーイ』や『お嬢さん』を撮ったパク・チャヌク作品とは思えないくらいに,性や暴力の描写が影を潜めている。しかし,その欠如が逆説的なことに観客の想像力を刺激する。ジョルジュ・バタイユは『エロスの涙』の中で,「エロティシズムは禁忌と侵犯の中にあり,それは死と切り離せない」と言っているが,今作では刑事チャン・へジュン(パク・ヘイル)と容疑者ソン・ソレ(タン・ウェイ)がその境界を侵そうとする。刑事と容疑者という関係を超えるのは「禁忌」である。その禁忌を侵犯しながらヘジュンとソレは互いに惹かれあっていくが,母語が異なるという点が二人の関係を発展させる動機になるプロットはコミュニケーションの本質を抉り出していると言えるだろう。十全なコミュニケーションが成立しないからこそ「相手のことをもっと理解したい」と思う気持ちが亢進するからである。物語が進んでいくと,容疑者ソレのアリバイが崩れ,彼女への嫌疑がヘジュンの中で確信に変わる。ヘジュンはソレを逮捕しないが,事件は彼の中で「解決」し,刑事と容疑者という2人の関係は終わってしまう。しかし,彼と別れたくないソレはある覚悟を決める。夕暮れ,海辺でソレの名前を呼び続けるヘジュンの姿がある。が,彼女は見つからない。ソレは観客が見てる前で浜辺に穴を掘り,その中にそっと身を沈めているのだ。あたりは暗くなり,汐が満ち,海水がソレの横たわる穴を侵していく。その後,カメラは視線をソレから逸らすため安否は不明だが,結果的に行方不明となった彼女は自身が「未解決事件」となった。刑事であるヘジュンは対象である彼女を永遠に記憶することになるだろう。それが復讐か愛かというのは難しい問題である。しかし,映画を見終えた私の脳内からは,刑事と容疑者として手錠で繋がれた二人の姿が焼き付いて離れなかった。
哀愁漂う…惹かれ合うふたり
昨日鑑賞2本立て1本目。佐々木蔵之介みたいな刑事が被疑者の女とただ...
未解決事件になりたい
パク・チャヌク監督だから、バイオレンスやエロの描写がたっぷりなのかと思ったら、何ともエレガンス。いい意味で裏切られました。刑事ヘジュンと被疑者ソレの表情や台詞が始終、気になります。クライムサスペンスだから、事件の解決を追っていくことになるんだけれども、ミステリーだけじゃない。ロマンスもうまく絡めて、シリアスになりすぎず、ころころと流れていくようで、ちょっとフランス映画ぽい感じです。
韓国映画のヘビーな感じが好きで見た人は、ちょっと肩すかしを食らうかもしれません。
濃厚なラブシーンなどなく、口づけ1度だけ。ヘジュンとソレ、決して近づきすぎない距離にあるんだけれど、お互い、確実にのめり込んでいます。ハンドクリームを塗ってあげるシーンなんかも、どきっとしてしまいます。プラトニックな部分が熱くてたまらないというか。
「未解決事件になりたい」と願うソレが発する言葉、「再捜査して崩壊の前に戻って下さい」。ヘジュンはソレから、「品がある」と言われるのですが、ヘジュンは「それは自分が誇りのある警官だからだ」と言います。しかし、愛に溺れて捜査を台無しにして完全に「崩壊」したと嘆きます。心のせめぎ合いを感じます。
ソレは最後は砂浜に沈み、未解決のままになる。ある意味、永遠の愛を手にしたのですね。
サスペンスとしてのストーリーも秀逸ですが、あれやこれやと二人の心情が気になって仕方ないです。
BTSのRMが5回も鑑賞したそうです。わかるような気もします。自分も2回続けて見ました。(字幕と吹き替えで)
ラブストーリー
「大人とは、抑圧された子どもである」が体現された作品。
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった・・・・・・(公式サイトより)。
子どものころに、気になる異性の気を惹くために、大人では考えられないような行動に出ることがあるが、本作は、大人版のそれ。大人になってそれをやると、サイコパシー的になり、精神に異常をきたし、職務を全うできなくなるのだね。昔の偉い人が言った「大人とは、抑圧された子どもである」が体現された作品。微妙に言葉が通じない設定も良い。
雰囲気のある映像とカット、常に不穏な緊張感が漂う演出は悪くないが、何かが物足りないように感じた。「ビューティー・インサイド」のような出会いのセンセーショナルさ、「ゴーンガール」のようなヒロインの妖艶さ、「アメリカン・ビューティー」のようなコメディさがないので、緩急がついていないのかもしれない。いい大人の肥大化した自我を若干キレイに描きすぎではなかろうかと感じてしまった。
惹かれ合う2人と崩壊した捜査
直接的なシーンが無いのにエロい映画
もやもやするイケメン刑事その2
現実と妄想を行ったりする刑事。もやもや。もやもやする刑事はもやもやするもハッとして目薬をさす。のかな。
韓国語母語の人でないとわからないニュアンスもあるのだろうが、スマホの音声翻訳で機械的に男性声で女が言葉を伝える。情緒的な言葉を無機的な音声に変換して伝えられるがら刑事はツールを使わない、わかりやすい,と彼が思う韓国語で女と話す。
イケメン刑事は女に溺れて正しく事件を解決出来なかったことと言い、自分は壊れて崩れたという。女が品のある人が担当で刑事でよかった、と彼に行って品があるとはどういう意味と問う。
それぞれに愛情のようなものが感じられるがなんとも言えない隙間、ギャップがあり,それが言語の伝え方の温度差にも表れる。
続きは後て
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