劇場公開日 2022年7月1日

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「トップの言動」モガディシュ 脱出までの14日間 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0トップの言動

2022年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

評判を聞きつけ、公開4週目でようやくの鑑賞となった本作ですが、結論から言えば見応え十分な良作で、緊迫感と迫力をより感じるためにも劇場鑑賞の意味が大きな作品だと思います。
「事実を基に作られた」この作品は、あることをきっかけに反乱軍に一般市民が同調し、数日の間に一気に戦場と化した首都モガディシュにおける外国人の脱出劇であり、シーンとしては目を覆いたくなるような場面も少なくありません。
しかし、これをいい意味で見事にエンターテインメントな作品に仕上げているところは、流石リュ・スンワン監督の手腕だと感じます。
国際情勢の中で主導権をとるため、しのぎを削る南北両国の駆け引きが活発化している最中、内戦化のソマリアにおいてまさに「同族であるにかかわらず敵」である両国が、不信感と戸惑いの中で「生存」という目的のために協力し合い「ソマリアからの脱出」を図る展開、特に後半の車での脱出シーンは「手に汗握る」という言葉が単なる表現でないくらい興奮します。
またこういう状況で重要なこととして、自ら判断を下し、部下を言い聞かせ、さらに先頭に立って実現に向かおうとする「トップの言動」に、その存在意義を大きく感じます。
そしてまた、生死を分ける状況を共にした両国大使、職員、外交官とその家族一同も結局はまた、「対立と分断」の現実に帰っていかざるを得ないやるせなさが心に沁みます。
最後のシーンからエンドクレジットへの入り方も好みです。

TWDera