ダーク・プロトコルのレビュー・感想・評価
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転化
ヒトゲノム解析において最先端を行くバイオ研究所がナニモノかの攻撃を受け完全封鎖。唯一の生存者で研究の機密情報を有している女性科学者クロエから救難信号が発せられた。
SOSの依頼を受けた特殊部隊(傭兵さんたち)が救出任務を敢行。妊娠中で心身共に不安定な妻を独り家に残してきたベケットも、多額の報酬とこれを最後の任務にすることを条件に(相棒の頼みだからだったかも?)帰宅の予定を蹴って帯同することに。
果たして彼らは、所内への侵入を試みようと周囲を完全包囲している敵の目を掻い潜り、秘密の出入り口から博士を救出できるのか...
研究所での一連の騒動は、敵とされる者たちが侵入を試みたことに始まるものではなく、内部のナニカを閉じ込めようとしたことに端を発するのでは?
冒頭の事件の様相と救出任務の内容との間に生じる違和感を起点に、外敵の侵入を許していないより安全な場所及び退路として見出された研究所内部へと侵攻していく導入は、これから起きうるバイオハザードな展開への期待をこれでもかと煽る。
入口と出口、封鎖と侵入と脱出、アダムという名前先行の存在、全滅(全員感染)と唯一の生存者、仲間は襲わない、敵と奴らと怪物、身重の妻と吐き気と転化、正直者と嘘つき、あのことと名付け親、元同じ部隊と元カノ...etc、
報告内容(情報)の正誤、会話の行き違い、思い込みと事実、当事者と部外者の見立てとその照会、冗談も時と場合によっては...、
入口は出口になり得、出口は入口になり得る。
一見一旦その字面のままで成立するものの、実は解釈の余地を残しており正反対の意味にもなり得る事項によって立てられていく大小様々なフラグにブラフは心地良く、
異なる立場や動機を有する者たちが各々の裁量で葛藤決断し、別々のルートや分岐を辿る工程でソレらを絡めとりながら、共通の答え(物語の転化)へと導かれていく構成が中々に爽快だった。
「ツイン・ミュータント」では正反対な事象の併存状態を構成していると強引に解釈したけど、これはその構成がキャラクターの言動へと反映され、彼らの選択が物語を動かしていく様がはっきり見て取れるため、エンタメとしてかなり見やすくなってる。監督の次回作が待ち遠しい。
「バイオハザード」シリーズ...「地獄の変異」(2005)...「DOOM」(2005)...「バイオハザードX」(2007)...「リーピング」(2007)...「エイリアン・イン・キューブ」(2009)...「デビル・ハザード」(2009)...「コロニー5」(2013)...「モーガン プロトタイプL-9」(2016)...「ツイン・ミュータント」(2020)...
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