「青春の1ページでは到底済まされないほどに重い」CLOSE クロース いけいさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の1ページでは到底済まされないほどに重い
ジャケットの雰囲気からはちょっとした流行り系かとあまり食指が動かなかったが、第95回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品ということで鑑賞。
観てみると意外にもというべきか、思春期直前の少年の友情がテーマともいえるストーリー。掘り下げればもっと秘めた想いもきっとあるのだとも思うが、男性であれば誰もが一度は感じたことがある苦いような酸っぱいような想いが、きれいな映像と音楽に乗って深いところで絡みあう。そしてまさかの悲劇と深い苦悩。当然そこには切ない青春の1ページでは到底済まされないほどの重さと影がある。
本作はテーマも独特だが、映像もかなり独特。手振れ!? 画素が粗い!? それでいてとてつもなくクリアな映像がストーリーをさらに深いところまで導く。この撮り方が取り返しのつかない悲しみを深めるのか和らげるのか判別がつかないが、いずれにしても心の奥底まで染み入ってくる。
ストーリー良し映像良しでとても完成度の高い作品だとは思うのだが、このある意味でタブーともいえるリアルさの渦には、個人的にはお腹いっぱいになってしまい消化しきれなかったのが正直なところかな。
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