リバー、流れないでよのレビュー・感想・評価
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スケールの小さなSFから感じる、優しさと丁度良さ。
◯作品全体
ヨーロッパ企画・上田誠が手掛けるSF作品の一番好きなところは、登場人物の手が届く範囲でSFをやっているところだ。
世界や宇宙を巻き込んだスケール感は、確かにSFでないとできないかもしれない。一方で、登場人物の手が届く範囲の世界で繰り広げられるSFによって、ドラマを描くには弱いけれど、その登場人物にとっては大問題であることにスポットを当てることもできる。
それに気づかせてくれるのが上田誠のSF作品だと感じた。
本作で言うならば、旅館で働く主人公・ミコトと彼氏のタクが離ればなれになる、というドラマがある。しかしこのドラマは誰かに強制的に引きはがされるわけでも、タクの強い意志があるわけでもない。今生の別れになるわけでもないし、二人が離れることで世界を揺るがすわけでもないし、語るには少し弱い。
しかし、ミコトにとっては本当に深刻な事件なのだ。それこそ、宇宙と同じくらい遠くに感じる異国の地へ、貴船という小さな世界から旅立ってしまおうとしているのだから。
そこでその感情をドラマチックにするのが、2分間をループするSF設定。タクが居なくならなければいいのに、という願いにリンクするように、貴船から出ていくことのできない時間だ。小さなスケールがまた良い。ミコトが内に秘めた、小さな感情を置き去りにしないSFのスケール。他愛のないことで揉めたり、二分という制約がほどほどに登場人物を苦しめている感じが、ミコトの感情を描くうえですごく丁度いい。
ループの原因をミコトとするのでなく、未来人のタイムトラベルマシンの故障とするところも良かった。誰のせいとかそういうのでなく、それぞれがループする時間で自分自身を見直すことができたのだからそれでいいじゃないか、と諭すような優しさを感じる。
故障を直す手段も小さなスケールなのは思わず笑ってしまったが、背伸びしていない感じがして、それはそれで作品らしさがある。
小さなSFによって登場人物たちの内なる世界を小さく揺さぶる。その描き方が優しく、そして丁度いい。
〇カメラワークとか
・2分のループをワンカットで撮っていた。その時間だけは地続き、というのが視覚的に分かりやすい。
〇その他
・序盤はミコトの初期位置からいろんな方向へ進んで、いろんなイベントを見に行く感じが面白かった。この感覚、既視感あるなーと思ったけど、ヨーロッパ企画が昔作ってたゲーム「名探偵スワー」がその正体な気がする。あれもいろんな方向やアクションを選んで、総当たりしてみたくなる感じがあった。
・先輩後輩の二人組が良い味だしてた。最初は仲良さそうな感じだけど、ループの中で本心を吐き出して対立し、最後は吐き出しつくして理解しあうっていう。断片的にしか映してないからこそ、その間にあった出来事を想像しやすい。
・登場人物たちがループの法則を理解するまで少し時間がかかったり、イマイチ理解してないもどかしさにちょっとイライラするけど、多分これって脚本の手のひらで踊らされてる。理解したあとの展開を早く見たいって思わされる感じがした。『サマータイムマシンブルース』もそんな感じ。
・最近のヨーロッパ企画のメンツを全く知らないから、みんな老けたな~って思ってしまった。ちょっと前に見た『サマータイムマシンブルース』では若々しい大学生たちが、みんな中年おっさんになってる…
2分のタイムループでできることをとことん追求。
2分というタイムループでこれだけのことができるのかと、発想と工夫が面白くて、最後まで繰り返しがダレずに楽しめる。それだけでも作り手の自信とスキルに感心するし、舞台となる料亭の高低差、段差を利用し手動きまくる長回しの撮影が生きていて、キャストとスタッフが一丸となっているパワーみたいなものも感じる。
いやあ、これは面白いですよ!と手を叩きたい作品、なのだけれど、ギミック的なウェルメイドを目指しているがゆえに、面白さが予想外のところまで跳ね回らず、予定調和という天井でひっかかっているようなもどかしさはある。
あともうひとつ、これはもう呪いのようなもので、この映画が、というか、脚本の上田誠が選択した「舞台は京都だけど方言は使いません」という選択肢が、わりと地元が近い者としてどうしてもノイズになってしまう。
むしろ方言のえぐみがこの物語や作品にとってノイズになるだろう、と判断するのもわかる。上田誠が関わった『夜は短し歩けよ乙女』も「四畳半神話大系」も似た趣向で方言話者がほぼいないが、あれは原作者の森見登美彦が選んだ表現でもあった。
そうなんだけど、目の前に映っているのは京都の(というか貴船限定だけど)の風景で、そこには京都の文化も根付いていて、なおかつ方言のグルーヴ感も知っているので、もったいないと思ってしまうのだ。これはこの作品だけの問題ではないのでこれくらいで一旦棚に上げるが、ご当地映画と方言については、どっちが正しいかではなく、一つ一つ検証していく価値のあるテーマだと思った。
劇場公開したんだ
昨今、このタイプの作品は配信サイトが製作して配信オンリーと言うのが有るから、そのパターンかと思った。
如何にも、舞台の人たちが作りそうな設定。
雪が降ったり止んだり、積もったり、全く雪の形跡が無かったり。撮影スケジュールの都合なのか、なんか作中で時間軸云々言ってたけどw
他の方のレビューでも多いけど、「2分?」と言う短さのリープで・・・・作れるもんだね。
しかし、2周目で「あれ?おかしい」。3周目には「おい!」となる早さ。まぁ、上映時間も短いしね。
認識したら記憶が引き継がれると言うのは定番だが、体力も引き継がれている(「疲れた」)と言うのは珍しいパターンかな。
面白いけど、さて映画館で観たいか?というと・・・・配信で良かった。って感じかなぁ。むしろ、舞台で観たいわ。
いろいろ詰め込まれている
「2分間のループを抜け出す」というのが面白い。
とりわけ、ループ後も周辺にいる人全員が記憶が継続される、というのも新しかった。
それゆえに狂ってしまい狂気的な行動をとってしまうのも人間らしい。
本作は「群像劇」に括られるが、群像劇には人間らしさは必要不可欠。
そのあたりもケアしているのは納得感がある。
また、ストーリーも、シュールなコメディ、ラブロマンス、サスペンス、SFといろいろな面を見せ、ループもの特有の“ダレ”を防げている。
短いながらもきれいにまとまった良作。
たまにはこんなことがあってもいいかも
時間が繰り返してるー
登場人物の人のよさが冒頭数分で伝わってくる。
何からそう感じたかわからないけれど、とても雰囲気がよい。
この演出をしたスタッフの方々、演者の方々の力がすごいと思う。
冒頭の雰囲気を裏切ることなく、ずっといい感じで進む作品。
癒しでした。
サスペンスにもなり得る設定を、この感じで描いてくれたことに感謝。
そして突如出てくるキンザザっぽい乗り物が好きです。
あとくるりのエンディングも最高。
忙しすぎる現代。
自分があの状況になったらどこまで楽しめるだろうか。
登場人物それぞれ違った立場から、みんなそれぞれに幸せを見つけていく。
毎日も24時間の繰り返し。
大体同じようなことをしながら、少しずつ前に進む。
どうせ進むなら幸せに向かいたいと思わせてくれる作品。
ちょっとずつ変化して
時々休んで
でも幸せの方向へ。
きな臭い世の中だけど、自分の手の届く範囲は
笑顔が溢れるように行動していきたいな。
シンプルに展開が面白い!
全然興味なかったけど、YouTubeの紹介を見て視聴。面白かった!!たった2分だけのループで繰り返されるストーリー。事象は戻るけど記憶は持ち越されるからこそできる展開。2分というのがスピーディーで続きが気になりワクワク感が続く。それぞれの個性が見えてきて、初めはそんなにかわいいと思わなかったみことちゃんがだんだんかわいく見えてくる。序盤から中盤のわちゃわちゃ感から、最後終わってしまったちょっとさみしさすら感じる余韻。タイムループものはたくさんあるけどとても楽しめる映画でした。
共同想起の京都タイムトラベラーズ
低予算を思わせる撮影だが、大画面で見たら臨場感があり、カメラワークが好みであった。
景色の美しさ、BGMのセンスの良さ、京都の貴船にある老舗料理旅館にいる人々のコントのような やりとりが見どころ。複数の人が同時にタイムリープして、記憶を共用しているのが特徴。
意外に恋愛要素があるドタバタ劇であった。
2分前に戻る度に ランダムに雪が 降っていたり積もっていたりしていること については、ある人物が 推測で説明する場面があるが、いまいち納得しかねる。
重要な任務なのに単独で来て、自分が使うマシンのメンテナンスを一人で出来ない謎の女性の素性がわかってから、さらに軽くて明るい展開になる。
登場人物たちが協力し合って 急いで走るクライマックスは、いかにも最後のまとめ に向かう定番な雰囲氣 で妙な安心感が あるものの、ひねりがなくて物足りなかった。
「月に比べたらフランスは近いね」という台詞があったが、未来の世界で言う月というのは、現在の夜空に見える月とは違うのだろうな、等と想像した。浅いギャグであるし、タイムマシンが実在するという世界線であるから、真剣に考察しようとは思わない。
序盤で「時給はどうなるんですか」と言っていた伏線が未回収で残念。
なんかじんわりジーンとした✨
タイムリープモノと聞いてたのですんなり物語に入れた。
雪深い貴船、新緑の貴船など色々な貴船の風景なのに同じ時間をループしてるというのがまた面白かった。
ミコトちゃんとフランスへ行っちゃう彼との話を中心に色々みんな言えなかったことを言えたりしてめちゃくちゃドタバタ、死んじゃう人まで出たりして、一体どうなる?と思ってたらホントのタイムマシンが出てきてしかもみんな丸く収まるというのがゆるーくていい感じでした。
音楽もゆるい感じがすごくよかった✨最後みんなで協力してタイムマシンを動かすシーンはかなりジーンとしました。
好みの作品。でも……
「ドロステ〜」見て好きになり今作品を鑑賞
正直タイトルだけでは興味が沸かなかったから出会えて良かったです
前半の展開みたいなのをもっと見たかった
恋愛要素も良かったけどその後の衝撃的な(ホラーではないけど怖さがあった)展開をもっと広げてくれたらと
あと2分は短い……正直、途中見ててまたリセットして少しずつ話を進めて〜の流れにやや飽きてしまったところもある
2分よりちょい長めが良かったかなぁと思ってしまった
良かっただけに更に注文つけたくもなった
「ドロステ」同様、好みは分かれてる作品
でもめっちゃ好きです
雰囲気や役者さんたちも良かった
貴船神社行きたくなりましたし
支離滅裂で面白い
猛烈にAmazonプライムにオススメされたのと、私の好きな作家の方が面白かったとコメントされていたので視聴(笑)
2分間のループを繰り返すコメディ映画
記憶を保持したまま、繰り返されるループ
なぜかお宿の周辺以外の時間は進んでいく
2分間で、このループから抜け出すかの作戦会議をしたり、繰り返される苛立ちに喧嘩を始める人がいたり、人間模様の変化はなかなか面白い
どうせ2分でリセットされるから死んでみた、という作家先生には本当にびっくり
でも代えがたい経験なんでしょう。。。。
コメディを観ることはないんですが、贔屓の鳥越裕貴さんが出演していたので★足してました。
面白いけど
タイムマシーンを直すのが一発で成功してるけど何回か失敗した方が良かったんじゃないかと思った
その分他のループシーンを削るといいんじゃないかなと思いました
面白いけど少し長く感じた
ふっ
2分間を繰り返すループもの。
という設定を借りたドタバタコメディ。
最終のオチはタイムマシンの故障で2分を繰り返しているだけだったので、ストーリー面としてはふざけている内容でしかない。
ストーリーでの引きは全くないので、群像劇としてのドタバタを楽しむだけ。マジでそれ以外にない。意外な展開とかもなく、普通にループして終わった感じ。コミカルな部分もあるけど、ふっ、てなる感じ。
痺れるワンカット撮影
ワンカットの超効果的な使い方!!!
2分間のループ、毎回スタート地点に戻る。そこから動く主人公の後ろを毎回追うカメラ。
良かったですね。階段登るシーンなんて、何回見た事か!「もういいよ!」って思うんですけど、それがそっくり主人公の心情なわけです。
ワンカットで撮って何度もそれを見せることで、私達観客にタイムループの追体験をさせてくれるんですよね。最高。初めてタイムループしたので、めちゃくちゃ楽しかったです。
あとセカイ系ラブコメディ……かと思えば違った!っていうのも良かったですね。
同監督の「ドロステのはてで僕ら」も同時に鑑賞しましたが、この監督は時間系SFのオチを時空警察とか、そういう説明の要らないほど創作として根付いた設定でサクッと解決しちゃうんですよね。
そこも私たちの知りえないところでの話って感じで良かったです。
なんというか…そういう領域に一般人が巻き込まれただけ。というスタンスを崩さないことがポリシーな気がします。
撮影場所の旅館はヒロインの方のご実家だそうで。いい場所ですよね〜行きたくなりました。
エンドレス3分
題材が良いと思って観てみました。この魔法を考えられるのがすごいな。
途中まで観ましたが、考えさせられる作品でした。
以下構成についてのアウトプット
題材は好き。3分間を繰り返す事で何が起こるのか楽しみだった。
でも、どうもつまらない。なんでだろ?
考察すると見えてきた。
まず、ジャンル。これは魔法のランプ(願いが叶う)じゃないってこと。
ジャンルは難題に直面した平凡な人々だった。自分から願って3分繰り返しには
なっていないようだ。これは考察の勉強になった。
何が足りないか。葛藤だった。魔法の状況下を困難なものにしていないからおかしい
んだ。面白く解決しようとしてる。もしその状況になったら、に葛藤を入れないせいで
リアルでこんな反応を誰もしないであろう話になってる。共感できなく、イライラや、
つまらなさを感じる。
総じて勉強になった。ジャンル考察も、気づきがあった。
困難な状況にさせて葛藤を入れる。この基本的な部分にも気づけた。ありがたい。
旅館ループ
旅館で起きた2分間の無限ループを脱出する話
未来人が乗ってきたタイムマシンの故障でループが起きてたのでみんなで直してループ脱出するEND
2分という短い時間をループする意欲的な作品だが急に出てくるタイムマシンは雑過ぎる。恋愛描写も長い。
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