ロストケアのレビュー・感想・評価
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介護解放殺人
ロストケアだと肉親や大切なものを亡くした精神的苦痛を緩和することに思えてしまう、映画は肉親の介護に疲弊しきった家族を救いたい一心での殺人だからFreedom from caregiving、介護からの解放でしょう。
古くは楢山節考から最近のプラン75などまで高齢化社会での介護疲れや安楽死問題は根が深い、やまゆり園殺人事件と似たスケールだが犯人の動機は全く違う、この映画が深刻なのは何が正義か悩む検事役長澤まさみさんのように犯行に同情を覚える人がいるかもしれない怖さでしょう。老々介護問題や孤独死を防ぐために介護保険制度や施設があるのですが十分機能しているかは疑問です、誰もに訪れる死、ピンピンコロリを願うばかりです。
あえて暗い現実に踏み込んだ意欲的作品ではありますが、観ていて只々辛い映画でした。
思う事とした事は違う、衝撃のラストはどうしてこう成ったのか全国民で考えて欲しい!
油断する 長雨冷える 花見かな
もう桜咲いてんだね。しかも 一気に。
でも 生憎雨で 空に晴れ間はナシ・・・
そんな天候の中、今日は「ロストケア」鑑賞です。
この映画は 喪失の介護 ”ロストケア” がテ-マ。
喪失の介護 について原作からは
~殺すことで彼らと彼らの家族を救いました。
僕がやっていたことは介護です。~とされている。
ズバリ、介護の末における安楽死(殺人)という問題を
この映画で取り扱っています。
私自身も主人公と同じような家族の病と介護経験はあり
そして最後を見送りました。
この映画の話は決して特別では無くて、今の現実社会に
起こっている事象を淡々と描いていると感じます。
実は観ていて、とうとうコノ手の作品を目にする時が
来たのかと思ったぐらいで、
話展開スジは大体読めておりました。
今作は 観てて非常に重いテ-マと感じます。
原作は2013年頃以前の独身男性と父親介護における
話筋ですので、それから10年。
今は介護における現場環境や保険適用範囲なども
少しづつ改善されてきたので、映画を観ていて
少し現状との違いを感じるかも知れません。
基本的にはサスペンスと言う位置づけなんでしょうけども
全くその色は薄めで、検事が数学を使って犯人を絞り出すも
登場人物の少なさより 最初から彼が犯人と言う事は
スグに断定されてしまいます。
その点では肩透かし的内容でしょう。
実父を苦難の介護の末に亡くしたのに、
自身が介護士となって41人もの自身の経験と同環境下の
要介護者を救ってあげたいと勘違いし、安楽死させるのは
誠に身勝手。
映画では余りこの殺害された家族等のクロ-ズアップな扱いが
されておらず各家庭の事情があまり良く分かりません。
41人という数字が浅く取り扱われて映ってしまってるのが残念。
今作は、主として犯人の斯波が何故こんなにも人の命を絶ったのか。その発端となった自身の父の介護と苦労して生きてきた内容に視点を置いて描かれています。
また彼を追い詰める検事 大友との介護生活環境の
対比描写があり、貧困は更なる悲劇を生む原点と
思わせる節を感じます。
まさに穴に落ちた者の世界と、そうでない者の世界です。
大友のラストの涙の告白で、斯波の今までの行いを分かった様に思わせるのですが全くその点が心に響いて来なくて 最も残念に感じた次第。
総合で★は3.5程度かなと思います。
(作品)
原作:葉真中顕氏
監督:前田哲氏
(MC)
・斯波宗典 主人公介護士:松山ケンイチさん
※会社を辞め父の介護をする。後に介護士に。
・斯波正作 主人公の父:柄本明さん
※脳梗塞、認知症発症、父子で暮らす。
・大友秀美 検事:長澤まさみさん
※実父の助け無視し死なせる。
・大友の母 介護施設にいる:藤田弓子さん
※早くに離婚し一人娘を立派に育てて施設へ自ら入る。
・椎名幸太 検事補佐:鈴鹿央士さん
※得意な数学を用い犯人を断定する。
・介護老人の家族:坂井真紀さん
※最後は犯人に感謝
・介護老人の家族:戸田菜穂さん
※最後は犯人を人殺しと罵る
(思った事)
・施設長が自信の借金を埋めるために、預かってる鍵で介護宅へ窃盗侵入の流れは非常に残念。有っては成らない事だと思う。ここは結構問題でゾッとした。
・斯波が犯人と分かって、慕っていたのに目標を失い介護職を辞めた若い女性が風俗?に転職しているのが何故と感じた。
あるTV番組で介護も風俗も人の接し方や仕事感覚が近いと話してる子がいたのが頭によぎった。
・結局 最後の裁判の行方はどうなったのか?分かんないまま。
・斯波が生活を追い込まれて 生活保護を受けに役所へ。
自身が働ける事を理由に断られるのだが、そこの点が本当に憤る。
父と二人で暮らしてるから生活保護受けられない。独居にして生活保護を受けさせて介護保険適用したらという声があったけど。
年間20万件ほど毎年増えてるこの現場で皆が同じ事をしたらどうなるのさ?
そんな事まかり通ると思ってる?どっかが破綻するでしょ。
真面目に働いて税金入れてる若者からしたら 何かおかしくね?って声でそう。
この部分の問題提起したことは 良い場面だったと感じます。
・検事の母が良い施設に入れている点。
現在そんなに簡単に施設には入れないと思う。
毎月高額で受け入れている所はスグに入れられるが、そんなのが利用できる方は所得が高い人と思うね。
入所の順番もケアマネ次第でもあるし。自身も入所に関しては不公平を受けることは多々あった。
家族が面会に来てる時は丁寧な対応をしてくれる施設は多かったと思う。だけど帰った後どんな対応をされているのか・・・認知症の親を預けると気になる事があったのも確かで。何も文句は言えない家族と、嫌なら家で介護をという板挟みに陥る人もいると思う。
・大友の既に離ればなれの実父からの急に電話がくる訳無いだろうし、見捨てておいて 死んでから反省とか・・・いらんね そんな思いわ と感じた。
・二人の生活の途方の果てに、斯波が父を死なす場面。
親の介護をしてきた自分は観ていてやるせない思いがしたな。
実の所 事情はメッチャ理解できるが、
死なしては欲しくは無かったなの思い。
ここは 思い留まって耐えて耐えて
二人して涙を流して欲しかった。
生きるって事に 前に向いて欲しいと思うわ。
・父を死に至らせる描写を変えて欲しい思い。
※死なす事が出来ない悲痛な叫び、思いを表現させる。
父の唯一自由になる手を 息子の手の上に重ねて
息子の指を押して自身の腕に流し込む~。
つまり、息子を犯人にするのでは無く、
父自身の思いで自殺に導いた・・・との 表現が
一番良いと思うのだけど。
・今作の 白髪にして役作り頑張った松山さんと、
父役の柄本さんは 両名共、迫真の演技でとっても
素晴らしい親子の間柄だったと思いました。
衝撃のラスト展開は、全国の役所の福祉課や介護施設で繰り返し
流して欲しいね。国民皆で考えると良いよ。
現代における介護の問題作!
ご興味有ります方は
是非 劇場へ!
救い・・・‼️
介護センターで40数人の老人の死亡が発覚。介護士の斯波が容疑者として浮上、検事の大友が取り調べを開始。取り調べに対して、斯波は自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張する・・・‼️高齢化による要介護の問題と、介護する家族の疲労、そして介護センターの介護士たちの日常‼️日本に限らず世界における介護状況の縮図ですよね‼️取調室における感情をあらわにする長澤まさみと、冷静に自らの考えを伝える松山ケンイチの "対決" は見応えあります‼️そして「お父さんを返せ!!」と声を上げる遺族、「救われました」と斯波に感謝し新たな人生を歩もうとする遺族の女性、そして尊敬していた斯波の逮捕にショックを受け、風俗に身を落とす同僚の女性、実は要介護の母を施設に入れ、長年音信不通の父からの電話を無視し、死に追いやってしまった大友‼️様々な人間模様が描かれます‼️ホント深いです‼️そしてラスト、面会室での斯波と大友の会話シーンは魂を揺さぶられる素晴らしさ‼️長澤まさみさん、松山ケンイチさん、素晴らしい演技でした‼️
擁護も同調も出来ないが、理解出来る。
超高齢化社会を迎え、あらゆる面で私達は逼迫している。
反面、高齢者介護や在宅医療介護、在宅看護などで、儲けている会社があるというのも現実であり、生活が締め付けられ、少ない年金生活を強いられている人々との対比は皮肉だ。
が、40年間年金を払い続け、定年後貰える金額は
生活出来るような金額ではない。
定年後の生活を考えると、今から憂鬱でしかない。
プラン75でも同じ様な事を語ったが、認知症になると、本人に選択肢は無くなるに等しい。
寝たきりになり、意思を伝える事が出来ない状態になると、選択肢は皆無である。
死ぬという選択が出来るのならば、そうするのではないか?
こんな事になる前に、逝ってしまいたいと
健康な時は考えていたのではないか?
そう思わずにはいられない。本当に切実に
犯行の動機は理解出来る、が擁護は出来ない。
心情も理解出来る。
途中、モヤモヤした
他の方のレビューを見たら、その原因がわかるかもと思ったが、解決しなかった。
多分、救いを与えたという所謂「死の天使」という位置付けというか、主張がしっくり来なかったのだと思う。
自分の父親を手にかけ、更に介護職に就き
同じ境遇の家族を救う事で、父親を殺害した事実を正当化しようとしたように思えた。
税金や年金、健康保険料金を引き上げ、その割に定年後の生活は保証されない。
政治家は私腹を肥やす傍らで、在宅介護を勧めながら、生活は保証されない。
これで生きて行けとは、なんとも理不尽である。
松山ケンイチの演技は実に素晴らしかった。
葛藤を感じる事で、どうにか重い気持ちと
モヤモヤが少し軽くなった気がした。
非常に重要な重いテーマの作品です
介護疲れの家族を救う主人公。
綺麗事だけでは済まされないテーマであり主人公には非常に共感出来ますが、倫理的・道徳的には許されません。
何年も前から社会問題になっていますが、政治家はそっちのけで私腹を肥やす事に一生懸命です。
個人的には、人に迷惑をかける前にスっと自ら身を引きたいと思っています…迷惑かけたらゴメンなさい^^;
胸えぐる映画
人は人を殺してはいけない ! でも、国は人を殺してもいい。
逆に国が人を殺すこと、それこそが正義なのだといいきれる社会は
絶対におかしい(戦争も同じ論理)。
例えば「再エネ賦課金」
電気料金にいつのまにか忍び込ませ
税金とは別に全ての国民から強制集金
その金額も毎年つり上げて、国民から搾り取る
でも生活保護や、年金等は1円でも多く渡してなるものか!!
そんな気迫さえ感じてしまう
国は介護で苦しむ人や家族に温かい手を差し伸べることもしない。
出来うる限り、お金を出そうとしない
そうしておきながらルールで更に追い詰め、
当事者達がロストケアせざるを得ない状況に追い込む。
自分達は高いところから見下ろし、
法という名の元に堂々と人を殺す。
殺したという罪悪感さえもないままに。
綺麗事にしか思えない腐った倫理観で尊厳死さえも汚す!
法の下に裁くことが出来るのは、完璧な法律であることが大前提
ましてや未熟な法律で人を死刑にするなんてもってのほか
法律家こそ、法律の矛盾点を熟知しているはず
法で裁く前に、たとえ1歩でもいい、完全なる法律へと近づけて欲しい
その努力を怠って、
長いものに巻かれて、
傲慢にも正義感だけを振りかざすなんて、悪の手先と思われても仕方ない
主人公:斯波のセリフ1つ1つに共感した。
国が救えない! いや救おうとしない人達!
自己責任だと言って見て、見ぬふりをして見捨てた人達!等々
追い詰める検事さえもその言葉に揺さぶられていくこのストーリー。
なんと素晴らしい映画なんだろう。
同じ監督作品の「老後の資金がありません!」もそうですが
この国の恐ろしいまでの冷徹さを、マスゴミが追求しないことを
こういう形で人々に訴えていく。
映画を作るって素敵な仕事ですね。
前田監督に惜しみない拍手
松山・長澤・の演技にスタンディングオベーション。
やりきれない気持ちになる映画
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非常に真面目で親切で評判の高い介護士・松山。
ところが松山の会社で世話してる老人が2年ほどで41人も死ぬ。
特別に不審な点はなかったが、全て松山の休日だった。
こうして検事・長澤が取り調べなどを通じて事件を解明する。
そしてやっぱり犯人は松山だった。
松山はかつて介護してた認知症の父に頼まれて殺した。
それが疑われなかったため、介護の世界に入ってさらに41人殺した。
父を介護してた頃の地獄のような経験から、人助けと思ってた。
介護者・非介護者どちらも自分の行為で救われると信じてた。
実際に感謝する者もいれば、恨む者もいた。
長澤には認知症の母がいて、離婚して20年会ってない父もいた。
その父からの連絡を無視した数か月後に父は孤独死した。
そんな経緯もあり、松山を心から糾弾できない葛藤があった。
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柄本の演技がうま過ぎて、胸が悪くなるというか後味が悪かった。
実際、松山のやったことって本当に悪なのか?って思ってしまう。
考えさせられることは多く、およそ面白い映画ではなかったな。
ストーリーも特にひねられたりせず、早々に松山が犯人と判明。
特に隠されてた事実もなく、どんでん返しなども全く無し。
長澤って相変わらずスゴい女優やなって思ったな。
松山に真理的なことを言われ、とても反論できない気持ちになり、
動揺しつつも検事として毅然と振る舞うような演技が見事やった。
介護の現実
私自身も母の介護を2年間したことがある。
だからこそこの映画の現実感は実感としてわかる気もする。
介護は家族も追い込まれ疲弊していく。
介護疲れから虐待などに繋がりやすい現実が待っていたりもする。それが現実でも人の命を奪っていいという問題では無い。
それでも自分が自分で無くなっていく事も想像に難く無い。
介護士の方は家族や利用者さんの問題を解決もしてくれる。
その現実を見ているからこそ、その辛さもわかるのだろう。
この映画の介護士は家族そして介護を受ける方達を死を持って解決していこうとする。あってはならない事。
それは超えてはならない一線だと思う。
今作の松山ケンイチ演じる主人公には殺人を犯す悪意では無い思いが感じられる。
それは自分の過去が絡んでくる。それもとても辛い現実が。とても悲しい映画だった。
重い問いかけ
原作者・葉間中顕が「ロストケア」を刊行したのが
2013年2月です。
何故この事を書くかと言うと、
相模原障害者施設殺傷事件は、その後の2016年7月で、
葉間中顕さんが「ロストケア」を書く後で相模原の事件は
起きているのです。
私が思ったのは、葉間中顕さんのオリジナル作品で、
相模原事件になんのヒントも得ていない。
その事でなんかホッとしています。
(あの事件は違った意味で特殊、ですから・・・)
原作では大友検事は男性で映画では長澤まさみが演じてるように、
女性に変えられています。
脚本は監督の前田哲と龍居由香里。
この映画の最も優れたシーンは、ラストで、
検事の大友秀実(長澤まさみ)が、
拘置所の斬波(松山ケンイチ)に会いに行き、
驚くべき告白をするシーン。
法の番人である検事の秀実が、父親の20年ぶりの電話と
ショートメールのコンタクトを全く無視して見殺しにしていた事実。
ここで最初の孤独死して2ヶ月後に発見される独居老人の遺体が
大友検事の父親だったシーンと、結びつくのです。
20年、音信不通の父親の電話を無視する・・・そんな事が
出来るのが人間なのですね。
一方で私の友人は、突然連絡してきた父親を受け止めました。
心臓手術を受けるための入院の保証人が必要だったのです。
友人はショックを受けましたが、遠方の病院に通い
付き添って看病をしました。(その後は知りません)
この映画では長澤まさみの一点のシミもシワもない、
完璧なまでの美しさに目を奪われました。
そして殺人犯の松山ケンイチもまた澄んだ
摩周湖のような透明感と清廉な美しさです。
そして脚本も推敲を重ねられ、実に素晴らしく
なんの破綻もなく辻褄が合います。
八賀デイケアセンターの介護士として、末期の認知症などで、
家族を追い詰める《老親》を、まるで家族の意を汲むように
41人も殺めた斬波宗典。
そして最初の一人実の父親(柄本明)を加えると42人になる
《神の代わりに殺めました》《正しい事をした》
長澤まさみの完全無欠な美しさと存在感。
「僕の殺人は救済です」と信じて一点の曇りもない
松山ケンイチの斬波。
ラストで斬波も大友も心が大きく乱れます。
「私が手を差し伸べていたら、父親は生きていた・・・」
泣き崩れる大友。
斬波は父親を手に掛けた後で、折り鶴を開くてと、
たどたどしい字で書かれた父親の感謝の言葉。
「むねのりの、こどもで、しあわせだった」
2人が唯一、素顔を見せた瞬間です。
みんな多かれ少なかれ大友のように、親を見捨てて、
姥捨をして、あの世への引導を渡しているのかも
知れません。
アメリカで「死の医師」と呼ばれて130人を安楽死させた
医師は、殺人犯と非難される一方で、末期患者の尊厳死を
可能にさせた功績もあるとの見方も。
日本映画「ドクター・デスの遺産BLACK FILE」で、
柄本明は「ドクター・デス」を演じていた気がします。
日本の介護保険も始まって23年。
人手不足は深刻で、このままでは5年持たないとの声も
聞きます。
「人生100年時代」などと言いますが、
大いなる幻想ですね。
死ぬ時は家族に迷惑をかけたくないですし、
プライドもあるし、・・・難しい、
本当に難しすぎる「死ぬ事」
そして、
一つだけ、惜しいのは、凄惨な話なのに生活感が薄い・・・
これは長澤まさみの完全無欠な美しさのせいかも・・・ですね。
救いとは
斯波は「人々を介護から解放する」という名目で自身の罪を正当化し、無意識にその罪悪感から逃げているのではと思いました。
介護の経験はないので、自分が同じ状況になったらどう感じるのかリアルに想像できませんが、他人の手で強制的に介護から解放されることは果たして本当の意味での「救い」になるのでしょうか。
一時的に救われても、数年経って親の思い出に耽る時に「あぁ、親は他人に殺されてどんな気持ちで最後の時を迎えたのか」と後悔したり、逆に自分が老いた時に思い悩むことになったり、最終的に救われたと感じられるのか疑問だなと思いました。
斯波のように、他人の幸せをコントロールできると思い込むのはそこにどんな理由があれ間違っていると思います。
介護や子育て、年金等、現代の様々な課題について考えさせられる良い作品だったなと思いました。
殺人か救いか、考えや論理がせめぎ合う“ロストケア”
介護問題、不条理な社会システム、人間の尊厳…本作で描かれるものには絶対的な解決策や答えはない。
見る側の考えや受け止めもそれぞれ。人によっては主人公・斯波を連続殺人鬼に思うだろう。介護の現場を身を持って経験した人にはただの絵空事や他人事ではない。
今日本が抱える問題や闇を突き付け、考えさせるテーマやメッセージ。エンタメ性も充分。演出やキャストの熱演も素晴らしい。
公開時から評判の良さは聞いていたが、期待にそぐわぬ力作。
エンタメ・ミステリーとして始まり、見る者を一気に引き込む。
とある民家でそこの住人の老人と介護センターの所長の死体が見つかる。
金に困っていたという所長。介護先に押し入り金品を物色中見つかり、揉み合う内に…との見方が強まる中、
死亡推定時刻近く、付近の監視カメラに映った人影。自宅にいたと証言していた同センターのヘルパー、斯波。
担当していたその老人が心配で非番ながらも赴いた時所長と鉢合わせし…と、正当防衛を主張。
現場にあったニコチンを使用した後の注射器。さらにそのセンターでは、他のセンターと比べ介護利用者の自宅死亡率が異常に多い。その数、実に41人…!
死亡者の曜日や時間、ヘルパーの勤務表から、ほとんどが斯波の休日と一致。
調査から検事の大友は、斯波をきっかけとなった今回の事件含む41件の不審死の容疑者と睨む。取り調べを始めると、斯波はあっさりと容疑を認める。
斯波は同僚や利用者からとても好かれ慕われていた人物。仏様のような彼の本当の顔は恐ろしい連続殺人鬼…?
そんな斯波の口から語られたのは、耳を疑うようなものであった…。
自分は人を殺したのではない。その人と家族を救った、と…。
まずは誰だって、サイコ野郎だと思う。が、
介護に疲れ果て、苦しむ家族…。
病に苦しみ、認知症で自分が自分じゃなくなる当人…。
双方にとっても生き地獄。
自分は“42人”をその苦しみから解放したのだ、と…。
斯波が手を下したとされるのは41人。じゃあ、42人と言うのは…?
大友は斯波の過去を調べると、斯波の実父も似たような不審死であった事を突き止める。
最初の“殺人”は実父。そこに何があったのか…?
斯波から語られたのは、壮絶な過去と全ての“救い”の始まりだった…。
斯波の父も認知症。
老人ホームやヘルパー利用などの余裕はなく、斯波が自宅介護。
父の介護に追われ、仕事を辞め、時間や融通の利くバイトをしていたが、あっという間に貯金や父の年金も底を尽き始め、暮らしは困窮となり…。
生活保護に相談。が、あなたはまだ働ける。もっと頑張りなさい、と取り付く島もなく見離される。
社会システムは本当に助けを乞う困窮者には一切手を差し伸べない。私も似た経験があるから、このワンシーンだけでも憤りを覚えた。あの感情皆無のロボットのような事務的対応…。
誰からも救いの手を一切差し伸べられず、見離された者は、社会の“穴”へ落ちていき、そこから抜け出そうも足を折り、もがき苦しみもがき苦しみもがき苦しみ…。
それは自身をも病む。些細な事から愛する父に暴力を…。
このままでは自分も父も壊れていく。朽ち果てていく。だけど、どうする事も出来ない。そんな時…。
喋りもままならない父から言葉を絞り出すかのように、殺してくれ…。
自分が自分じゃなくなるのは嫌だ。何より、お前がこれ以上苦しむ姿を見たくない。
勿論当初は拒む斯波であったが…。
斯波が父に手を下すシーンはラストシーンにもなる。
苦悩葛藤しながら、愛する父をこの手で…。父の亡骸を抱き締め、嗚咽する。
こうでもしなければ二人共救われなかった。どうする事も出来ない苦渋の末の悲しみ、やるせなさ、自分たちを叩き落とし追い詰めた社会への憎しみ…。
本当は斯波だってこんな事はしたくなかった筈。だけど…。
非常に胸苦しく涙を誘い、転落してしまった親子愛の姿に心揺さぶられる。
でも、これがきっかけで斯波は“救い”という考えと行動へ…。
そう思うと皮肉でもあり戦慄的なシーンでもある。
独善的な理由で42人を“殺した”斯波。
その考えは間違いで過ちで愚かでもある。異常者や連続殺人鬼と呼ばれても致し方ない。
が、“穴”に落ちた介護の現場を我々は本当に知っているのか…?
ひょっとしたら、自分がそうなっていたかもしれない。そうしていたかもしれない。苦しむ当人と家族の代わりに、自分が甘んじて…。
開幕の聖書の一説。“人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい”。
これ、尊い事を言ってるが、間違った解釈もしてしまう。
斯波がした事はして貰いたい事だったのか…?
遺族も意見が分かれる。ある遺族は「人殺し!」と糾弾する。最もな意見であろう。その一方…。
認知症の進んだ母親は時に娘や孫に暴言を浴びせ、時に暴力も振るう。仕事に介護に疲れ果て…。が、母の死後出会いがあり、新たな人生をスタート…。その遺族は“救われた”という。
どっちも心からの声であろう。家族を殺された怒り憎しみ、楽になりたかった本音…。
実際に経験した者じゃないと分からない。どっちが善し悪しなんて言えたもんじゃない。
大友は法の番人。真っ直ぐな正当な立場と理由で斯波の“犯行”を否定する。
“救い”ではなく“殺人”。過った考え。
家族の了承を得たならまだしも(それだって罪に問われる)、斯波一人の勝手な行為。しかも、42人も…!
おそらく世のほとんどの意見は大友寄りだろう。私もどちらかと言うとそうかもしれない。
どんな如何なる理由あっても、人が人を殺していい理由などない。それが行われるのは戦争だけ。それだって過ちだ。
家族の絆を勝手に断ち切る権利など、あなたには断じてない!
その真っ当な正論に斯波が返した言葉がまた見る者の感情を揺さぶる。
家族の絆。勿論尊いものだ。
だが時にそれは“呪縛”にもなり得る。それがあるから人は縛られ、解放されない。
家族を見捨てる事は出来ない。だからと言って、人個人の自由を縛り付けていいのか…?
これについては何と言ったらいいか分からない。どう受け止めたらいいか分からない。
家族も大事。個人の自由も大事。我が胸中が激しく堂々巡りする…。
が、的を射た斯波の言葉もあった。
そう最もな大層な事が言えるのは、恵まれたほんの一部。家族を老人ホームに入れ、ヘルパーを雇う余裕もある。
全員がそうとは限らない。老人ホームに入れられずヘルパーも雇えず、困窮と仕事と介護の“穴”へ落ちる人たちがどれほどいるか。
我々はそれを、その現場を、境遇を、本当に知った上で言っているのか…?
ただ“安全地帯”から何も知らず知った事を物言っているだけ。そんなの恵まれたほんの一部の綺麗事理想事に過ぎない。
ちなみに私自身の場合は、一緒に暮らしていた祖父も父も母も最期は病院で。ちょくちょく見舞いに行ったり寝泊まりもしたが、実質的な対応は全て医師や看護士が。介護らしい介護はほとんどした事なく、こんな私は“安全地帯”なのだろう。
世の中は本当に不条理だ。皆が平等に暮らせる世の中を誰だって目指しているのに、実際は…。こうも差や待遇が違う。
一体何が違うというのか…? 何が悪くてこうなってしまうのか…?
不十分な社会システムか…? 生まれ決められた境遇か…?
完璧な解決策や正しき答えなど永遠に出ないだろう。
また言うが、どっちが善し悪しなんて決められない。だから激しく意見がぶつかり合う。
このシーンの斯波=松山ケンイチと大友=長澤まさみの激論は迫真であった。
松山ケンイチのさすがの巧さ。笑顔と優しさいっぱい介護する姿は素のよう。その一方、自身の“救い”を主張する言動は、ヒヤリとさせるものと悲しみ滲ませ、あの眼差しは見る者を硬直させるほど。
立場から斯波の言う事を否定しなければならない大友。冷静沈着だが時々感情が出てしまったり、激しく動揺したり…。こういう立ち位置あって作品もより引き締まる。長澤まさみがそれを体現。
その高い演技力によって、それぞれの言い分を充分に納得させるものがある。
大友の助手役の鈴鹿央士、斯波に対して感情分かれる坂井真紀や戸田菜穂ら助演陣も好サポート。
中でも圧巻は、言うまでもない柄本明。斯波の認知症の父。その認知症演技もさることながら、斯波との困窮の生活ぶり、殺してくれと泣き叫ぶシーン…もう見ていて辛くなるほど。
この名優はどれだけの引き出しを持っているのか。こんな芸当が出来るのは他に故・樹木希林ぐらいであった。
演技・演出・語り口・カメラワークに至るまで。
前田哲監督の手腕には格調高いものすら感じた。
良作多いが、個人的に前田監督のBEST作。
裁判が始まり、斯波は罪に問われ、収監。
この裁判中遺族から「人殺し!」と叫ばれた時の斯波の表情が忘れられない。
おそらく斯波は初めて遺族の生の声を聞いたのだ。
自分がした事は“救い”で“正義”だったのか…? 斯波が初めて自分の行為に動揺し、疑問が沸いたシーンと言えよう。
その直後のシーンでは別の遺族が新しい生活をスタートさせ、こちらは“救われた”。最後まで見る者に問う。
最後にもう一幕、難題が待ち受けていた。
裁判後初めて、大友は斯波に面会する。
大友は自身が犯した過去の“罪”を告白する…。
大友は現在母と二人。その母は老人ホームに。斯波が言う所の“安全地帯”。
大友には長らく疎遠の父が。父も生活困窮者で、介護が必要な身。何度も何度も大友に連絡していた。
が、大友は全ての連絡を拒否。仕事があり、父とは長らく会っていないから…と自分に言い聞かせて。
やがて父は死後数ヶ月経って発見。その惨状…。
大友はこの事を母にも伝えなかった。
言わば、父を見殺しにした。
ふと思った。見殺しにするのと、自らの手で“救う”のと、どっちが罪深いのだろう…?
法の立場から言うのなら、手を下したのは当然ながら罪になる。
でも手を下さず見殺しにした事に、何の否も無いと言い切れるのか…?
それは一生自分の足枷になる。
罪に問われる以上に、人知れず罪を背負い続ける事は、これほど重く苦しい事はない。
喪失の介護(=ロストケア)。
殺人か、救いか。
殺人鬼か、救済者か。
許せるか、救われたか。
罪を犯した者と、罪を背負った者。
異なるもの同士がせめぎ合う。
問い掛ける。問い続ける。
最後大友が斯波を思ったように、私もこの作品を思う。
モンスターか救世主か…他人事ではない
Leminoで鑑賞。
原作(ロスト・ケア)は未読です。
斯波と大友の対峙の迫力は松山ケンイチと長澤まさみの演技力と巧みな画作りの賜物で、圧倒されっぱなしでした。
認知症になった父方の祖父を家族で介護した経験を持つ身として、他人事ではない物語に震えが止まらなかったです。
認知症の父親を叩く斯波のシーン。私の父が粗相した祖父の頬をはたいた光景を思い出してしまい、辛くなりました。
週3のデイサービスを利用していたものの、子供のような行動や深夜の徘徊に疲弊していく家族の姿は忘れられません。
あの時の我々にとったら斯波の行いは救いになるかもと思える。だがその方法は許されるものでないことも理解出来る。
幸い祖父を受け入れてくれる老人ホームが見つかり、家族は救われたと思います。ただこれは、単に幸運だっただけ。
目を背けていたと云うか、意識しないでいた将来両親が「高齢者」となることに目を向けるべきと思い知らされました。
今この瞬間にも過酷な状況に身を置く人々がいて、国の制度の限界など、様々な問題が現実に斯波を生み出しかねない。
この国が抱える課題を浮き彫りにし、突きつける傑作。一筋縄ではいかない鋭い問い掛けに、深く考えさせられました。
あのラストはぁ、、、
現代の社会問題にも鋭く切り込んでいるし、長澤まさみはじめキャストも熱演してる。
でも
じゃあ、映画として満足できたか、というと、、、、個人的には難しいかなあと。
長澤まさみ演じる検事にも老いた母がいることから松山演じる犯人の言葉に強気に返すことができない場面もあり、ラストでは心理的に寄っていく描写も。
ここが少し「ブレ」なんだよなあ。確かに親の介護って重いテーマなんだけど、そこに「42人殺し」ってこれまたショッキングな要素をくっつけたら、なんか、相殺されちゃって「味」が薄まっちゃったような、、、
遺族の人も「まさかあの人が」とか言ってたのが法廷で泣き叫んだり。一つひとつの場面はいいんだけど、全体としては左右にブレた感じがね。42人って数字は衝撃的でもその1つひとつはフラッシュバックのようにモブ扱いだしね。まあ、そのシーンそのものは良かったけど。
それに、あのラストシーン。あっけなく終わっちゃって、まあ、映画にあんま真面目なテーマつけるのもどうかと思うけど、それでとやっぱラストはある種のメッセージ性や象徴性がほしいところ。
題材もいいし、キャスティングも。いいんだけどなあ
わかったことは、長澤まさみの演技の幅がめちゃ、広いってことかな
溜飲は下がらなくてよい
いつもの映画館で
水曜日は1200円で観られる
公開当初デカいところで観たかったが時間が合わず見送った
こっちでやると知って楽しみにしていた
この監督 そしてバトンは とか 老後の資金 とか
まとめ方着地がうまい 力量がある
割とはじめの方で事件の全貌が明らかになる
チラシにも描かれてある あとは主人公の掘り下げ
原作者のコメントがチラシに載っていて
主人公2人へのクローズアップは
原作と異なるといいながら絶賛していた
原作は多分もっとミステリー要素が強いのだろう
しばらくしたら読んでみたい
戸田菜穂の傍聴席からの叫びは
それまでの流れからはちょっと戸惑うが
現実ってそういうものかと
例えば報道に影響されるとか
自分の行動や気持ちとバランスをとろうとする
坂井真紀の反応は正直だ 人それぞれだ
そういう一律でないところがちゃんと描かれている
一方マイナスポイントは
新人の女の子が錯乱して後に風俗業界に行くところとか
生活保護申請窓口の職員の態度
ちょっとステレオタイプかなと
行き先ボードの名札は捨てるだろ 特に所長のは
折鶴の裏の手紙 ちとあざとい
長澤まさみの非の打ち所のない美しさが
検事の仮面というか強がりを補強
ラストの慟哭も秀逸だ
彼女か佐々木希にしかできない役だ
冒頭のシーンは単なる現場検証かと騙された
松山ケンイチはBLUEから好きになった
最近の出演作に誠実さを感じる 青森出身だし
柄本明の演技にも唸った
オラの親父の晩年の喋り方はあんな感じだった
オラを甥っ子と勘違いしていた
総括するといかにもきれいにまとまりすぎ
溜飲は下がらなくてよい
戸田菜穂と坂井真紀の違いのようなバラバラとか
是枝作品のような余白が 最近のオラの好みだ
(ここから映画と無関係の備忘録)
終了後は市役所前あたりでベンチでビールを計画していたが雨…
降りだしはもっと遅いとの予報だったのだが
このところこのバターンが多い うまくいかない
〆は王将で餃子と決めていたので最初から王将へ
傘を持っていなかったので地下鉄ひと駅乗車
王将では生ビール2杯と餃子 コロッケ 中華そば チャーハン
映画は安かったのに 結構な出費になってしまった
見たいものと見たくないもの
本作では、反射物(鏡や机、ガラスなど)を用いた人物描写が多用されているが、これは劇中で大友(長澤まさみ)が語る「見たいものと見たくないもの」の象徴である。
斯波(松山ケンイチ)は自身の経験から、見たくないものに目を向け、殺人を「救済」と捉えた独自の正義を貫く。一方で大友は、法の観点から斯波の行為を殺人と捉えながらも、斯波の思想に耳を傾け吟味している。
その結果、大友は見たくないものであった父や母との関係性を見つめ直し、自分なりの答えを見つける。そして斯波は、いつしか見たくないものを見続けるあまり、人を失う辛さを見ていなかったことに気がつく。つまり、それぞれは表裏一体であり、白黒つけられるものではない。その点に言及するのが、羽村(坂井真紀)である。
羽村は作中で唯一、斯波に救われたと語り、梅田(戸田菜穂)とは対照的描かれている。特に、終盤での春山(やす)との会話の中で、「人は人に迷惑かけ合うもの」だと話しており、この言葉に表裏一体への理解が表れている。その上で、殺人の否定と救済の恩恵を提示し、本作の結びとして位置付けられている。
終活してぽっくり死にたい
長澤まさみちゃんが見たくて何も知らずに鑑賞。え。思ったより重かった。。2日前にMER観て「死者ゼロ!」良しっっ!ってやってたのに(╹◡╹)
大友(長澤まさみちゃん)検事だし加代さん(藤田さん)あんな高級老人ホーム入れるよね。欺波(松山さん)介護士で安月給だよね。あの白髪はやり過ぎだけども、勝ち組負け組の話しかな?って思ったら。それにとどまらず。。。加代さん女手一つで保険のセールスでお金貯めて自分で入った言ってたけど、どんだけ稼いだんよw娘も検事にしてるしwって、ちょっとふざけないと触れるのがしんどいです。。
私が父子家庭で育ち、実妹は少しハンデがあり信じられない事をしでかすので疎遠気味です。わかっていても続くと怒りが抑えられません。そして初めての妊娠中に義母の介護、看取りを経験しました。家族、絆、呪縛、見たいもの、見たくないもの。。突き刺さるワードが多く辛いシーンが続きます。大友、欺波の掛け合いもお涙頂戴的な感じでなかったので、フィクションを見ているかの様でした。正解がわかりません。。殺人は絶対だめなんだけど。。何なら欺波間違ってないのかも。と思ったり。。でも裁判で戸田さんが叫んだとこで、心が少し戻りました。介護中は死んでくれって思ったかも。死んでしまったけどホッとしたかも。でもやっぱり他人に殺されたっていう事実には怒る感情。人間的。一方で酒井さん。介護から解き放たれて安らぐ時間をもてた。現実味がある。やすナイス^ ^
自分が将来寝たきりとかボケたら安楽死したいなって思うけど(出来ないけど)もし父ならば、、1日でも長く生きて欲しい!と思う矛盾。もうそれは本人がどう思うかじゃなくて自分の気持ちが優先になってしまうと思う。正作さん(柄本さん)は殺してくれって頼むけど。わかるけど!欺波の事を思ってだし、このままじゃ共倒れ確実だし、自分もはっきりした意識のまま死にたい。って。わかるけど!子供にその選択をさせないでおくれよ泣泣 と、もう私では正解はわかりません。。
そんな正作さん演じる柄本さん!最近は息子さん達大活躍だけど、父ここにあり!で見事でした!足立由紀さん(加藤さん)はなぜそーなったw
前半は見たのを後悔した
仕事で高齢の方と接する機会が多かったころ「老いる」ことが、本当に怖かった。まだまだお元気な方ばかりだったのに、どうしてこんなことが出来ないのだろう、どうしてこんな簡単なことがわからないのだろうと、不思議だったしこれが老いかと恐ろしく思っていました。この映画を見始めて、すぐに見なければよかったと後悔しましたが、徐々にひたすらに映画の世界に没頭しました。自分を愛して育ててくれた親を、介護の辛さに憎んで死んでほしいとまで思ってしまう、自分を愛してくれなかった親を捨てられず人生を破滅させられる無念さ、人生の過酷さを目の当たりにして苦しくなります。
柄本明さんの演技は圧巻でしたね。なんとか聞き取れるギリギリの発声に、まるで自分の親の訴えを聞き取ろうかとするように、全身全霊で耳を傾けていました。自分だったらどうするだろうか、斯波のような選択をするのだろうかと、ずっと考えていました。
大友が抱える罪悪感は理解できますが、貧困の末に自分の親を直接手にかけた斯波と、幼い自分と母親を捨てた父親を見捨てたと罪悪感を持ち続ける大友。同じか?の疑問が最後まで消えませんでした。
洋子さんと春山さんの熟年カップルの幸せを祈ったり、やっぱり猪口さんは頼りになるなぁとホッとする場面もあり、重いだけの映画ではありませんでした。鑑賞後は、意外とすっきりした気持ちになったのは不思議でした。
松山VS長澤
重厚過ぎるテーマ。
演技のガチンコ対決。
前半は謎解きサスペンス。
後半は法廷人間ドラマ。
全体として変わり身キャラが多い。
斯波(演:松山)はもちろん、所長や、
見習いの女のコ、足立由紀(演:加藤菜津)など、
よりにも風俗て(笑)
まぁ、それだけ壊れてしまった…とも取れるが。
被害者の娘、梅田美絵(演:戸田菜穂)も、
「あんないい人が…⁉」みたいな感じだったのに、
判決時には「人殺し!」と気も狂わんばかりに取り乱していたのは何故か?何があった?
同じ被害者の娘の羽村洋子(演:坂井真紀)との対比にしてるのかもしれないが。
最後の面会の後、斯波の様子をちょっと描いて欲しかったところ。
ある意味、柄本劇場(笑)
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