「和製タイムリープの傑作!」リバー、流れないでよ 西の海へさらりさんの映画レビュー(感想・評価)
和製タイムリープの傑作!
ツイッター(X)でやたらめったら高評価の「リバー、流れないでよ」。面白い面白いと誰もが言うもんだから、昼休みにでも観てやるかと、そんな偉そうな気分でみちゃったら。あれれ、これは?いやだ、タイムループものじゃないかと!観尽くしましたよ。そんな切り口。
「恋はデジャヴ」:ビル・マーレの繰り返すやつね。恋愛もの。「オール・ユー・ニード・イズ・キル」:トムのアレね。戦いの。「ハッピー・デス・デイ」:繰り返し殺されるやつね。「コンティニュー」:ジョー・カーナハン監督ね。ゲーム的。
繰り返しモノはこの四天王ってことになっていたんだけど、邦画でついに入り込んだね「リバー、流れないでよ」。舞台の貴船がいい。目の前に貴船神社。舞台は「ふじや」?主演の藤谷理子、ふじ?ハイ実家らしいです。
何がすごいって、世界線の設定にしているけどこれ撮影季節変わってると思う。雪降ってたり、カラッからだったりと。通常営業しながら、これだけのキャスト集めるのは至難のワザ!
で、映画観ている途中で、宅急便。一時停止に。キャストをスマホで調べる。ん?「ヨーロッパ企画」あぁ、同志社大学からの。あぁ、そうかそうか。そりゃぁ、面白いはずだ、上田誠か!呼び捨てですが、家のリビングで観てたらたいがい呼び捨てです。
・二分間同じ時間が繰り返される点・その舞台となる場所にいる人たちもタイムリープを理解・記憶、感情持ち越し
この三要素がうまく絡み合っていてよかった。二分か、これは舞台ポイ演出だと勝手に舞台鑑賞バイアスがはいっちゃったけど。
タイムループものって、飽きてくるんです。どこかで、その繰り返しの設定がまぁショートカットされる運びになるのだが、登場人物がこなれてきて、予知できるというか。この映画の場合は、キャスト全てがタイムループについて認識しているもんだから、ドタバタ感に発展する。
どう動くかわかっていても、相手は同じ行動をとるとは限らない。ここ新しい。通常のタイムループものは、主人公だけがループの概念を認識していてそれを活用するという、いわゆる「チート」ものになりがちだ。
だけど、そんな話じゃなくて、積み上げていく知識も集団のなかならどう変わっていくのか、ってのが物語の軸として群像感生み出してキャラクターが走るというか。
見えていないところで、キャストが動いていて、それが伏線になったりして笑いが産まれると言うところ、僕がむかーし観た東京サンシャインボーイズの「ショウ・マスト・ゴー・オン」は、たしか梶原善がなんか彫り物していて(木彫り)、それが伏線回収につながるみたいな。ゲラゲラ笑ったのを覚えている。違ったらゴメン。
そこまで、長く引っ張る伏線はないけど、ジワジワとお出汁が染みてくるみたいないい笑いもあり。個人的には、「返り血のあたり」をもっと広げて欲しかった。
キャストの藤谷理子、私の勉強不足。勉強不足とは末恐ろしい。いい俳優がいるもんですね。舞台やラジオでも活躍されている方だけど(テレビもあるけど)、すっごくフォーカスされているわけじゃない。こういう俳優がもっと強く出て欲しいと思うほどに、演技巧者だなぁと思った次第。
アニメなんかで、俳優が宣伝がらみの役割で声担当になることあるけれど、そういう場合大抵、声が浮いている。他の出演者が別にアニメアニメしているわけでなくても、どこか俳優が声をあてるとぶっきらぼうな、浮いたレイヤー別のような声になる。これは悪い例だけど、いわゆる悪目立ち。
藤谷理子がもっと他の俳優たちと演技すれば、確かに別レイヤーのように感じるかもしれない。それは悪目立ちというよりも、良い演技すぎて目立つというか。最初の川始まりのシーン、なんぼあるねんパターン!というくらいシーンごとに演技プランが違う。これは、演出からの指定があったとしてもだいぶ自分でかみ砕いていないと演技できないと思うのだ(僕素人です)。
別レイヤーで僕たちがいつも見ているテレビの世界にも乗り込んで欲しいなと思える俳優であった。
低予算?ノンノン、チープ?ノンノン。とても良くできた日本版タイムループの傑作「リバー、流れないでよ」ぜひご覧ください!