「またパート1商法かぁ……からの怒る原作厨」劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) 烏丸沙鴎さんの映画レビュー(感想・評価)
またパート1商法かぁ……からの怒る原作厨
原作全巻持ちです。
原作読んでないと下記レビューについていけないです。悪しからず。
「エンジェルダスト」の名前が示す通り、シティーハンターという作品の根幹に触れる部分をどう描いてくれるのかと期待して行ったら前回以下のものを出されて憤慨している。
まずは続編ありきのパート1商法。
今年はミッションインポッシブルでもくらった商法だ。前回のヒットに続き、作品の延命を図り引張った魂胆が丸見えで怒りすら感じる。
本編も今回の敵役・仇役のキャラクターの心理も寄り添えず、小物感が増してしまった。
全くドラマがない。沢城演じるアンジーも冴羽獠にもっと固執する過去や出来事がもっと必要だったのではないか。それを追い詰め、庇う二人も何もドラマがない。全体的に薄っぺらさが残る。
そして作画もあまり良くなく、かなり端折った部分が見られた。北条司というあの画力の出力を持つ映像化がこの程度かと思う。北条先生はこの作品をどう見たのだろうか?
そして見え見えのプロモーション。
サッポロビールとエースコックのカップ麺のわざとらしさとそこだけ作画がしっかりしているのはもうコメディーだ。
協賛か製作委員会に加わっているのだろうが、あれは明らかにマイナスだ。協賛した会社もあの演出で食べたくなると思うのなら担当を変えるべきだ。
見て食べたくなるのはジブリの飯のように自然に出て来て主人公が旨そうに食べる飯だ。自然に溶け込んでいないことで異物感が増していた。(海坊主の4WDもそう)
ならいっそのこと香がサッポロの100tのビール瓶でぶっ叩き「勿体ない」としてしたほうがよっぽど生きないか?
アクションシーンで寝そうになったのは初めてだ。単調な銃撃戦で緊張感もない。監督と脚本はシティーハンターの獠vs海坊主戦を読んだのだろうか。
読んでないなら失格だし、読んでいたなら実力不足だ。
またギャグパートとのメリハリもヌメッとして湿気たウエハースを食べてる感じ。銀魂のようなメリハリがない。
そしてギャグパートで重要なワード「もっこり」も全年齢対象にする為に勃起シーンを無くしている。昨今の事情があるのだろうが、全配慮でこれも原作を無視。
原作では勃起ギミックで色々笑わせてもらったが寂しい限りだ。でもこれってシティーハンターだよね?
また蛇足感があるゲストの多さも作品のスピードを失速させている。
そば屋に美味い蕎麦(シティーハンター)を食べに行ったら、セットをおすすめされて丼物(ルパン)やデザート(ガンダムUC)、さらにはおすすめなので食べてみてとサービスでうどん(キャッツ・アイ)まで出されてともかく食べたが、あれもこれもとなり結局何を食べたかわからない感じ。
蕎麦屋ならしっかりと蕎麦で勝負していただきたい。
それを求めて来ているのだから……。
映画館で見る価値はあったかと問われれば、ない。金曜ロードショーなら見るレベル。
昔の叩かれた金曜ロードショーより酷かった。
エンジェルダストの解釈が時代的に麻薬的なものからナノマシンに変更され、原作からリアルに解釈を変更出来たにも関わらずこのザマ。
果たして次作は原作を超えられるのか。
はたまたコンテンツとしての死か。
本気で作品に取り組んでいただきたい。