「迷宮入りの恋。不器用ながらも淡い恋愛劇と秀逸なサスペンスとの絶妙な融合。」別れる決心 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
迷宮入りの恋。不器用ながらも淡い恋愛劇と秀逸なサスペンスとの絶妙な融合。
主人公の刑事のキャラクターが先ずいい。何とも文学的でとうてい刑事っぽくないのだ。こんな刑事は現実にはいないだろうし、どちらかといえば相棒の粗暴な若手刑事のほうがそれっぽい。
妻が原子力発電所の主任だとか、容疑者となる女性が中国からの密航者であり、死んだ夫が入管職員等々、結構韓国の今の実情を想起させる細かな設定。
ストーリーは結構入り組んでるように見えるが、容疑者の女性に心を奪われた刑事が翻弄されるという、いわゆる「氷の微笑」系。ただ、本作は恋愛色が強い。まあ、主人公を翻弄するのが「ラストコーション」のタン・ウエイだから男なら翻弄されてもしょうがない。
事件を追う刑事と追われる容疑者の女。刑事は彼女を事件の犯人として追っているのか、あるいはただ、彼女に魅了されて追っているのか、自分自身わからなくなる。そして容疑者の彼女も自分を疑いつきまとう刑事に特別な感情を抱くように。
観ている観客もこれは刑事サスペンスなのか恋愛劇なのかその境界線が曖昧になってゆく。
ポン・ジュノ作品にもよく見られるサスペンスなのかコメディなのか、カテゴライズしづらいどんな枠にもあてはまらない作品と言えるだろう。あえて枠にはめる必要もない、面白ければいいのだから。そして本作は間違いなく面白い。
主軸となる恋愛サスペンスだけでなくディティールも凝っていて、長尺ながら観る者を飽きさせない。いちいち細かなところで笑わせてくる。取調室の寿司の件や、スッポン窃盗犯の件、主人公の妻が市場で魚の目をつっつく件等々。
韓国映画特有の登場人物のキャラ立ち具合、凝りに凝った演出、全く先が読めないストーリー展開と鑑賞中十二分に楽しめるエンターテイメントだった。
度々・・。
今作も含めて私は見る側に解釈を委ねる作品が好きです。(多分、一般的ではないと思いますが。)
韓国映画の巨匠や、北欧映画(ミヒャエル・ハネケ監督や、アキ・カウリスマキ監督や多数・・。)などの作品は好きですね。
けれど、映画館で観る映画は殆ど好きです。
■今、一番迷っている事・・。
「なのに、千輝くんが甘すぎる」を見る問題・・。
主演の女性が可愛すぎる・・。、でもオジサンが見る映画ではないとは分かっている・・。みうらじゅんさんではありませんが(彼の先達は全ての映画を観て全ての映画のパンフを購入されているそうですが・・。)”パンフを買う時の恥ずかしさは、エロ本を買うときよりも恥ずかしい・・、”という文を読んだ時には、笑いました。昔、今や若手大女優になった浜辺美波さんが主演した「センセイ君主」を劇場公開の最終週に観た際に”「センセイ君主」のパンフ下さい・・。”と言った時の事を思い出します。自意識過剰すぎますね。では。