逆転のトライアングルのレビュー・感想・評価
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作り変わり得るもの
Triangle Of Sadness
上品な老夫婦は手榴弾と地雷で成した財を語って過去に思いを馳せる、笑って良いのかさえもわからない。金は美しく美は正しい、富豪達はそれなりに正当性があり(監督がそう述べる)故に愛とは何かを語るのだが、船長を含め乗組員達は皆うんざりしている。
酒には溺れていても船酔いはしない船長と、資本主義者のオリガルヒの自虐的なやり取りが船内に響き渡る。閉鎖的な空間に自ら乗り込んできた人々を、あるべき結末に導く水先案内人のように思える。
島のシーンでは登場人物が絞られるが、そこからも関係性は刹那に移り変わっていく。問題は最後にもう一度戻そうとするかどうかだが。邦題は逆転のトライアングルだが、変化への悲観的な視点を併せ持つ。
考察したくなるラスト
途中立て続けに現れるマーライオン(比喩)の群れに呆然となりながらも、なんとかラストまで観終わりました。
取り敢えず、ビジュアル的にも良い意味でも悪い意味でも印象に残る、強烈な作品でした。
あと、この映画のラストは個人的にハッピーエンドだと思っています。
これはあくまで主観ですが、ヒロインのヤヤは稼ぎ頭ではあっても、実は富豪とは言えなかったのではないかなと。
深読みする理由ですが、
・クレカが使えない。だが、別に華美な物を身につけている訳でもない。→もしかして誰かに送金してお金が無いとか?
・高飛車な富豪達の中で、気軽にスタッフに挨拶出来るだけのマナー(と言うか常識)がある。
・浮世離れ生活からなかなか戻れないでいる富豪達の中で、いち早く現実を見る立場に移行した。
だからアビゲイルの気持ちが他の富豪達よりわかった…と言うより、上っ面を塗り固めたハリボテ達の馬鹿馬鹿しさを理解していたのではと。あくまで主観ですが。
アビゲイルにああ言っておいて、他の船のスタッフ達同様に彼女を使い捨てる可能性もあるので、なんとも言えませんが。
ただ、彼氏が寝取られたことについても、最終的にそこまでの執着を感じなくなっていた(ように見える)こと。出来るなら、恐らく崖の上からアビゲイルを突き飛ばしていたろうに、そうしなかったこと。
状況が変われば強者と弱者は簡単に入れ替わる。自分の身分に執着することの馬鹿馬鹿しさを表現する作品だとしたら、あのラストは悲劇であってはならんと思ってるんですよね。
ところで手榴弾を掴む夫婦の光景。
あれ、わりと社畜の世界あるあるで笑えなかった。
(上層部は部下の仕事を何一つ理解出来ていないという意味で)
構成、時間配分が酷い
3章立てになっているが時間配分がおかしい
1章の付き合い始めたばかりのカップルの食事のお金での痴話喧嘩
いやー、痴話喧嘩は犬も食わないよ
あんなに長々と描かなくても
2章では、セレブとしか付き合わないと言っていたヤヤと、俺と付き合いたいと言わせてみせると言っていたカールは、何故かセレブばかりの豪華客船に
痴話喧嘩長々描くなら、この辺ちゃんと描いた方が良かったのでは?
2章もセレブたちの人なりを描くのはわかる、また、掃除係の苦労を描くのに食事シーンのゲロも描く必要はあったのはわかるが、ゲロのシーンあんなに描く必要あったのか?みてて不快に感じるくらいだった
それに船長と酔っ払い客とのやり取りあんなに尺をとる必要あるのだろうか?
それより、船長が閉じこもってる理由やトイレ掃除係のアビゲイルとセレブとのやり取りなんかを描いた方がいい気がする
で、肝心の3章、ここにもっと尺を使って欲しいかった
というか漂流する羽目になったあの手榴弾なんなの?
ラストも流石にもうちょっとえがいてもよいのでは?
沈む原因そっちかよ
ファッションショーで「平等」「多様性」が叫ばれていながら、後から来たVIPのために席を譲らされる皮肉。
金持ちのグロテスクさ、金を求める人々の滑稽さは良く描かれているが、そこが無人島漂着後のヒエラルキーの「逆転」においてもアビゲイルの支配欲はやはり金持ちのそれと変わらず醜悪である。
食べ物のために性的に搾取されるマークの立場は男女逆にすればどれだけグロテスクなものかわかるだろう。(もちろん男女逆でなくてもグロテスクではあるが…)
テンポがもうちょっと良ければあと20分削れたし見やすい映画になっただろう。ロード・オブ・ザ・リングのように背景が美しい中つ国の風景なら2時間半でも退屈しないかもしれないが、カップルの喧嘩、金持ちの傲慢と嘔吐描写、無人島のサバイバルで2時間強はきつい。
武器商人の夫婦が自分たちが売った武器で吹っ飛んだのはとても爽快だが、現実の武器商人たちは何の罰もなく儲けを出し続けているから、それを思うと正直やりきれない。というか沈む原因そっちかよ。
妻の死を悲しみながらも、遺体からアクセサリーを回収することを忘れないロシアの富豪。
マークは悪人にはなり切れないが決して善人でもない、ヒーローにもフェミニストにもなれない、どこにでもいそうな顔がいいだけの男である。観客の大多数もそんなものだろう。
私を養えない男には興味がない、と言い切るヤヤ。妊娠出産時のためのリスクマネジメントと思えば、共感できる女性も少なくないのだろう。
ヤヤはカールが搾取されるのを泣きながらも、おこぼれで得た食料を口にち、アビゲイルの行動力に敬意を表する。これも無人島でのヒエラルキーゆえだが、ラストであくまでアビゲイルを「雇える側」のつもりでいる傲慢さは変わっていないもかもしれない。
ヤヤを演じたチャールビ・ディーンは本作が遺作となったそうで、冥福を祈ります。
エッジの効いたアイロニーとユーモアを楽しむ映画。思わぬ展開が楽しめたが、楽しんではダメ?
①豪華クルーズのキャプテンズ・ディナーが大揺れの中で行われ、高級料理や高級シャンパンを食べたり飲んだりしていたセレブな乗客達が船酔いでゲロを吐きまくるシーンで思わず大笑いしてしまったが、結構満席の中で笑っていたのは私だけだった様。
私のユーモア感覚って人とは違うのかしら。
②リリアーナ・カルバーニの『流されて(Swept A way)』をちょっと思い起こさせたが、こちらはもっと大人数。
③第一幕:男性モデルのオーディションの風景から始まり、ディナーでのカールとヤヤとの“どちらが払うか”のよくある口論が延々と続く。文化や男女、その人の性格によって落とし処は色々とある問題だが、二人の場合はヤヤの方が収入が多いことに基づいての二人のの考え方の違いが主な焦点となる。ここまでは、この映画はこの恋人たちの話かな、と思って観ているが、後になってこの幕での二人の考え方の違いが第三幕の伏線だとわかってくる。
冒頭の男性モデルのオーディションの場を仕切っているオニイサンが良い。ああいうキャラ好き。
③第2幕:うって変わって、
【痛快と不快が渾然一体】
投稿しといて何ですが予告編だのレビューだの観ず鑑賞がオススメ。経済力至上主義の現代階級社会に対するアンチテーゼに、ファッション業界を筆頭としたルッキズムと見るものを小馬鹿にしたコマーシャルへの皮肉たっぷりな描写、船酔いで豪勢なディナーを全部吐き出しゲロ塗れで床を転がり回るスカしたマダム、手榴弾製造販売で財産を成した金持ち老夫婦が自身の手榴弾で吹き飛んだり、痛快と不快が渾然一体となって癖凄メッセージをぶつけてくるのはまさにオストルンド監督の真骨頂。
嬉しいはずの無人島?から解放か、イレギュラーながらもヒエラルキーの頂点を手放すかを葛藤する鬼気迫る清掃婦のラストシーンも観客を試すニュアンスで面白かった。
掃除のおばちゃん強い
掃除のおばちゃんの小山の大将っぷりがイラつくやらおかしいやら
最後のヤヤの振り返りもせず余裕な上から目線のあのセリフもまたムカつく
とても面白かった
劇場内クスクス笑いが起きていて良い雰囲気で見られてよかった
ヤヤ役の方がスタイル抜群で狡賢い女役がピッタリハマっていてとても良かった
遺作になってしまい残念です
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