「入れると出すの繰り返し」逆転のトライアングル ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
入れると出すの繰り返し
第一部は
“行き過ぎたルッキズム”“食べ残しよりもインスタ映え”“奢る奢られ論争”と、昨今のSNSでホットになった話題を扱ってました。メインキャストも若者でしたし、after internetがテーマなんですかね。
第二部は
資本家と労働者の対比が強烈で、これはタイタニックのパロディですか?さすがに三等客室は無さそうでしたが、前時代的な価値観を持つ成金がメインキャストでした。いやー、彼らをここまで醜く化石の様に描くのはなんだか清々しいですね。酔っ払い(アルコール)やブランド品も今となってはなんだか古臭いものですしね。しかも、乗客である武器屋(戦争屋)が売った手榴弾で乗っていた船が沈むというおまけ付き。ブラックすぎるでしょ。資本主義vs社会主義論争が出てきたあたりも、資本主義黄金時代と崩壊した社会主義の両者を皮肉っているのでしょうか?
第三部は
まさに狩猟採集時代でした。第一部・第二部でイキってたモデルも資本家もその価値はだだ下がり。無人島でサバイブできる人間がトップに立つというとてもシンプルな権力構造でした。男も女も関係なく、権力を持つと若い人とセックスできるのも普遍的なんですかね。セックスってそれくらい支配的なもの。それに権力者はいつの時代も邪魔者を殺したいもの。
良く考えてみたら人間は、食べる、排泄する、セックスする、出産するなど、入れると出すの繰り返しで生きているんですよね。これは客船の嘔吐のシーンで思ったんですけどね。そんな本質を忘れちゃって、お金や美貌、セックスに振り回される愛すべきお馬鹿な人間。
さすがリューベン・オストルンド監督だけあって、想像以上にパンチが効きまくってました。でも、人間に対する愛はほんのりと感じました。本作を鑑賞した弊害は、ずっと船旅をしてみたかったのにしたくなくなったことですかね。
コメントありがとうございます。映画初心者にとっては安宅の関ばかり。監督の色合いがわかるって大事だなと心底わかってきたというか、わかりたくなってきました。