「人間社会の縮図の詰め合わせセット」逆転のトライアングル ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
人間社会の縮図の詰め合わせセット
レビューを見ると賛否両論だったので心配していたが杞憂だった。
苦手な人がいるとは思うし、その部分がかなり宣伝では隠されている。しかし、それを補って余りあるほどに楽しませてもらった。
合わない人はストーリーを楽しみにしていたのだろうが、社会風刺コメディであればこそ、その過程とやりとりこそが面白い。だから結末もそこまで気にならなかった。
社会風刺にしては直接的でわかりやすい形だが、モデル業界をテーマにして、「女性優位」になっている点、そして女性優位の中での男性の見た目、性についても描かれているのが新鮮である。
3部作になっていて、どのエピソードでも、格差社会と人間の欲にまみれた構図が描かれており、笑いながらも、人間ってどうしようもないなと感じざるを得ない。
邦題と原題(Triangle of Sadness、眉間のシワ)が異なっているが、逆転ばかりがフィーチャーされている作品でもない。原題のままの方が作品をよくあらわしている気がするが、改めてこの手の映画を日本に持ってくるのは非常に難しいとも感じる。
オープニング、そしてエンディング通じておしゃれでよかったものの、ただ、3部目がちょっと長いかな。
ハリス・ディキンソンは、「キングスマン」「ザリガニの泣くところ」と観ていて最近見るなあと思っていたが、今回のが一番ハマり役。
英語ネイティブの人のほうがより面白く感じるのだろうか、劇場に外国人の観客がいて快活に笑っていたので、そのおかげか、とても劇場全体が笑いやすい雰囲気になっていた。
ふと、これも映画館で観る醍醐味であるとともに、コロナも収束して海外の人が増えた流れなのかもしれない。
2023年劇場鑑賞37本目。