「わかる人には面白いが、万人受けではない」逆転のトライアングル mamemameさんの映画レビュー(感想・評価)
わかる人には面白いが、万人受けではない
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根底にあるのは権力のピラミッド構造と、その権力要素の変遷。
第一部はスノッブなヨーロッパ貴族社会、第二部は下品な成金、第三部は労働に支えられた共産主義。
それらを風刺画風に描いた作品。
だからゲラゲラ笑うのではなく元ネタに思いをはせてクスっと笑う作品。
最後のシーンが意味不明だとの意見があるが、
・脳梗塞の彼女は言葉が通じない/情報が伝達できないから現状を仲間には伝えられない。
共産圏や圧政圏での情報統制のアナロジーだから、ブランド物の行商人との邂逅は仲間には伝わらなかったろう。
・続くシーン、エレベーターを見つけたヤヤをアビゲイルは殺そうとするが、そのシーンは描かれない。
しかし社会主義や共産主義における施政者は、自ら権力を手放すことはなかった。
当然、アビゲイルもそうするだろう。
・最後にカールが走っているシーン、なぜ彼は走っているのか、が謎になるわけだが、そもそも閉鎖空間でアビゲイルとヤヤがどちらも相手を生き延びるためのチームとして見ている状況ではどちらも相手を殺すことは無い。だからカールは二人を送り出している。
閉鎖空間ではなかったと知って初めて、アビゲイルとヤヤの間の殺意が現実味を帯びて来る。
が、行商人のシーンがアナロジーとして挿入されたのなら、その情報は最後まで仲間たちには伝わらなかったはず。
としたら、おそらくアビゲイルがヤヤの死を事故による墜落死として伝え、その現場に走っている。
監督はそのあたりは好きなように解釈できるようにと説明を放り投げているけど、そういう「好きに理解してちょ」的な描き方は好きじゃないな。カンヌはそういう方が受けが良いけど。
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