「良かったとは思えども、慣れるのにやや時間がかかったかも」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
良かったとは思えども、慣れるのにやや時間がかかったかも
久々にキー・ホイ・クァンの健在ぶりを見たさに行った感じだったので、その点は満足しました。
彼は終始良かったと思います。
ミシェル・ヨーもよく頑張ってこなしてて凄いと思った。
しかし、前半は馴染んでくるまで、掴みまでにちょっと時間を要した感じでした。
独特の世界観が理解できて、それに入っていけるのに手こずりました。
それと、SF調の娯楽作と思いきや、3世代の家族や親子や夫婦間の過去から現在までに至る行き違いや愛情等をメタバースで、「もう1人の」どころか多次元の自分や家族それぞれの“分身”らとの関わりを通して理解を深めたり、過ちの修復を図っていくみたいなお話で、ちょっと想像と違ってました(事前情報殆ど無しで観たので….)
後半、テンポも上がって来て面白いですが、やややり過ぎ感もしたのと、その割に(説明がましい?)セリフが結構多くなってしまっているのがちょっと疲れて来たかも。
まあ、「いちばん描き(訴え)たかったのは何か」をボヤかしてしまわないようにしつつ?娯楽作としてもバランス良く作り上げるのは難しい作業だったでしょうね。
よく出来た作品だったと思います。
逆に、アカデミー賞を殆ど総なめ状態の結果だった事で、ちょっと過度に期待し過ぎてしまったかも知れません(個人的に)。
強いて言うなら、「シン仮面ライダー」でもちょとだけ感じたことだけど、コッチは更に“盛りすぎ”なんじゃ無いかと。
本筋とは直接は関係ない(絶対的に必須とまでは)“情報”を潜在させる風潮も、度を過ぎると「オタクの祭典」とか「マニア度チェック(自慢)大会」と化し、フツーに映画を楽しみたいというスタンスの客層(年齢層も)から拒絶反応起こされる事を危惧します。
蛇足ながら、こうした手法についてちょっと考えてみて、あえてこうした作風を取って賛否を巻き起こすことやオタクネタをてんこ盛りする事でSNSで二次的に発生する「炎上」を意図的に狙ってのやり方かな?、とか、わが国でも若年層には日常化してると考えられる“タイパ”について考えるとこの映画だとさぞかしそれは難しい(全体倍速じゃ困難)だろうなど、余計な事がアタマに浮かんできちゃったりして……(笑)
しかし、ミシェル・ヨーに負けじとアクション・シーンもこなしてたキー・ホイ・クァンには、今後もますますの活躍を祈りたいところです。
この作品の最終的評価自体は「女王陛下の007」、「恐怖の報酬」、「遊星からの物体X」、「ブレード・ランナー」、「グレート・ブルー」、「リーサル・ウェポン(日本で)」といった、公開当時の時代には大衆から拒否反応されてオオコケして打ち切りの憂き目にあいながら、後年評価がひっくり返って現在は“早すぎた名作”のように言われる作品のようになるのか、興味深いところです。
(これらは全て劇場公開時に観ておいて良かったと思った作品なので。)