「「なぜ?」を追い求めてしまう」CLOSE クロース kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
「なぜ?」を追い求めてしまう
少年時代の友情はとても容易に築かれ、だからこそとても脆く儚い。私も小学生時代に遊んでいた友達とは疎遠になってしまった。本作のレオとレミみたいになにかのクラブに属してしまうとそちらの友人関係が優先されてしまうのは世の常だ。
でもさすがにあの2人のような親密で近い関係性だったら簡単には崩れない気もする。だからこそ2人が疎遠になっていく過程が切なすぎた。大人になっている今だから、「そんなことで」と思えるが、彼らにしたら大問題だ。
私は小学生時代にクラスメイトが自殺したことがある。転校してきた子で、友人もできて楽しく過ごしていたように見えたが再度親の転勤で転校することになった矢先、自ら命を落とした。他の土地では友人ができなかったが、私の地元で初めて友人ができたらしい。当時の私は「なんでそんなことで?」と驚くことしかできなかった。そう、自殺した者の周りはどうしてもその死の「なぜ?」を追い求めてしまうし、その気持ちを理解することは難しい。
本作の中でも、レオと観ている私達だけがレミの死の原因に思い至る。あの出来事が関係している!と。ギブスをつけるときのレオの涙もそう。レオと観ている者だけが理解できる描写がとても巧みだった。
結局、レミの死の真相はハッキリしないままだ。付き合ってるんじゃないかと同級生にからかわれたことも、レオとは違う別の感情をレミは感じていたかもしれない。レオに対するレミの感情は最後まで明らかにはならなかった。だから、これは観ている私達だけが妄想できる領域なのだ。このへんの描写も巧みだった。
セリフではなく、表情や雰囲気で物事を伝えようとする映画や、観ている者に判断を委ねる映画はあまり好きではない。でも、心を揺さぶられてしまった映画を低く評価することもできない。