エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのレビュー・感想・評価
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ざっくりいうとマトリックス
TSUTAYAだったらどの棚に置くの?
複雑なメタバース構造とシンプルな物語と感銘
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい)
結論から言うと非常に面白く見ました。
この映画は一見複雑なメタバース構造をしていますが、内容は非常に普遍的でシンプルな物語だと思われました。
この映画は、ものすごく雑にまとめると、
<少し古い考えの母親 vs LGBTQの娘>
という2人の対立の映画だと思われます。
それだけだとイマイチだな、と正直、鑑賞途中は思われたのですが、さらに物語は進んで、それぞれ母と娘の1段深い話(母の方はもっと輝ける別の生き方あるいはそれをあきらめたからこそ古い考えに縛られている、娘の方は自分が理解されないこんな世界には”死(虚無)”(ベーグル)を)に進みます。
そしてこの映画の優れた点は、その母と娘の対立の解決策を、母の輝ける他の可能性未来にも、娘が理解されないこの世界を虚無に崩壊させることにも、≪どちらにも求めていない≫ところにあると思われました。
わたしは、この母の方でもない娘の方でもない解決策の提示に大変感銘を受けました。
もちろんこの映画の最後に描かれた解決策は混乱が伴い、一時的な安息でしかないのかもしれませんし、娘を虚無(ベーグル)の世界から取り戻すのに納得感が得られなかった人もいたかもしれません。
また、メタバースの複雑な装いの割には、映画の内容がシンプルでやや抽象に偏っているとの評価があるかもしれません。
これが様々な一般レビューでの両極端な評価につながっている理由と思われます。
ただ、私はこの映画で提示された解決策は深い人間理解から来ていると感じ、納得の質の映画と思われこの評価となりました。
非常に現在性ある優れた映画だと思われ面白く見ました。
多元宇宙全体に広げた風呂敷はタタミ一畳分の広さしかなかった
扱ってるテーマに普遍性を感じるので、アカデミー賞ノミネートは分からんではないけど、はっきり言って万人受けしないエッジが効きまくった作品です。
マルチバースという設定に違和感なく着いて来れるか?
割とモロだしの下ネタギャグを受け入れられるか?で評価がハッキリ別れるはず。
私は割と楽しめた方でしたが、正直2時間20分の上映時間は長過ぎて鑑賞後グッタリしてました…
2時間で充分描き切れる内容だと思うので、冗長なパートを削ってよりシャープにすれば星+1になったかな?
■良かったところ
・ふざけたコメディと荒唐無稽なアクションが大半を締める割には、移民・同性愛・熟年離婚・介護・貧困…etc現代社会が抱える問題から逃げずにきちんと解決しようとする姿勢が誠実に感じられた
・ジャッキーチェンの街角カンフーの流れを汲む、ランダムシチュエーションでの戦闘がアイデアいっぱいで楽しい
・中盤以降に現れる「岩しか存在しないユニバース」が破茶滅茶な展開の中での清涼剤のように作用して、動→静→動の振れ幅がとても良かった
・日本のサブカルチャーにもかなり目配せしてくれているのはとても嬉しい⭕️今敏の「千年女優」は言うに及ばず、靴の匂いを嗅がせるシーンはクレヨンしんちゃんの傑作「オトナ帝国」を彷彿とさせるシーンで思わずニヤリ
■イマイチな点
・主人公エヴリンがいるユニバースでの出来事は全て「自宅のランドリー」と「国税庁」の2箇所でしか行われてないので絵面が変わらず、バトルシーンがやや冗長に感じられてしまう
・敵と味方の構図がイマイチ分かりにくいので戦闘シーンでのカタルシスが物足りない。例えば監査官のおばちゃんとのバトル→別のユニバースではおばちゃんと愛しあっているシークエンス→また自分のユニバースでおばちゃんとバトル…と行ったり来たりするので感情の置き所に困ってしまう
・下ネタが露骨過ぎて、メチャメチャ好き嫌いが別れる。私は正直やり過ぎだと思った
苦痛でした
参りました!ミシェル・ヨー・キー・ホイクァンの演技が見事。
参りました!本作品はアカデミー賞作品賞本命などを忘れて頭を真っ白にして鑑賞したが脱帽。あの破茶滅茶なストーリー展開からしっかり本作品のポイントを押さえている点に脱帽。ミシェル・ヨー、キー・ホイクァンの演技はお見事でした。例えだが、何か映画館で幕ノ内弁当を食べている感覚が本作品なのかもしれない。正直、もう1回観たい気がした作品。ただ、惜しむらくは140分は長すぎる。せめて120分ぐらいにまとめる事はできなかったのか。本作品は何も考えずにご覧になった方がいい作品だと思います。
違ったら完璧だった
とても壮大で、あまりにバカバカしい
平凡な日々に飽き飽きしてるママが、別の世界線と繋がることで宇宙(?)を救う話。
思いの外、けっこう評価低いのがビックリ。
兄妹で共有してるおもちゃ箱をひっくり返したような映画。真面目に変なキャラたちが戦闘しているところ、ゲームのMOTHERを思い出した。
途中まで「これは一体なにを見ているんだ…?」と混乱。ただ世界線が繋がるルールが何となく分かると、バカバカしさに面白さが加速。
世界線がごちゃごちゃしてきて考えるの止めてから、終盤になんか深いテーマ投げかけてきて泣いた。
と思ったらやっぱりくだらなくて、再びなにを見ているのか分からなくなる、という思考をごった煮される感覚大好きです。
冒頭の鏡、世界線飛び越えるときの演出、エレベーター、石、映画館などのバラエティー豊かな表現に感動。とりあえずエネルギーに圧倒された。
脳みそが疲れます
訳の分からん共感ゼロの暴力映画
メタバースの話しなので、現在のIT技術を進化させて新しい社会の可能性を考えるリアル未来を想像しながら着席。
あれ?リアルじゃないちょろいSF設定じゃん。
家族でコインランドリーを経営する主人公のエヴリン、家族で確定申告に税務署に行き、不正をしようとしてる事がバレて、やり直しする流れになった所から暴力メタバースが始まる。
別次元じゃなく沢山ある別宇宙からやってくる人達。ん?同時に同一人物が生存しているが、職業はバラバラ。環境は全く違うのに同じ人物。何よりどこも人間なの?何の為にやってきてるのかも謎。乗り移りなのか、別人なのかもハッキリ分からず。もし手がソーセージ風になってる社会なら、この地球と同じ道具は不自然すぎるよ。1番嫌だったのが、どの宇宙の奴も暴力で解決しようとする所。ちょっと下ネタがあったりしたので、もう少しコメディ色が強ければ楽しめたかもしれないけど、ずっとモヤモヤ。セリフ違いの同じシーンが何度も繰り返されるが、これって時間が戻ってるって事?そんな設定おかしいよ。生命ができない星で岩の親子って何だよ?最初から最後までテンポは良かったけど納得できずガッカリ。この作品がアカデミー賞にノミネートされてるのは、中国で興行収入を上げたいからとしか思えなかった。とても残念でした。
◇脱構築されたマルチバース不思議世界
物語は、鏡を使った凝ったカメラワークから始まります。一転、雑然とした生活臭漂う室内、続いてよくあるオフィス風景、ジャッキーチェン風のカンフーアクション。前半の展開では、香港映画の勧善懲悪、予定調和的なエンタメ作品か、と油断して観てました。
やられました。前半の凡庸さはマルチバースに対する平凡な日常の姿というフェイクだったのです。但し「宇宙の夫」という合わせ鏡的な展開までは、よくある二重世界構造の手法です。
ここに、難しい年頃の娘、要介護の義父、税務署の女、それぞれがそれぞれのマルチバースを展開し始めます。それぞれの映像世界観はミュージック・ビデオのように煌びやかでテンポも抜群です。
中盤以降は加速度的に世界が切り替わり、辻褄を合わせようとしてしまう観る側の思考そのものを嘲笑うかのようです。
緩いテーマは家族。母→娘の相似形の時間の流れ、日常生活の常識の中にはまり込んでしまった母親にとっては、家庭から出て行こうとする娘の行動そのものが異次元に感じてしまう。一方で、自分自身にも駆け落ちした過去があり、そこには、若くて愛に溢れた夫の姿を見たりします。
この映画の世界観そのものが、今見ているスマホの世界に似ている気がして、ゾッとしてしまいました。カレンダーを見ようと開いたスマホの画面に現れたSNSにそのまんま繋がって画面をスクロールし始めたり、何かを調べようと立ち上げた検索画面に現れる広告から買物を始めてみたり。並列的にとめどなく広がる世界が無限に広がっている感覚の病理性。
そんなスマホ脳🧠の人間たちの人間関係とは、分裂症の集団みたいなもの。それぞれの断片的な関心事に基づいた関係が、無限に混沌を積み重ねたような空虚な社会を形成しているのかもしれません。
この馬鹿馬鹿しい世界観の映画を観ながら、ふと我に返る時のホラー。なかなか侮れない世界観でした。
キー・ホイ・クァン
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