「内なる美」クライムズ・オブ・ザ・フューチャー いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
内なる美
ホラーのサブジャンルに"ボディホラー"というカテゴリがあるそうで、正に監督はその第一人者であることは明白である 『裸のランチ』でもそうだったが、内蔵系のグロテスクさを演出させながら、その画力と強引に結びつけるストーリーテリングにまんまと心を奪われてしまう 気持ち悪さの連続はもはや快感に取って代るという、今作の多々あるテーマの一つを体感してしまっているのである
一種のSFなので、荒唐無稽な前提ではあるが、"苦痛"(作品内のそれは痛さの度合いが低くなってしまっている、もしくは他の感覚に変化している)から人々が解放された世界に於いての、二つの物語がやがて絡まる展開として作劇されている 一つは人体内に出現する新たな臓器と、それを切除するパフォーマンスをするアーティスト 又一方は、後半判明するのだが、新しい臓器で有害物質に対応する消化器系を移植し、環境問題を目指す団体の話である
まぁ、かなりストーリー自体が飲み込みにくいし、初めに説明する件もなく、やたらと官能的且つ、玩具のような生活具もしくは医療具(ベッド、椅子、手術台)を使用している様が、滑稽で痛々しく、なんだか面はゆい、居たたまれない羞恥感漂うカットであり、さすがクローネンバーグ、始めからトップギアである 女優を次々裸体に晒す脚色、子供を使ってのまるで"蔘鶏湯"のレシピのようなオチ、道徳感を逸脱した女性二人の電気ドリルによる頭骨穿孔の暗殺方法、一部の好事家が興じる刺青やインプラント等の人体改造等々、これだけの世界観を"松花堂弁当"の如く綺麗に盛付け、尚且つ未来への警鐘のような魔術に落とし込んだ今作品の胡散臭さと、尤もらしいエクスキューズに、総合芸術の悪魔の側面を垣間見てしまった希有な作品である 老監督の集大成と言ってもよいグロテスク且つ猟奇、そして皮肉な環境提言と言った、ハイコンテクスト作品であろう
返信お気遣いありがとうございました😊チェアですか?。それにしては【1の作業に10手間かけるポンコツ】ですね。自分の手で食べればイイじゃないかとシロウト的に思いました。こんな具合ですから、貴殿の真っ当なレビュー、認知の歪み、環境問題等 私の理解はそこまで至らずです。無能で申し訳ないです🙇ご指導ありがとうございました。【要するに話が全く理解してません。🙇】
いぱねまさん
BREAKFASTチェアってそういう機能があるんですね。
一瞬二人羽織?と思い、びっくりしてしまいました。
詳しく教えていただきどうもありがとうございました。
今作のフェテイッシュ文脈とすれば、血液が勢いよく噴出さない、そして感染症予防としての減菌仕様が施されていない点で、あくまでも内臓というフィギュアと、人体改造というフューチャー感、そして、改造の先の環境進化へのコミットという、一部富裕層にあるトラウマとエクスキューズをアイロニーとして描いたところが大きい
モダンアートに傾倒し、訳の分らない解説や普段持ち得ない言葉遊び、そしてエコロジーという欺瞞 富を得る者は強欲であり、努力は自らの力量のみという自信 この地位に登り詰める為の倫理観や道徳観の破棄は一度や二度ではない そんな『人の良い周り』を利用しながらの成功者は、良心の呵責なのか、はたまた身についた悪魔への魂の譲渡なのか、自分の生きている証を要求することに余念がない "痛覚"という歯止めは、倫理観のメタファー 麻痺してしまえば幾らでも人間は進化を追い求める ダーウィン曰く、「進化が必ずしも正しい方向に進むとは限らない」のである