「変なコンビニエンス・ストア」コンビニエンス・ストーリー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
変なコンビニエンス・ストア
監督・脚本は「時効警察」や、近作では「大怪獣のあとしまつ」の
三木聡。
はじめ若い作家の前衛的舞台劇みたいだな?とか思ったけれど、
今の若い人はこんなトンガって自由発想はないよな!?
と思った。
30代の監督や作家はどこか窮屈に感じる。
彼らはこんなことに悩んだり戸惑ったりするのね、
今どき若い人は・・・
本当に繊細で、気をつけないと知らないうちに傷つけてしまう。
なので失敗を恐れない大胆さは60年代生まれの
トンガったオジ様オバ様の作品なのだ。
この映画の原案はマーク・シリング。
だがしかし三木監督がやりたいように変更を加えたとか。
流石と言うべきか、映像(VFX含めて)音響と効果音、
そして流れるBGMは本格的。
何より役者が本気モードで気合が入っている。
お金も知恵も潤沢だ。
《ストーリー》
脚本家の加藤(成田凌)は同居する恋人の女優・ジグザグ(片山友希)の
飼犬ケルベロス(白い日本犬)にパソコンの原稿を消されてしまう。
怒った加藤はケルベロスを山奥に置き去りにして帰って来る。
犬の不在をジグザグに不審がられて、連れ戻しに山奥へ戻る。
犬は居ないし、レンタルの軽トラックはエンジンがかからなくなる。
そこにあったのが、一軒家のコンビニ。
店主が六角精児で、妻が前田敦子。
2人はフレンドリーで「泊まっていけば・・・」と誘う
ぽよぽよ太ってニコヤカな六角精児が不気味だ。
彼の年若い妻・前田敦子は妖艶でミステリアス。
クズ男を、演じさせたらこの人を超える者無しの成田凌。
脚本家・加藤(成田凌)の同居恋人で女優のジグザグを演じる片山友希、
エキセントリックな名前と外見の割に一番常識人である。
加藤が何かに誘われるようにたどり着いたコンビニ。
田舎のコンビニ(リソーマート)の扉を開けたら、
そこは異空間だった。
時効ならぬ時空を越えるナンセンス・ギャグの世界。
草ボウボウの平地を歩いて行くと、野外音楽堂ではなく、
原っぱ広場で黒のタキシードの正装で指揮をする六角精児。
オーケストラ演奏はCD。
それに合わせて指揮棒なしで指揮する六角精児の動きが実に上手い。
彼はミュージシャンなので、少しの違和感もない。
野外のクラシックオーケストラは実に心地良いのだ。
童話の世界みたい。
すると色っぽい妻の前田敦子が成田凌に色目を使う。
そして2人で逃避行。
行く先は近くの温泉宿。
丁度、一年に3日ある「永遠(とあ)の日」だった。
狐の白いお面を被った死者たちが冥土へ向かおうとしている。
妖しい雰囲気。
そして過去に実際に起きた「コンビニエンス強盗殺人事件」
それが《ヨボド事件》である。
そ記事を読んだ加藤はあり得ないスピードで脚本を書き上げる。
それを読んだ映画プロデューサー(ふせえり)に絶賛される。
未だ嘗てなかった事だ。
何もかもが可笑しい。
そしてラストのオチ!!
オチも輪廻転生・・・最初に戻るのね、実は・・・って!!
ミステリーでしかも手の込んだホラーでした。
摩訶不思議で不思議な映画。
見たことのない世界は魅力的だった。