エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのレビュー・感想・評価
全705件中、321~340件目を表示
アカデミー賞で話題になったものの
まぁ、それなりの面白さだった。カルト映画に寄せて製作したのだろう。そんな雰囲気が全体的に漂っていた。しかし、メキシコのシャーマンによって扱われる怒れる神のペヨーテが日本へやって来て、スピリチュアル的な要素を全面的に抜かれ、ただの観賞用サボテンである「烏羽玉」に成り下がってしまったような物足りなさが、いわゆるアカデミー賞で選ばれる作品だと痛感した。毒気を抜いて、万人受けするように見映え良くして、カルト風味を残せば、全国ロードショー公開作品となり、ここ最近のアカデミー賞も獲得出来るようだ。キャスティングもここ最近のハリウッドの傾向の多様性であり、取るべくして取れたアカデミー賞のようだ。この作品はカルト映画ではない。カルト風味の消費される作品である。
やっぱり焼き肉が一番美味い
僕はやっぱりトップガンにアカデミー賞取って欲しかったんですよ。それがこのエブエブが作品賞取っちゃった。これトップガンより面白いのかなあと思ってたとき、映画好きの友達がストーリーに最高の映画って言ってこの映画をあげてたから。観に行くかと。
結果から言うとラストは睡魔と闘いながら観てました。
クソほどつまんないかと聞かれるとそんなことはないと答えるかもしれないけど。やっぱり僕はそんな好きじゃなかった。
僕には終始、カオスってのを言い訳にしてるようにしか思えなかったんです。マルチバースとかの設定とかは全然嫌いじゃないんだけど、この作品のマルチバースはカッコよくないんです。ロマンがないんです。カオスってただダセエだけじゃんって。奇抜なだけで。草間彌生が戦っててもカッコよくないじゃないですか。ジェーム・ズボンドとか、トニー・スタークとか、レイ・スカイウォーカーの方がやっぱりカッコいいじゃん。
主人公のあのおばさんより僕はやっぱり、マルチバースの力に頼らずパイロットこそが生き様、俺は空に生きる男なんだと熱いパッションを持ったトムクルーズが好きなんです。ピート・マーヴェリック・ミッチェル大佐が好きなんです。
あとこんなことを言ったら時代錯誤になっちゃうかもしれないけど、やっぱり近年の映画で見られるようなアジア俳優やジェンダーレス問題とかを組み込まないと映画としてアカデミー賞みたいな舞台で評価されないのかなあと思ってしまう。別に嫌いじゃないんだけど、僕はここまで、鍛えられた体を持ち、綺麗な目をして、白い歯が耀く、綺麗な女の人たちをコロッと落としてしまうそんな主人公で育ってきたから、やっぱり慣れないよなあと。
パクチーって好き嫌いしてる人多いと思うけど、それは調理の仕方次第。変な匂いがするって先入観を持ってるから美味しく無く感じるんだよ。ほら、私がこんなにたくさんの調味料をブレンドして、何日間も煮込んだこのスープにたっぷりのパクチーを入れるとこんなにも美味しくなるんだよ。
うん、まあ確かに美味しいと思うけど、特上カルビと白飯には敵わんよなあ。
↑
僕が言いたいのはこれです。
前半退屈、中盤やや盛り上がり、最後によかったかなと思わせるけど、前...
前半退屈、中盤やや盛り上がり、最後によかったかなと思わせるけど、前半の退屈さは作品全体の評価をどうしても下げてしまう。それっぽく見えるアクションが実はチープ?
その母娘喧嘩、宇宙を駆ける... 別の人生の可能性に未練タラタラな中年女性がマルチバースでバカをやりきって人生に喝!な映画
ついこの間の第95回アカデミー賞で11部門でノミネートされ、アジア人女性初の主演女優賞をはじめ作品賞7部門で受賞を果たした記念碑的傑作!!…ながらその中身は切れ味鋭いカンフーとマルチバースへ跳躍するための起爆剤としてのおバカ行為に塗れており、その深奥には家族愛がある、という満漢全席というよりも断然、ゲテモノ料理といったほうがしっくり来るような胃もたれのするようなキワモノ作です。
きちんとしたプロの映画評論家の論評を聞いたうえでないととても内容を咀嚼できない快作にして怪作ですが、とにもかくにもまずは予備知識を入れずにこの訳の分からなさを二時間半堪能するのが筋なのでは、とも思います。
ともあれ、造り手側の多様性はもとより、こんだけのカオスな作品が盛大に評価されて保守的な映画賞に風穴を開けた、ということだけでも手放しで喜ぶべきことではないかと思います。
すべてのものを全部引き受ける
everything
everywhere
all at ones
大切な心が題にすべて集約されている。
マルチバース
すべてのものをすべての場所ですべて一度に
ワン一家と取り巻く世界の人たちの物語。
エヴリン・ウェイモンド・ジョイ・ゴンゴン
そしてベッキー
家族の葛藤、すべてを受けとめること
コメディで今の世の中に薄れているkindとmindを取り戻した。
あなたのすべてを…これが大事だよ。
アカデミー賞7部門受賞、快挙。
ミシェル・ヨー素敵なオスカー受賞のコメント
キー・ホイ・クワンはインディジョーンズ・グーニーズで大好きだった子役。
20年振りの役者カムバック、しかもスピルバーグ監督もフェイブルマンズで同席するアカデミー受賞式
助演男優賞コメントに😭感涙
監督はスイスアーミーマンのダニエル・クワン
やったぜ!
カンフーおばさんVSプロレスおばあさん、時々プロフェッサーおじい
潰れかけのコインランドリーを経営する平凡な女性エブリンは、ある日突然平行世界から来た別次元の夫ウェイモンドに“平行世界全体崩壊の危機、救えるのは君だけだ”と騒動に巻き込まれる、バースジャンプと呼ばれる平行世界の自分にアクセスしてさまざまな技能を習得できる技術を駆使して襲撃者に立ち向かう、果たして宇宙の運命は、、、
見始めはバースジャンプの仕組みが分かりにくいかと思ったけど案外すぐに慣れる、というかジャンプするためのキー(マトリクスでいうとログアウト時の電話を取る、みたいなやつ)がくだらなすぎて何か細かい設定とかどうでもよくなる
さて我らが主人公エブリンはユニバース全体に偏在する個体を持つ特異点のような存在(普通の人は数パターンの似通った人生を持つだけ)
の中でも最底辺の個体、夢想家で様々なことに挑戦しては挫折を繰り返す集中力のない人間
実は彼女の挫折こそが別のエブリンの成功に枝分かれしており、バースジャンプによって万能の力を引き出すことができる(集中力のなさ自体も映画と勘違いしていたものがラカクーニバースだったりとこれまで装置なしでも別のユニバースを白昼夢として見ていた可能性が仄めかされている)
対する全ユニバースを脅かすカオスの化身ジョブ・ドゥパキの正体は、エブリンの一人娘ジョイのアルファ体
アルファバースの母の人体実験で精神を壊されおちゃめな破壊者になってしまうどこぞの饒舌な傭兵のような存在(※キルズマーベルユニバースを参照)
ジョブも俺ちゃんと同様その騒々しい装いは無限のユニバースを知覚し、たった一人で永遠にも等しい時を生きる孤独を隠す鎧である
全ユニバース崩壊の鍵“ベーグル”もたったひとつの存在、自分を消し去るために作られたもの、もっと輝ける自分があった、と現在の自分を否定するエブリンと実に似た者親子だ
どんな人にでも愛すべき所はある、どんなに今が最悪でも楽観的になることは大きな武器、意地悪でいるよりも優しく出来ることの方が強い、
指がソーセージだったりケツにトロフィーぶっ刺したりくだらなさのオンパレードなのにストレートなメッセージが心を温める不思議な作品
とにかく下品なネタが受けつけなかった。
一気にSF,アクション、異次元など展開が移り変わっていきまして、それなりについていくのに必死。ミシェル・ヨーはカッコよかったし、キャスティングやその人たちの演技に何も問題はないけれど、とにかく下ネタが下品で笑えなかったし、楽しめなかったです。途中で何度も帰りたくなったけれど、最後の家族愛の受け皿が広がっていく感じに涙がほろっと。好きな人は楽しめたのでしょうが、それ以外は私の好みには合わず残念。
あまりにも、つまらない
こんなに、眠くなる映画は初めてです。毎月2本ほど映画館で見てますが、アカデミー作品賞をとったので見ておこうと思って見たのが間違いでした。本当につまらない映画で、品もなければどこに面白い所があるのか分からないくらい。
これまでの人生や映画を凝縮、核爆発!
正にタイトル通りの、感情レベルではそれ以上の圧倒的内容でした❣️ 内容について何も知らずに観たのですが、出だしの予想を全く違う次元で裏切られました。まさか後半で自分の見方がこんなに変わってしまうなんて信じられないくらいでした。パロディ、コメディな部分も面白いだけではない、演出に感動すらしてしまいます。枠にはめられない素晴らしい映画。ハチャメチャなのに、どういうわけか心が深く癒されました。
え?この独りよがりなB級映画がRRRよりも評価されたの???
こんな、日本アカデミー賞受賞でも首かしげた後「まあ新聞記者よりはマシか」で無理矢理納得するレベルの作品がアカデミー賞何部門も制覇してるの??
アメリカはんもえらい茶人でおますなぁ、って埼玉人なのにエセ京都弁でイヤミの一つも言いたくなるわ。RRRも無理矢理LGBTねじ込めば良かったのかな?とりあえずジェイクを【自主規制】
なんだろう、創作中華を名乗る店で珍妙なトッピングされた2000円の炒飯出されたときの、「このアイデア面白いでしょ?」「いや味まで考えてから客に出せよ」と言いたくなるあの感覚。隣の古い中華屋は650円で50年変わらない美味い炒飯だしてるってのに。
途中からは娘さんが場面場面で池脇千鶴に見えたり渡辺直美に見えたりする天国or地獄コイントスぐらいしか楽しみがありませんでした。
あとアメリカはんが言うと差別扱いされるんだろうけどこちとらチャキチャキのアジア人だから言わせてもらう、アップが多すぎて画面が汚い。
エブエブ 偉大なるC級映画
アカデミー賞の結果が出てから見ようと思っていたので本日鑑賞しました。
予想通り、ハチャメチャな作品でしたね。どう表現したらいいのか迷います。久しぶりに睡魔が襲い寝落ちしました。
でも、ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンのオスカー授賞は同じアジア人として嬉しい限り。特にキーは賞レースの先頭を走っていたから文句無し、ヨーは完全に今の勢いでとったと思う。
キーは久しぶりの映画復帰作で80年代に人気子役スターだっただけに、壇上でハリソン・フォードと抱き合うシーンは感涙しました。
厳しい評価が多いけど(自分含めて)これは仕方ないと思います。
疑問に思うのは、何故邦題を着けなかったんだ?
2、3年もしたら忘れてしまいますよ。
マルチバース
どう見てもアナルプラグ....
嫌な予感しかない.....
割とガチムチ男が使うとは....
巨根ディルドも出てきましたが
あれは双頭ディルド方が
ヌンチャクっぽく使うのに良さそうかも....
でも愛よね
やっぱり愛よね
でも愛は怨みや憎しみにも
変わりやすいのよね...
愛は全宇宙を救う!!
ノレなかった者の愚痴
本年のアカデミー作品賞の最有力候補作品というこで実は公開して早めに観に行ってたのですが、体調が悪かったのか眠くて眠くて(所々寝オチてしまい)かなりボヤケタ感覚での鑑賞になってしまいました。
なので、感想を言う資格はありませんので話題に挙げるのを我慢していたのですが、そうこうしているうちに本作がアカデミー各賞を席巻していました。
日本での一般評価も賛否分かれている様ですし、予告編までの感想位は許してください。
で、予告編ではまたマルチバースで、また中国人メインのポリコレアピール作品かよ、ってちょっと嫌な予感がしてあまり観たいという気持ちにはならなかったのだけど、しかし本作の場合マルチバースと言っても当然MCUの様な作品ではないだろうしA24制作だし、アカデミー作品賞最有力候補としてのアメリカでの高評価からすると当然それなりの通(若しくはインテリ)好みの捻った作品なんだろうと少しは期待してもいたのですが、残念ながら冒頭からノレませんでした。
最初から物語の芯は、よくある家族の再生と、こんな筈ではなかった自分の人生の見つめ直しという予想通りの展開に、いつの間にか瞼が落ちていたという結果でした。
しかし、やはり私にはアカデミー賞の判定基準や傾向は読めませんわ(苦笑)
まあ、なんにしても頭がクリアな状態での鑑賞では無かったので何を言っても無意味なのは分かっていますが、昔からアメリカ映画には人種差別・PTSD・LGBT・ポリコレ等々の社会問題を含んでいなければ評価しない様な権威が見え隠れしていて、それが映画の本質的な部分なのか、枠組みや意匠なのかが曖昧であざとさまで感じられる時が多々あります。
本来そういうものは(社会問題)、アカデミー賞に選ばれるような作品にではなく、大衆向けの例えばMCUとかDC作品の様な純粋娯楽作品の中にメッセージとして隠されていた方が好感が持てますし、大衆にはもっと効果的に浸透すると私は思うのですけどね。
権威のある賞であればあるほど、あからさまな社会性ではなく、人間の本質に深く切り込んだ作品選びをして欲しいと一映画ファンとしては願ってしまいます。
なので、配信などで放映されればもう一度再チャレンジするとは思いますが、作品の質は別にして恐らくちゃんと観たとしてもそれほどノレない様な気はします(爆)
マトリックスが好きなの分かるよな。目まぐるしいエンタメ。
働きづめで家族に優しくない(愛してるんだけれど)主人公が、なんか事件きっかけに、
思うようにならなくなって、半強制的に自分と家族を見直すことになる、みたいな
テーマってあるよな。家族の愛を逃しそうになるギリギリで気づくみたいな。
そういうのって男性主人公の多いから、これは女性が主人公なのも新しい感じかも。
移民や同性愛、アジア系、といった、日本では受け入れたくない人もいるような要素含んでるし、
下品と言われるような場面も、欧米では珍しくないネタなんだが、考えてみたら日本の映画ではそういうの一般的には使わないかも。だから海外に比べて日本でのうけ悪いのかもしれない。
しかし、ビジュアル的にすごく動きあり、カラフル、賑やか、でもって、サイバーな感じやファッショナブルなところもあり、カンフーは思ったより出てこないが・・・・まあ視覚的にすごく盛りだくさん。
俳優の演技がうまいのと、作り手の気持ちと息が合ってこそできた感じの映画。
監督の好きなもの思いっきり詰め込んだ作品。よくまとまったなw
自分の好みとは違うけれど、これはこれで凄いエンタメ映画だなーと感心した。
2回目も理解不能。。
米アカデミー賞でも作品賞をはじめ、各部門を総なめしたので、いろいろ確認のため2回目の観賞です。なんでもアリになりがちなマルチバースものは大の苦手なのだけど、この作品は異次元世界が今までになく無数に絡まり合ってもうぐちゃぐちゃ(笑)やっぱり理解不能でした。。
無限カオスな世界をビジュアライズした演出は確かに見事だけど、ストーリーは説明不足でラストはやっぱり愛で締めるのねという雑さ。長すぎる尺を難解な展開が続き、寝ちゃってる人もチラホラ。
イマジネーションが溢れているのと、クリエイティブな挑戦を感じるのと、人種やLGBTや生活苦などのテーマが、ツウ好みなアカデミーにウケたのかな。個人的に作品賞はエルヴィスやバビロン(ノミネートされなかったけど)の方が熱量を感じましたけどね。
とはいえ主演女優賞のミシェール・ヨーと助演男優賞のジョナサン・キー・クァンの受賞スピーチには感動しました。アジア系で役に恵まれなかったジョナサンは、インディジョーンズから見事に復活できて良かったね!
受賞作だからとハードル上げるとキツイけど、米アカデミー賞の潮流を探るには興味深い作品です😊
めちゃくちゃを楽しむ映画
しかしまぁ凄い作品が
アカデミー作品賞 +6冠を獲ったもんだな。
もちろんミシェル・ヨーに関しては
心からおめでとう!と言いたい\(´ω`)/
「グリーン・デスティニー」とか痺れたもんなー!
壮大なめちゃくちゃを楽しめるかどうかで賛否両論。
片付けてない部屋を
「汚い」と感じるか
「散らかってる」と感じるか。
“とんでもない映画”これがこの映画の答え。
個人的には、そこまでハマらなかった。
「衣装部、メイク部、大変そー」とか思って観てた(^_^;)
もちろんダメな映画ではない。私にハマらなかっただけ。
しかし最初に戻るけど
オスカーとは本当にその時代の象徴ですよね。
アジアの波だなー。
まーそれも映画ビジネスの面白さですね!
映像表現の力
映像、音楽、世界観に没入するには良い。
ストーリーはマルチバースを扱っているので
難解に感じるが、
描くのはひとつの家族に集約しているため、
割と見やすい。
過剰に映像表現に凝っているため、
特に後半は疲れる。
もっと短い方が好み。
不寛容な世界へぶち込む愛の爆弾
朝のワイドショーを見ていたら、アカデミー作品賞は見事『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が獲ったというニュース。それを見ながら「そんなたいそうな映画じゃないんだけどなあ」などと感じつつも、ぼくはなんだか嬉しかった。なぜちょっとばかしの違和感を感じたかというと、やっぱりオスカーは「まっすぐなエンタメ」が獲るという勝手なイメージがあって、この映画はその真逆を行く「ねじ曲がったエンタメ」であるし、もっと言うと素朴で小さな「家族についての映画」だと思ったからだ。
この作品が作品賞を始めアカデミー賞をほぼ総ナメした大きな理由の一つは、ここ数年ハリウッドが抱える(世界中が抱えるとも言える)リベラリズムの問題を抜きにしては考えられないだろう。だけど、そのへんは置いておいて。今日は忘れないうちに、この素晴らしい映画を観て想ったことを書き留めておこう。
例によって、なんの前知識もなく映画館へ。主人公エヴリンの夫ウェイモンドがあの『グーニーズ』の少年だということも後で聞いて「あ〜!!」と驚いたくらい。
予告編を見て、マルチバースを行き来しつつカンフーで戦うんだろうなと認識はしていたし、ストーリーはそこから遠くに逸れはしないが、ぼくは大きな勘違いをしていたようだ。
この映画は、マルチバース/カンフー/アメリカにおけるマイノリティの問題、この三つを大きな主題として持つ。
そもそもの製作開始の発露はどこだったんだろう?と想像してみる。中国人移民が主人公の映画を撮ろうと考えたのだろうか。アジア系アメリカ人であるダニエル・クワン監督の胸にはアジア人差別問題への意識も少なからずあるはず。それともマルチバースの映画を作ろうとしたのか?製作陣はアベンジャーズの監督でもあるし。はたまた、現代アメリカにおける最新のZ世代カンフー映画に挑戦したのかも。と、いろんなことを考えながら観た。ひょっとしたら、どれも間違っていないのかもしれない。しかし、ぼくが納得できた結論は、これは家族の映画だということだった。妻と夫、親と子。母親と娘。
SF的な説得力や、本格的カンフーのアクション性に欠ける(恐らくそれは意図的に?)本作だけど、そこがなんとなく空想の世界を進んでいるような、観客を夢見ごごちにさせる何かを持っている。この映画の真のリアリティは、娘が母親を見据える眼差し。あの、非難と哀れみと諦めが混ざり合ったような、あの眼差しだけではないだろうか。それはとりもなおさず、新しい世代が古い世代へいつも向けてきた眼差しでもある。
自分の子どもたちと日々を過ごしていると、長い年月のうちに大きなギャップができていることに、ふと気づく。自分が若かった頃、親の世代に押し付けられそうになったありとあらゆる古い価値観。そんなものと闘いながら成長したはずだったのに、ある日気づくと、自分も同じようなモノを子供たちにお仕着せしようとしている。
ある日、主人公エヴリンの娘ジョイはガールフレンドを伴って祖父(エヴリンの父)と会う。エヴリンは気を遣ったつもりで、高齢の父親に「ジョイの友人だ」とガールフレンドを紹介する。しかし、親のご都合主義は、娘の生き方の否定以外の何ものでもない。
その時ジョイが母に向ける目つき。ぼくは自分の子供たちが似たような色合いの目つきをぼくに向けたことを憶えている。ザラザラと苦い気持ちが心の底にじわっと広がる。彼らとぼくの間に明らかに横たわる、不寛容のマルチバース。
そんなときに親ができることは、実はそう多くはないのだろう。凝り固まった自分をぐちゃぐちゃに壊して、そして最後は愛のカンフーで闘うこと。そんなことくらいしかないのかも。この果てしのない距離を、少しでも埋められるのなら。
真っ直ぐに生きてきたつもりの世代の価値観が行き詰まりを見せ、そこから発生するネガティヴィティが世界をすっぽり覆い尽くそうとしている。それに対する究極のオルタナティヴな一手、愛のつまった爆弾が本作だと思った。
全705件中、321~340件目を表示