リバー、流れないでよのレビュー・感想・評価
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楽しい映画
何はともかく、万人にタイムループをすんなり受け入れられるのは、良い時代になったものだ
そして、難しい事は考えず、楽しい映画であった。
笑える映画であり、ほっこりする映画であり、とても丁寧に作られていて、変なツッコミどころもなく、映画の世界に入り込めた。
強いて言えば、物語のキモであり、オチである久保史緒里の透明感が、もう少し伝わればと少し残念だった
藤谷理子さん、映画もいい
舞台「たぶんこれ銀河鉄道の夜」に続き、今回はヨーロッパ企画の映画を鑑賞。タイムループの間隔が2分間と短いので、1回のループに盛り込める出来事が少なすぎて話しが盛り上がらないかと心配していましたが、そこは上田誠脚本がよくできていて、終始楽しく観ることができました。舞台の藤谷理子さんもいいですが、大写しになる映画の藤谷理子さんの演技もよかった。今後、藤谷理子さんの出演作品は要チェックだな、と心に刻みました。2分間をひたすら繰り返しているはずなのに、雪が積もっていたり、いなかったりの背景を「時空にゆがみが生じているみたい」のセリフで言い訳するあたりはご愛敬で。あと、友情出演で久保史緒里さんをキャスティングしたのも当たりだったのでは。久保さんが出ていなかったら、私は観に行ってなかったかもしれないので。大作ではないけどヨーロッパ企画らしい、良い映画でした。
これで映画が成立することへの驚き
「サマータイムマシン・ブルース」の劇団ヨーロッパ企画主催上田誠が原案・脚本を手掛けたまたしてもタイムループコメディである。
86分のほぼ4分の3くらいが2分間のループなので正確に数えたわけではないが少なくとも30回はきっちり2分間のワンテイク長回しのお芝居が繰り返されるという常軌を逸した、上田誠が「これまでに未だなかったジャンルの映画を探した」というように、思い付きはしてもあほらしくて誰も実際には映画にすることは無かったはずのとんでもムービーなのだ。
あまりにも手持ちドリーの映像を繰り返し繰り返し見たものだから「レディ・プレイヤー1」を3Dで観た時以来の激しい映画酔いをしてしまって後半はすごく気持ち悪くなり劇中の人々同様に「早く正常に戻ってくれ!」と祈ってしまったが、ちょうど限界のあたりでループの呪縛が解け、フィックスのカット割りがとてつもなくありがたく神々しくさえ感じられたことよ。
主役の藤谷理子は劇団ヨーロッパ17年ぶりの新入団員だそうで、舞台となった京都・貴船の割烹旅館は彼女の実家だというのだから、彼女無くしてこの馬鹿げたロケは完遂できなかったであろうと思われる。
私も関西なので、吉本新喜劇を毎週見て育った関西人が共通のアイデンティティとして持っているこの独特の「小劇団気質」をちょっと誇らしくも感じる今日この頃なのだ。
天狗なんかじゃない
タイムリープ・コメディの旗手、『ヨーロッパ企画』の作品ということで鑑賞です。
導入もそこそこに、早速ループへ突入。
主人公たちの理解も早く、ループも2分間なのでポンポンと進む中で続々と登場する、見覚えのある顔。
繰り返すごとに戸惑ったり、苛立ったり、楽しくなったり、まったりしたり、殺伐としたり。
各ループがワンカット撮影であり、劇中時間としてはノーカットなのも見どころ。
時間配分もシビアで、階段の昇り降りも多く、演者は大変だっただろうなぁ。
狭い舞台(なんせ2分で動ける範囲)の中を縦横無尽に動き、天候でも変化をつける。
そこに濃厚なキャラたちが絡みあうのだが、特に主演の藤谷さんは表情の変化が秀逸でした。
先に書いたように、場の雰囲気もコロコロ変わります。
…と、様々に工夫は凝らされているものの、やはり少し飽きる。
もう数ループほど削った方が気持ちは途切れなかったかも。
オチの馬鹿馬鹿しさは賛否別れるかもしれないが、あくまでヨーロッパ企画らしい。
登場人物に愛嬌があり、楽しく観られる秀作です。
上田誠に京都ときたら、正直本上まなみさんは森見登美彦のリクエストなんじゃないかと邪推しています。笑
適応力
よく練られた脚本だった。
ある時を境に2分間のループを繰り返す。
なのだが、当時人物達の記憶は更新されていく。
再び時間が動き出すまでの人間模様が描かれていく。
色んなパターンが用意されてて、恋愛やサスペンスやバイオレンスや、勿論コメディ要素にも溢れてる。
ちょっと1回がっつりバイオレンスに振っても良かったように思う。
登場人物達が驚く程の適応力を見せるので、平和と言えば平和だし、単調と言えば単調だ。
この適応力は早々に発揮され、そしてなぜか納得してしまう。貴船という土地柄がそうさせるのか、人物達の思考に無理がない。
俺も当事者であるならば考えそうな理屈なのである。なので、結構物語をすんなり受け入れてしまえる。
リープしてる間の2分間はほぼ1カットの長回しなので、そうそう手の込んだ事も出来ないのだけど、パンチ力に欠けるというか、谷間みたいなモノがあれば尚、楽しかったかなぁと、ふと思う。
天候の変化を時間軸のズレとかで押し切ってしまうとこなんかは好きだ。
いきなり雪が積もってた時は不自然極まりないのだけれど、スルーされるよりは強引にでも理由が欲しかったりもする。
にしても…この企画力は賞賛に値すると思う。
貴船ってロケ地もそうだし、少ないであろう予算の範囲で、見事に成立してる。
惜しむらくは絵のチープさが目立った事だ。
1カットにおけるカメラワークの限界というか…始点を彼女に固定した事の弊害というか。
そんな事をちょっと思う。
深読みするなら、時間という概念に囚われすぎな現代を映してるとも思える。
色んな事起こるし、色んなストレスを感じるのだけれど、その永遠とも思える2分間を追う事で大概治るとこに治っていく。
時間が足りないだったり、時間に追われるだったり、そんな事から端を発してる事ってめちゃくちゃ多いんじゃないかなぁと。制限がある前提で動かざるを得ない社会の憐憫さも見え隠れしてたような。そんな深読みも出来るようなパーツがあるとこなんかは流石なのだ。
そういう牢獄から解放された場所を「貴船」にした事にも、なんらかの意図があったのだろう。
昔、京都に住んでて何回か行った事あるけど、アソコは時間が止まってるのかと錯覚してしまう。
東京とは明らかに時間の流れが違うと思えてしまうのだ。
この作品が出来上がったのはコロナによる影響もあったのかなぁなんてふと思う。
そうでもなけりゃ、いくら貴船と言えども、あんな大胆なロケは敢行できないのではなかろうか。
久保さん観たさに行ったのだけど、拾い物だった。
冒頭が久保さんから始まるのだけど…やたらにカットが変わる。観にくいレベルで変わる。
後の1カットへの伏線かもしれんが…正直あまり意味は見出せなかった。
で、まぁ、ご本人と言えば特に役作りの必要もなく、乃木坂工事中で見る彼女と何ら変わる事はなかった。
水神様
群馬でいったら四万温泉みたいなところなのかな? とはいえ温泉は湧いていないようなので、兎に角お上品な和風避暑地といったところであろうか?
タイムループ2分というとてつもない短い時間を繰り返すプロットはよく練られた秀逸さである しかもきちんと全員前の記憶を残しているというところも、観客との共感性がすこぶる良い どのレビューも俎上に揚げているように『MONDAY』との比較を評しているが、明らかにこちらの方が圧倒的に理解度は高いと感じる そしてその永遠とも思える短時間の繰り返しを如何にして乗り切るのか、そしてその時間を永遠に過ごしたいと願う主人公の想いを、決して粘質的ではなく、カラッと青春的爽やかさで描いてみせているところに今作品の白眉を感じ取れるのだ どうにもならない地獄絵図を予感させての、未来人の"テヘペロ"的作劇に落とすところも賛否両論あるだろうが、私はコレで良かったと思う とにかく最悪を逃れるには超法規的措置というオチは決して否定されるモノではないと思うのだが・・・・ 所詮、他人が作ったホラ話だしねw
主人公のコメディエンヌとしての素養の高さを十二分に味わうことが出来たのも今作からのプレゼントだろうと思う
否定的なレビュアーは、多分「これって世にも奇妙な物語で掛ければいいじゃん」って思うだろうな でも、きっちりリアルタイムで2分長回し撮影の難しさは、制作陣の根気強さと、映画制作ならではのスパンの長さがなければ不可能であることを忘れていることを改めて肝に銘じて欲しい
"世界線がズレている"なんてどうしようもない理由で雪が降ったり止んだり、きっちり晴れていたりなんていう天候変化や川の流れの逆流無しも、別に否定派が言うそこまで問い詰める事に"野暮"というレッテルを貼って廻りたいと思う次第である "補正"と"おおらか"が、邦画を育てる大事な要素! 否定するのならば、自分で作ってみろ!
レビュー、消えないでよ
主人公のミコト演じる藤谷理子さんがなかなかいい味だしてますね。
この映画、ロケーションも京都貴船の旅館内とその周辺の川と神社だけ。たぶん制作費もあまりかかっていないし制作期間も短かそう。それでも脚本のアイデアひとつでこれだけ面白い映画が作れるのですから恐れ入ります。
この映画ように2分だけのタイムリープが今おこったら、このレビューも何度書いても消えてしまう。それは億劫だ。
映画を観ている途中だったら、何度も同じシーンの繰り返し。それは悲しい。
人間の本性のさらしあい
ヨーロッパ企画お得意のタイムループもの。
『サマータイムマシン・ブルース』『四畳半タイムマシンブルース』の延長みたいな感じだが。
事態の収拾をはかるために突っ走るあたりは、別の団体作だが『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』に近いかも。
元の時間軸に戻ることが話の中心ではなく、パニック状態になった連中が、隠していた本音をぶつけあってドロドロしたり、犯人探しで魔女狩りはじめたり、といった人間の本性を顕にする部分が、面白いところ。
原因と解決は案外どーしよーもないもので、そこはヨーロッパ企画っぽかった。
「前作が70分今作が86分」
今年104本目。
2020年6月の「ドロステのはてで僕ら」が70分。今作が86分。この長さ非常にいい。前作が2分先の未来が見えるお話しで今作は2分がタイムループする内容。なぜ2分に拘るのか。「演技の質を保ちながら生の時間が感じられる長さ」と原案、脚本の上田誠さんは仰ってました。86分の間に2分がタイムループ何十回も2分が飽きない。と同時に人間って2分でこれだけの事ができるんだなと。歯磨きの時に読書するなどスキマ時間は使っています。時間軸に注目した映画今ないと思います。丁度3年前、3年に1本見たいです。
メイド・イン・京都の絶品SFコメディ
どんな映画なのか全く知らない状態で観に行きました。
映画が始まると、京都の貴船神社でお参りする若い女性が出て来て、そこから参道の前にある旅館ふじやに場面が移ります。基本的にこの2か所のみが本作の舞台でした。その時点ではまだどんな映画なのか分かりませんでしたが、直ぐに旅館の仲居で主人公のミコト(藤谷理子)が、旅館の建物の裏手にある川縁にいるシーンが繰り返し登場することになり、ようやくタイムループ物のSFであることが分かりました。
タイムループ物と言えば、昨年公開された「MONDAYS また月曜日がやってくる」が非常に印象的でしたが、MONDAYSが1週間単位でループしていたのに対して、本作は2分毎という超短時間でループするというのが特徴でした。そしてもう一つの特徴が、ループしても登場人物たちの記憶は連続しているというところ。だからループを抜け出そうという努力を、ループの枠内で連続的に出来るという点が面白さであり、2分という時間が短くもあり、意外に長くも感じられた物語でした。実際映像も概ね2分毎でループするようになっていて、観客にとってもリアルタイムにタイムループを味わえた点も良かったと思います。
特に面白かったのは、それぞれの登場人物のキャラクターがはっきりとしていて、非常にメリハリが付いていたところでした。主要人物の背景にどんな物語があるのかという点が、短い時間で極めて効率的に分かる創りになっていたのは、大いに評価できるところでした。
また、MONDAYSでは広告代理店の日常を舞台にしていましたが、本作では京都の奥座敷である貴船が舞台になっていて、非日常の中でさらにタイムループという非日常が発生しており、異国というか異世界に旅行に行ったような不思議な感覚に浸れたのも良かったように思いました。
役者陣では、主役の藤谷理子はじめ、企画・制作に携わったヨーロッパ企画所属の俳優のほか、女将役の本上まなみや、作家役の近藤芳正など、いぶし銀的に光る演技があり、また物語のキーパーソンだった久保史緒里も魅惑的に綺麗で、キャスティングが優れていたように感じたところです。
そんな訳で、評価は★4とします。
うん、これはなかなか面白かった😁
ちょっと「MONDAYS」と似てるかなぁと思ったけど、主役のミコト(藤谷理子)のあっけらかんとした良い意味でカラッとした演技が全体の流れをスムーズにしていたかと。
他の登場人物もヒトクセありそうな面子なのに、だんだんタイムループに慣れていき、むしろそれを楽しんでいるようですらある。
旅館の女将さんを本上まなみが演じているのだが、未だに可愛い女将さんで素晴らしい❤️
そして、ミコトが「自分の願いがタイムリープを引き起こした」と思い当たるのだが、実はそうではなく五徳ちゃんじゃなかったタイムパトロールのヒサメのタイムマシンが故障して、パラドックス回避のために2分間のエンドレスループに陥ってないるという真相(オチ)が最後に判明。
まあ、取ってつけたようなオチだけど、この手の物語はこんな物でしょう。
見ていて楽しかったので星4個半。
途中で少しもたついた感があったかなぁ〜と、星半分だけ減らさせていただきました。
2分間がタイムループするだけなのに、なかなか面白い邦画。 本年度ベスト!
短い時間の繰り返しと言う事で飽きそうな不安はあったけど、それ程でもなかった(笑)
京都の老舗旅館の従業員と宿泊客が2分間を繰り返すだけのストーリー。
上映後、直ぐにタイムループしている事に登場人物達が気が付く。
焦るどころかポジティブに繰り返される2分間を楽しんでいる感じが面白い!
鑑賞途中から、タイムループする2分間は全てワンカットで撮影している事に気が付く。
その後はそのカメラワークが気になりカメラアングルが楽しみになっていた感じ(笑)
これから鑑賞予定の方は、このワンカットのカメラワークにも注目して欲しいところ。
登場人物が使う用語に笑える。
タイムループが始まる場所は「初期位置」と言うらしい(笑)
本作の主役、ミコトの初期位置が階段の下と悪すぎ(笑)
毎回、階段を昇るシーンからのスタートが大変そう(笑)
ループの数を「ターン」と呼称(笑)
「次のターンは宴会場に集合!」
「次のターンで予行練習!」
などのセリフに笑える!
タイムループ中の時給がどうなるのかも気になった(笑)
前情報で、本作は乃木坂の久保史緒里さんがキーワードと解っていたけどまさかの展開。
恋愛ストーリーが相まったハートフルコメディー映画となっていた印象。
ラストの展開はB級っポイけどほのぼの感があって楽しめた感じ。
主役の藤谷里子さん。
可愛い髪型が印象的。
鑑賞後に調べたら、彼女の実家がナント本作の旅館と知りビックリ。
今後、注目したくなりました( ´∀`)
作品名は話の展開予想をミスリードさせます
「リバー、流れないでよ」という作品名と結末には直接の関連性はないです。
(広義で関連する、と言えば言えないこともないのですが)
数あるタイムループ物のなかで、ループ間隔が2分なのは最短ですかね。
2分だど無理だろという場面もチラホラありますが気にはならないです。
むしろ雪の有り無しが気になりました。
お金が十分にあればセット組んでできるんでしょうけど・・
アイデアは良いのでチョイと残念でした。
まあまあ、楽しめます。
2分でどれだけできるか
2分という短時間のタイムリープを繰り返す話。
たった2分でも笑いあり、ホラー展開あり、逃避行ありの盛りだくさん。
全員がリープを認識している実写映画という点でMONDAYSに近いが、オチが明確に違う。
そこは好き嫌いが分かれる部分かと思う。
最初はリープとループの話などしているが、もう勢いづいてきて、そのうち初期位置とか、世界線とかいいだして、最終的にこれほぼシュタイン…
ヨーロッパ企画らしい楽しい映画でした。
発想が秀逸な演劇作品
ラジオでちゃんくぼに勧められて鑑賞、、、と思ったら他県まで車で片道90分コース。気になっているラーメン屋とセットで遠征です。
アイディアが秀逸です。
ヨーロッパ企画ということで、コメディな演劇のようです。
2分という最小のタイプループものですが、86分なので43回タイムループする気か?と心配になりました。同じ場所なのですが、テンポもよく見やすいです。
見終わったあとは、映画と言うよりも演劇ですね。
同じ場所で何度も撮影しますが、なぜ冬なのか、、、雪が降ったり積もったり曇ったり晴れたり、、、逆に情緒があって良かったかも。
発想が面白いので、演劇や海外作品とかになりそうですね。
久保史緒里の名前は後の方なので、最後に少しだけ出てくると思ってたら、オープニングから久保史緒里。本当に綺麗になったなぁ、、、とホンワカしました。
ループ、もう飽きたよ
随所随所で笑える演出やシナリオは相変わらずで、既視感とオチももう何回も見た感じ。10年以上前はコレが斬新だったけど、アイデアと演劇ノリで突っ切るのはしんどいよ。俳優陣も劇団メンバーで好意を持てなくもないが、監督に手腕かどうか、安っちい感が否めない。映画でなくても良い。ドラマでもラジオでも演劇でもできる。コントテレビもここまで安っぽい感じになるのかと思った。
2分でよくがんばった
2023年劇場鑑賞150本目。
タイムリープものは何本か観てきましたが2分間のリープは前代未聞です。何もできないだろこれ。
と思っていましたがほんとちょっとずつ進んでいくんですね。普通なら一回分のリープで済む説明も何回かに分けてやるのも面白かったです。撮影が冬で雪が溶けたり積もったりしたのも脚本に組み込んでよく考えられていたと思います(元々の舞台であった設定なのかもですが)。まぁ2分の繰り返しでみんなよくがんばった!良作です。
Smile
自分を映画狂いの世界に誘った「ドロステのはてで僕ら」の製作チームが再び集結して作られたタイムループ映画。こんなん当たりじゃないか…!と観る前から期待値はとても高かったですが、その期待値をもさらっと上回る傑作でした。劇場がずっと笑いっぱなしの幸せ空間でした。
13:56:20〜13:58:20という限られた時間で京都・貴船の老舗旅館で繰り広げられるSF(すこしふしぎな)で、「ドロステのはてで僕ら」でも巧みだったギミックが今作ではパワーアップして仕掛けまくってくれていました。
違和感を感じる→情報を共有する→ お客にも説明する→旅館外の状況も調べる…といった流れで2分と限られた時間の中で物語を進めていき、その中で見つかった謎を少しずつ解決していきながら、実は自分が時間を止めたんじゃ…?とミコトが思い出したあたりから物語がコメディから小さな逃亡劇に変わるジャンルの変化も良かったです。
ちょっとした恋愛関係の絡れはありつつも、引きずることはないのでサッパリとした味付けで見れますし、純なデート模様が観れるのもグッドでした。2分間のドライブ、2分間の映画、2分間の手繋ぎ、時間の制限があるからこそのトキメキはギュッと想いが詰まっていて目が心が体が幸せになりました。
段々と2分ループに慣れてくると、自分が最初にいた位置を初期位置なんて言い出しちゃったり、このループはいいやって休憩したり談笑に花を咲かせたり、止まった時の中を少しだけ楽しんでいるのも良かったです。登場人物の表情が各場面でコロコロ変わっているのも面白くて、画面を追いかけるのが大変でした笑
延々続くタイムループとはいえ、小説家が試しに飛び降りて死んでみたり、猟師が夢かと思って自分の頭を撃ち抜いてみたり、リスキーながらリスポーンできるなら一度死ぬというのはどういう感覚なのかというのは興味があるので、やっぱ障子を破ったりする好奇心の延長戦でやっちゃうんだなと思いました。
その後小説家は死んだからこそ生まれたアイデアを活かして煮詰まっていた小説の内容を進めれたというのも一歩進む大切さをサラッとながらも描いていたのが好印象です。
2分間のズレが起こっていた理由は、全員が時が止まればって願ったのは一切関係無くタイムパトロールのヒサメが不時着した際に故障してしまったのが原因で、それに呆気を取られながらも、なんとかして宇宙船を直そうと奮闘する姿が映されます。旅館に置いてあるビールやバーナー、偶々狩りをしていた猟師の銃を撃って再起動させて元の時代に戻すという流れもスピーディーでしたが、女将さんがお土産を爆速で渡していたりと笑いに事欠かないのもまた良かったです。
再び日常に戻りながらも、全員が明るい気持ち、吹っ切れた感じで進んでいく姿が本当に良かったです。それぞれの人生を何気ないきっかけで進む自信を掴んでいく、普遍的なテーマながらもそれを等身大に描いてくれた製作陣の優しさがこれでもかと伝わってきました。
個性豊かな俳優陣の面々が映画に華を添えてくれているのも最高でした。特に編集者の初期位置が風呂場なので、常に登場する際はシャンプーをのせたまんま半裸で現れるので毎回笑いを掻っ攫っていってくれます。ほんの少し映るだけでも爆笑させてくれるのでベストバイプレイヤーでした。
東京住まいではないので、中々ヨーロッパ企画の舞台や下北沢トリウッドに行けないのが非常にもどかしいですが、機会を作って訪問してみたいなと思っています。ヨーロッパ企画の凄さを再び体験することができて嬉しさいっぱいです。今年ベスト候補です。
鑑賞日 6/23
鑑賞時間 11:30〜13:05
座席 H-11
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