「全ての夫婦に観てもらい「話し合い」をしてもらいたい」犬も食わねどチャーリーは笑う 梅★さんの映画レビュー(感想・評価)
全ての夫婦に観てもらい「話し合い」をしてもらいたい
完成披露先行上映舞台挨拶中継にて観賞。
妻が「旦那デスノート」というSNSに旦那の愚痴を書き込んでいるということを知ってしまうところからお話は始まる。
お互いを大事に思い、一般的な理想の夫婦像になろうとしてネガティブなことを言えなくなり我慢をしてしまう。
夫婦で話し合いをすることができなくなり、どうして分かってくれないの?と相手のことを憎く思い次第に溜まりに溜まった鬱憤を爆発させてしまう。どこの家庭にもありがちな夫婦喧嘩の始まりである。
夫婦であっても家族であっても他人であり別の個体。分かったつもりでいても相手は常に変化をし続けている。話し合いをすることの大事さ、話し合いをすることができる関係性の尊さを改めて痛感。目に涙が滲む。
しかし本作を観ていると直近で同じ岸井ゆきのさんが出演されている「神は見返りを求める」をふと思い出してしまった。こちらの作品も人間関係の不和からドン底に落ちてしまうというお話だが、こちらと比べると本作のお話はマイルドでちょっと物足りなさを感じてしまった。
また、付き合い始めの頃や新婚の頃のエピソードを思い出し2人で初心戻り関係が戻ると思いきや再度ドン底に落とされてまた初心に〜というのが繰り返されて正直まだあるのかよと思ってしまった…上映時間は117分だがそれ以上に長く感じた。
お話の発想はとても面白いと思ったし、役者さん達の演技もとても良かったので、ここらへんがもう少しどうにかなったらもっと良かったのになと思ってしまった。
本作は妻の表に出さない裏の顔の怖さや、夫婦間の男女のすれ違いがクローズアップされているが、本作の1番の怖さは同性であり子を持つ母であり妻に1番共感できる立場である姑が全てを知った上で鬼畜の所業をしているということ。会話をしなければ心の内は分からないが、会話をすること自体ができない相手が身近にいて離れられないというのが1番の恐怖だと感じた。