劇場公開日 2022年7月1日

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「この夏前半のイチオシ ! 絶対ソンさせまへん !!」モガディシュ 脱出までの14日間 ドミトリー・グーロフさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この夏前半のイチオシ ! 絶対ソンさせまへん !!

2022年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

国際都市ベルリンを舞台に各国のスパイが入り乱れる『ベルリンファイル』において、まばたきすら許されぬ、スリリングな「人間ドラマ」を描いてみせたリュ・スンワン監督。彼の最新作と聞きつけて足を運んだ本作ですが、『ベルリン…』をも凌ぐ国際的スケールのデカさ、実話ベースのリアルな創り込み、そして驚愕のストーリー展開によって、事前の期待値を、はるかに高く、大きく超えてきました!
本作については、既にあちこちで「『アルゴ』に始まり、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で終わる」と指摘されており、確かにそのとおりなのですが、前述の2作と明らかに異なるのが、ヒーローらしからぬ主人公たちです。強引に例えると、彼らの佇まいは、私たちの日常生活において、通勤途上の駅ホームに、オフィスに、駅前コンビニに見られるおじさん、女性、若者、子どもたちのそれなのです。決してベン・アフレックやトム・ハーディ、シャーリーズ・セロンではない。そんな、ヒーロー然としていない彼ら/彼女らの“リアル”が、ときに映画的な「やり過ぎ」描写を中和し、怒涛のクライマックスへと向かう推進力になっていました。
ラストシーンの後味は、ふと『アラビアのロレンス』さえ思い起こさせ、、、と言ったら褒めすぎか。ともあれ、7月必見の1本なのは間違いないでしょう。劇場の大きなスクリーンでご覧になることを、強くお薦めします。

ルピノ