「たくさんの要素ばかり詰め込んで誰の物語かわからない」映画刀剣乱舞 黎明 テチャンさんの映画レビュー(感想・評価)
たくさんの要素ばかり詰め込んで誰の物語かわからない
今作はあらゆる要素をもりもりに詰めた映画となっていて、いろんな審神者と刀剣男士の組み合わせが個人的には凄く気に入って観に行きました。
素材1つ1つはいいものなんですが全体的に上手く合体されていないので、没入感が足りず現実に戻ってしまうような感覚を覚えてしまいました。
【良かったところ】
舞台で観てきた役者さんたちの演技の安心感は半端なく、映画でも私の知っている刀剣男士達で最高にかっこよかった。
刀の音も最高にマッチしていて興奮する。
アクションのカメラワークやテンポもよく、とにかくキャラクターの「かっこよさ」への演出は最高だと思う。
【微妙だったところ】
JK審神者の琴音に共感できないシナリオになってしまっている。JK審神者という要素には凄く期待していたのに上手く活用されていない。
カフェでのシーンは琴音の思春期らしさと三日月のマイペースなやり取りが面白く、琴音の友人の見舞いでのシーンは2人が打ち解けてる描写がありここらへんまではよかった。
問題は執務室でのシーン。みんなが危機的現状を話し合う中、協力を求める三日月に対して琴音は「それって、あの人を殺すのを手伝えってこと?」と空気が読めない返事をする。もうこのセリフが戦犯すぎて、急に現状を理解できていない頭お花畑JK審神者になってしまっている。
その後も口論を続けるのに都合よく敵が襲来し、三日月とは結局ちゃんと話し合えず、共闘することもなく我が道を行くJK審神者。敵を説得するJK審神者は出しゃばりすぎて正直見ていられなかった。
説得のポジションは敵と一緒に行動していたまんばちゃんであれば説得力が全然違うものになった気がする。
そもそも拐われたポジションのまんばちゃんの影も薄く、酒呑童子との関係を描写されていないので酒呑童子の人間性も浅いものになっていた。
いざ酒呑童子の首を切っても本人は死んでないので、琴音のセリフはなんだったんだよと意味がわからないことになっている。
全国に刀剣男士が顕現するシーンでは合成が酷く刀剣男士がなかなか浮いており、意味のない別撮りVFX合成になっている。これでVFXシーンをカウントするにはクオリティが低い。
VFXに関しては正直怪しいところはまあまああるが映画をつまらないものにしている要因までにはならないので予算頑張れ!としか思わない。
力が抜けた刀剣男士達をグレー表現にするのはちょっと突っ込みたいけど…
長義の「誰でも審神者になれる可能性がある」は
プリキュアかよと突っ込まずにはいられないし、この設定は正直余分要素。
【まとめ】
この映画があまり面白く感じないのは、キャラクター達とのいろんな関係性はあるはずなのにそこの描写が弱いまま物語を無理矢理終わらせてしまっているところだと思います。アクションシーンは最高に興奮するのに、話の本筋に戻ると冷めて観ちゃうので温度差が激しく辛かったです。
JK審神者が戦犯であればギャルが主人公でいいよと思ったのですが、結局ギャルが主人公でも脳内お花畑にされると思います。JK審神者という要素が悪いのではなく、あまりにも多い要素を上手く纏められていないシナリオが残念です。
うちは!!!!刀剣乱舞大好きなのに!!!!なんでこんなレビュー書かなきゃいけないんだよ!!!頼むから次も作ってくれよな!!!!