「現代社会の嘘くささ」逆転のトライアングル Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
現代社会の嘘くささ
この監督は現代社会の進み過ぎてしまって嘘くさくなったところを描くのがうまいね。
主演の二人がインスタグラマーとメンズモデルって、食うものや着るものに困る時代じゃそんざいし得ない職業だし。
それで金持ちの傲慢さを散々描いてから、状況をガラッと変えるの。
その直前の、キャプテンズ・ディナーのめちゃくちゃっぷりがいいね。
みんな吐いて、トイレが溢れて、現代社会が隠してたもんが溢れてきたってことなのかなって、観終わって考えて思ったな。
そこで語られる資本主義と共産主義の話もすごい。何言ってんだこいつらって思うけど、あとで効いてくるね。
そして船は遭難し、無人島に漂着する。
ここで権力者になるのが、トイレ清掃婦。食料調達能力と火を起こす能力という生きるために大事な能力を備えてたからね。
そして夕飯を分けるときは「お前たちの分、私の分、お前たちの分、私の分」とやって、一人で食料を半分とってしまう。
「ひどいよ」と思うんだけど、資本主義で強者がやってることまんまなんだよね。能力に応じて分配しただけだっていう。
そして掃除婦はメンズモデルを漂流船に連れ込む。これ、男女逆だったら、散々描かれたことなの。それでインスタグラマーが、嫌なんだけど、その状況を許容するしかないとか、メンズモデルも「まあ、いいかな」みたいになってくとか。
最後は「この島、高級リゾートで、漂着したの裏側だった」ってオチなんだけど、ここでインスタグラマーの語りもいいね。
掃除婦のために何かしてあげたいって、施しをするようなことを述べるんだけど、そうじゃねえだろって分かってねえのかって感じで。
ラストはどうなるのか明示せずに終わったけど、どっちのラストがいいか、迷うね。