ロストケアのレビュー・感想・評価
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介護と家族という切れない絆について考えさせられる
介護で苦しんでいる人がいる。
その現状は分かっている。
いや、分かっているつもりでいる。
介護する当事者でもない。
その苦しみから脱却する方法は果たしてあるのだろうか…
国からの制度に断られ、頼る人も居ない時にどうすれば良いのだろうか…
当事者になった時、極限状態で冷静な判断は出来るのだろうか…
家族という絆は切りたくても切れない。
無理矢理切れるのかもしれないが、絆という綺麗事のような言葉が邪魔をする。
切ればそれは逃げになるのだろうか…
主人公の行った行為で救われた人も居るだろう…
でも、家族の確認が無い行為は身勝手と思われても仕方ない。
主人公が過去の自分を重ねた主観的考えは家族と違うのかもしれない。
一人でも身勝手と思われた時点で主人公の正義は家族にとっては悪になる。
介護の現状について調べてみようと思える作品でした。
タイトルなし(ネタバレ)
松山ケンイチ演じる斯波(しば)が、妙に落ち着き払い、説得力をもって殺人の正当性を訴えてくるので、皆だまされて、同情や共感に少し傾き過ぎているのではないかと感じました。
自分のした行為に「ロストケア」などと格好よさげな名前を付けているのが醜悪きわまりないです。
勝手な思想と言い分で人を殺しておいて何を言っているのか…。
最初は大友(長澤まさみ)検事も怒りをあらわにしていましたが、だんだんと斯波に言いくるめられていき、最後には自身の打ち明け話をして涙を流すありさま。違和感がありました。
事件に至る心理を深堀りするあまり、42人殺害の証拠は? すぐに死刑判決? 自白が早すぎるのでは?など数々の疑問は解き明かされないままでした。
斯波は、父親を殺してから老人介護職に就きます。これは当初から、老人たちを殺害していく計画の上だったことが推測できます。
殺した父親に対する罪悪感や罪滅ぼしの意味があるのかもしれないと一瞬思いましたが、そんな奥深さは見受けられませんでした。(淡々と殺人を続けていたため)
全体的に、斯波に優しい物語になっていて、情状酌量の余地ありと考えている鑑賞者もいます。
さらには実際に安楽死できたらいいとか、老人は集団自決すればいいという成田悠輔のような人も世の中にはいます。
本来口もはばかられるようなことを平気で言えるような、なんだかおかしな時代になってきたと感じます。
ただ、主演二人の演技は本当に素晴らしくて、特に松山ケンイチってこんなに上手かったっけ…と思うほどでした。
実際の連続殺人鬼であれば、表情や言葉の端々に異常性が垣間見えるはずですが、普通に演じていたようですね。
それが良かったのかどうなのか…今の段階ではよくわかりません。
老人だろうがなんだろうが、大量殺人犯がこんなに普通のわけないだろうという気もします。
かたや長澤まさみは、いつ見てもいつもの長澤まさみという感じでしたが、シリアスな役の方が私は好きです。
でもどうしていつも髪型が同じなんでしょうね。たまにはロングヘアが見たいなと思いました。
あと、柄本明の演技がちよっと生々し過ぎて、やり過ぎではないかと訳もなくヒヤヒヤしました(笑)
他の役者さんたちも皆さんとても良かったですね。
重いテーマの映画でしたが、こんなことが容認される時代にならないことを切に望みます。
ものすごく現実に迫っていると思う
介護にも関わる仕事をしているからか、ロストケアという言葉は重く、決して悪とは思えなかった。
最後の法廷でゴネた家族の人になにか偽善的な人間性を垣間見た気がした。
悪とは一体何なんだろうかと改めて考えさせられた。
見て見ぬふり、心抉らえる…
自身、介護の実体験は無いが、親族や周囲の声など間接的に体感し、この映画にある介護の過酷さは想像に難くない。する方、される方、双方にとって絆は呪縛であり、映画にある迷惑掛けない人なんて居ないも確かにそうだが、そうではない状況も現実にはある。共倒れし、沼に堕ちていく。そんな人々にとっては斯波の行為は救いだとも思う。当然殺人を肯定する訳では無いが、綺麗事では済まない現実を突き付けられた作品だった。介護施設の斯波を慕っていた彼女のその後の在り方は要らぬ演出で残念。
悪ととるか正義ととるか
社会の穴代表、斯波宗典(松山ケンイチ)の思想が正義であったとしても、現在のルールでは殺人犯として罰せられる。
一方、安全地帯代表の大友秀美(長澤まさみ)の正義は合法的で、たとえ殺した自覚があったとしても殺人罪にならない。
斯波宗典は42人を「救った」のであり、「殺した」のではないと主張する。
顔のアップばかり映さずに、大人数が関わっているのだから、登場人物も増やして欲しかった。
原作は未読だが、きっと素晴らしいのだろう。今作は意外と繰り返し視聴出来る奥深さがある。
穴の中にいる人間
すごい映画だと思いました。
すべての役者さんの演技が、本当にその登場人物が現実にそこに、いるかのように感じました。
柄本明さんが「ころしてくれ」と訴えるシーン、
松山ケンイチさんがボロボロ涙を零すシーン、
自分もぼろぼろ泣いてしまいました。
映画の登場人物、何人もの体験が、他人事には思えませんでした。
数年前に亡くなった父が寝たきりで、家族で在宅介護をしていました。
主に介護していたのは70代の母で、
日中だけヘルパーさんがきてくれて、
わたしは平日は仕事で、朝と夕だけおむつ替えを手伝い、父がごはんを食べる介助をしていました。
父は身長が大きくて半身に麻痺があり、大人ふたりがかりでないと、おむつ交換ができませんでした。
女ふたりでは大変でした。体がすごく重たかった。
おむつを替えている途中にまた便や尿がでたり、寝具を汚したり服にひっつくこともありました。
のどで飲み込む&噛む力も弱ってきて、ごはんを食べるのもすごくスローペースで、
認知症があったので会話や意思の疎通もだんだん出来なくなっていきました。
母は1日中、うごきっぱなしで、私なんかよりもっともっと大変でした…
介護経験のある知人や友人にきくと、それぞれのおうちごとに、困り事や事情はぜんぜん違うようで、うちの家の話がすべてのおうちに当てはまるとは限らないと思います。
以前、「月」という映画を観ました。
障害者施設で入所者が職員にころされるというシーンが出てきます。
わたしは精神科に長期入院をしたことがあります。
精神障害を抱えて生きている自分としては、
映画「月」で入所者が殺されるシーン、
まるで自分が犯人に襲われるかのようで恐怖を感じました。
そしてこの「ロストケア」の映画では犯人が
「この社会には穴が開いている。落ちたらはい上がれない」
と語るシーンがでてきました。
わたしは「穴」に落ちたほうです。
むしろ最初から穴の中で育った落ちこぼれかもしれません。
10代で不登校になり、ひきこもり、何度かアルバイトをしてみるもしんどくて続けられず、またひきこもって、精神を病んで自殺未遂をしました。
精神科に入院し、退院したあとデイケアに通ってリハビリし、いまは、障害者を雇用してくれるところで働いています。
何年もかかったけど、昼夜逆転じゃなくなり生活リズムも整って、ひとりで電車に乗ったり外出をしたり、他人と最低限の会話はでき、家事や仕事の作業もできるようになりました。
わたしの知識は浅いのですが、歴史上、戦時中、ある国でたくさんの人が精神障害者であるのを理由に抹殺されたり、
日本でも、精神障害者は家の一室に閉じ込めるという時代があったとききました。
母のいなかにあった精神科病院は
「一度入ったら、一生、二度と出てこられない」
所だと言われていたそうです。
何十年も前、親戚のおじさんも精神科に入院していましたが、医師や看護師の対応も環境も、今の時代より、
わたしが経験した入院生活より、全然ひどかったそうです。
国の文化や、世間の風潮は、かんたんには変わらないけど、
穴ぼこに落ちた一人一人が、救われる社会であってほしいです。
…むしろ、色んな穴が、底が浅くというか少なくなっていって欲しい…
「ロストケア」
主要登場人物のひとたちのエピソードが、たくさん胸に刺さりました。
誰に共感してもつらい
原作と違うらしく予告の時点で犯人はモロバレスタートだけど、検事と犯人との攻防とかサスペンスミステリーを期待して見始めたが、思いの外社会派ドラマだった。
とにかく柄本明がすごい。圧倒的な生々しさ。
最後の鶴の中身は余計な演出だったなと思ったけど、その後のエンディングでまさか涙腺崩壊。想定外。
エンディングで差し込まれた斯波の幼少期の写真と動画に、フレームの外の父(もちろん精悍なシングルファーザー柄本で)を感じ、親という自分、親から子への想い、子から親からの想い、1人の人間としての感情が走馬灯のように駆け巡った。
まだ子供を世話する盛りで、本当の老いや人間の尊厳というものを体感してるわけではないけど、自分の親、自分の子、自分自身、どの視点から見てもささる内容だった。
読後感は決して爽やかでも温かくもないけど、今の日本に暮らす人は全員観る価値あり。
泣いちまった
簡単に話すと松ケンが介護士で老人を安楽死させていたが、それは家族や本人の為という偽善をふりまく話
松ケンの気持ちはわかる、確かにボケ老人の介護は大変だろうし介護士が少ない現実もあり、より我々の身近にそれは根付いた問題だと思う、普通に見ていると松ケンに感情移入してしまう、しかし裁判では松ケンの言い分に人殺し!!と被害者の遺族が叫ぶ、これは松ケンもかなり響いていたし見ていた我々にも現実に戻されるわけだ
そもそも他人が裁くのはお門違いって思う
やはり安楽死の制度はあったほうがいいような気がするね
本人がボケたときにこうしたいって紙を書かせてね
俺なら、家族に迷惑かけたくないって思うしね
そして、検事のところはちゃんといい老人ホームにいれてあげれたが老人ホームも入れられずに困ってる家族もかなりいるだろう
柄本明の演技がよすぎて松ケンとの最後は泣いてしまったわ
色々考えさせられる内容でよかった
ラストの検事の行動はちょっと意味不明だったけどね
犯人に肩入れというか同情するのは現実はありえない
実際にあった2つの事件を想起させるストーリー
父親の介護で生活が立ち行かなくなった息子(松山ケンイチ)が身体も感情も制御しきれなくなった父自身に頼まれ父の命に手にかける…というストーリーは、やはり2006年に実際にあった京都伏見の介護殺人のことを連想させかなり心痛むものであったけど(父親役の柄本明の演技もすごい…)、
その後介護士になった松山ケンイチは同じ手口で40人超を殺すという流れは津久井やまゆり園の事件の犯人の思想と根底は一緒のように思えた。
「殺したのではなく救った」と言うけど、迷惑をかける•役に立たない人間と思われたら、これが正義と殺される世界。これを許していくと殺して良いとするライン上にいつか自分が立つことになる。
ずれてしまうけど京都伏見の事件の息子の方、もう出所しているのかなと検索してみたらさらに辛い最期を迎えており、われわれの多くもこの先当事者になるだろう介護問題に暗澹たる気持ちになった。
重いテーマです。
日本の福祉の現状でしょうね。
私には介護度3の高齢の母がいて、介護経験者です。
お陰様で今は特別養護老人ホームに入所できたので、とっても有難いです。
母がホームに入って一番に感じたことは、精神的に楽になったことです。
肉体より精神でした。
松山ケンイチさんが演じた斯波がやったことは、
限界を超えそうな介護者を救ったというのは真実だと思います。
やり方は殺人でしたが、絶対に家族は救われたと思います。
正直、戸田菜穂さん演じた梅田が、法廷で「お父さんを返せ!」って叫んだけど
本当かな?
心からそう思ってるのかな?
と疑ってしまいました。
介護の経験が無い人が、きれい事を並べるのは
本当に辞めてほしいですよね。
日本の政治家に観てもらいと書き込みしてる方がいましたが、
まさにおっしゃる通りです。
介護士さんの待遇を良くして、働き手を増やさないと
大変なことになりますよね。
映画を観て痛感したのは、「明日は我が身となるのかも…」
できる限り健康で暮らしたいですよね。
イヤイヤ暗くならず、
笑顔で過ごしましょう!
介護解放殺人
ロストケアだと肉親や大切なものを亡くした精神的苦痛を緩和することに思えてしまう、映画は肉親の介護に疲弊しきった家族を救いたい一心での殺人だからFreedom from caregiving、介護からの解放でしょう。
古くは楢山節考から最近のプラン75などまで高齢化社会での介護疲れや安楽死問題は根が深い、やまゆり園殺人事件と似たスケールだが犯人の動機は全く違う、この映画が深刻なのは何が正義か悩む検事役長澤まさみさんのように犯行に同情を覚える人がいるかもしれない怖さでしょう。老々介護問題や孤独死を防ぐために介護保険制度や施設があるのですが十分機能しているかは疑問です、誰もに訪れる死、ピンピンコロリを願うばかりです。
あえて暗い現実に踏み込んだ意欲的作品ではありますが、観ていて只々辛い映画でした。
思う事とした事は違う、衝撃のラストはどうしてこう成ったのか全国民で考えて欲しい!
油断する 長雨冷える 花見かな
もう桜咲いてんだね。しかも 一気に。
でも 生憎雨で 空に晴れ間はナシ・・・
そんな天候の中、今日は「ロストケア」鑑賞です。
この映画は 喪失の介護 ”ロストケア” がテ-マ。
喪失の介護 について原作からは
~殺すことで彼らと彼らの家族を救いました。
僕がやっていたことは介護です。~とされている。
ズバリ、介護の末における安楽死(殺人)という問題を
この映画で取り扱っています。
私自身も主人公と同じような家族の病と介護経験はあり
そして最後を見送りました。
この映画の話は決して特別では無くて、今の現実社会に
起こっている事象を淡々と描いていると感じます。
実は観ていて、とうとうコノ手の作品を目にする時が
来たのかと思ったぐらいで、
話展開スジは大体読めておりました。
今作は 観てて非常に重いテ-マと感じます。
原作は2013年頃以前の独身男性と父親介護における
話筋ですので、それから10年。
今は介護における現場環境や保険適用範囲なども
少しづつ改善されてきたので、映画を観ていて
少し現状との違いを感じるかも知れません。
基本的にはサスペンスと言う位置づけなんでしょうけども
全くその色は薄めで、検事が数学を使って犯人を絞り出すも
登場人物の少なさより 最初から彼が犯人と言う事は
スグに断定されてしまいます。
その点では肩透かし的内容でしょう。
実父を苦難の介護の末に亡くしたのに、
自身が介護士となって41人もの自身の経験と同環境下の
要介護者を救ってあげたいと勘違いし、安楽死させるのは
誠に身勝手。
映画では余りこの殺害された家族等のクロ-ズアップな扱いが
されておらず各家庭の事情があまり良く分かりません。
41人という数字が浅く取り扱われて映ってしまってるのが残念。
今作は、主として犯人の斯波が何故こんなにも人の命を絶ったのか。その発端となった自身の父の介護と苦労して生きてきた内容に視点を置いて描かれています。
また彼を追い詰める検事 大友との介護生活環境の
対比描写があり、貧困は更なる悲劇を生む原点と
思わせる節を感じます。
まさに穴に落ちた者の世界と、そうでない者の世界です。
大友のラストの涙の告白で、斯波の今までの行いを分かった様に思わせるのですが全くその点が心に響いて来なくて 最も残念に感じた次第。
総合で★は3.5程度かなと思います。
(作品)
原作:葉真中顕氏
監督:前田哲氏
(MC)
・斯波宗典 主人公介護士:松山ケンイチさん
※会社を辞め父の介護をする。後に介護士に。
・斯波正作 主人公の父:柄本明さん
※脳梗塞、認知症発症、父子で暮らす。
・大友秀美 検事:長澤まさみさん
※実父の助け無視し死なせる。
・大友の母 介護施設にいる:藤田弓子さん
※早くに離婚し一人娘を立派に育てて施設へ自ら入る。
・椎名幸太 検事補佐:鈴鹿央士さん
※得意な数学を用い犯人を断定する。
・介護老人の家族:坂井真紀さん
※最後は犯人に感謝
・介護老人の家族:戸田菜穂さん
※最後は犯人を人殺しと罵る
(思った事)
・施設長が自信の借金を埋めるために、預かってる鍵で介護宅へ窃盗侵入の流れは非常に残念。有っては成らない事だと思う。ここは結構問題でゾッとした。
・斯波が犯人と分かって、慕っていたのに目標を失い介護職を辞めた若い女性が風俗?に転職しているのが何故と感じた。
あるTV番組で介護も風俗も人の接し方や仕事感覚が近いと話してる子がいたのが頭によぎった。
・結局 最後の裁判の行方はどうなったのか?分かんないまま。
・斯波が生活を追い込まれて 生活保護を受けに役所へ。
自身が働ける事を理由に断られるのだが、そこの点が本当に憤る。
父と二人で暮らしてるから生活保護受けられない。独居にして生活保護を受けさせて介護保険適用したらという声があったけど。
年間20万件ほど毎年増えてるこの現場で皆が同じ事をしたらどうなるのさ?
そんな事まかり通ると思ってる?どっかが破綻するでしょ。
真面目に働いて税金入れてる若者からしたら 何かおかしくね?って声でそう。
この部分の問題提起したことは 良い場面だったと感じます。
・検事の母が良い施設に入れている点。
現在そんなに簡単に施設には入れないと思う。
毎月高額で受け入れている所はスグに入れられるが、そんなのが利用できる方は所得が高い人と思うね。
入所の順番もケアマネ次第でもあるし。自身も入所に関しては不公平を受けることは多々あった。
家族が面会に来てる時は丁寧な対応をしてくれる施設は多かったと思う。だけど帰った後どんな対応をされているのか・・・認知症の親を預けると気になる事があったのも確かで。何も文句は言えない家族と、嫌なら家で介護をという板挟みに陥る人もいると思う。
・大友の既に離ればなれの実父からの急に電話がくる訳無いだろうし、見捨てておいて 死んでから反省とか・・・いらんね そんな思いわ と感じた。
・二人の生活の途方の果てに、斯波が父を死なす場面。
親の介護をしてきた自分は観ていてやるせない思いがしたな。
実の所 事情はメッチャ理解できるが、
死なしては欲しくは無かったなの思い。
ここは 思い留まって耐えて耐えて
二人して涙を流して欲しかった。
生きるって事に 前に向いて欲しいと思うわ。
・父を死に至らせる描写を変えて欲しい思い。
※死なす事が出来ない悲痛な叫び、思いを表現させる。
父の唯一自由になる手を 息子の手の上に重ねて
息子の指を押して自身の腕に流し込む~。
つまり、息子を犯人にするのでは無く、
父自身の思いで自殺に導いた・・・との 表現が
一番良いと思うのだけど。
・今作の 白髪にして役作り頑張った松山さんと、
父役の柄本さんは 両名共、迫真の演技でとっても
素晴らしい親子の間柄だったと思いました。
衝撃のラスト展開は、全国の役所の福祉課や介護施設で繰り返し
流して欲しいね。国民皆で考えると良いよ。
現代における介護の問題作!
ご興味有ります方は
是非 劇場へ!
救い・・・‼️
介護センターで40数人の老人の死亡が発覚。介護士の斯波が容疑者として浮上、検事の大友が取り調べを開始。取り調べに対して、斯波は自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張する・・・‼️高齢化による要介護の問題と、介護する家族の疲労、そして介護センターの介護士たちの日常‼️日本に限らず世界における介護状況の縮図ですよね‼️取調室における感情をあらわにする長澤まさみと、冷静に自らの考えを伝える松山ケンイチの "対決" は見応えあります‼️そして「お父さんを返せ!!」と声を上げる遺族、「救われました」と斯波に感謝し新たな人生を歩もうとする遺族の女性、そして尊敬していた斯波の逮捕にショックを受け、風俗に身を落とす同僚の女性、実は要介護の母を施設に入れ、長年音信不通の父からの電話を無視し、死に追いやってしまった大友‼️様々な人間模様が描かれます‼️ホント深いです‼️そしてラスト、面会室での斯波と大友の会話シーンは魂を揺さぶられる素晴らしさ‼️長澤まさみさん、松山ケンイチさん、素晴らしい演技でした‼️
擁護も同調も出来ないが、理解出来る。
超高齢化社会を迎え、あらゆる面で私達は逼迫している。
反面、高齢者介護や在宅医療介護、在宅看護などで、儲けている会社があるというのも現実であり、生活が締め付けられ、少ない年金生活を強いられている人々との対比は皮肉だ。
が、40年間年金を払い続け、定年後貰える金額は
生活出来るような金額ではない。
定年後の生活を考えると、今から憂鬱でしかない。
プラン75でも同じ様な事を語ったが、認知症になると、本人に選択肢は無くなるに等しい。
寝たきりになり、意思を伝える事が出来ない状態になると、選択肢は皆無である。
死ぬという選択が出来るのならば、そうするのではないか?
こんな事になる前に、逝ってしまいたいと
健康な時は考えていたのではないか?
そう思わずにはいられない。本当に切実に
犯行の動機は理解出来る、が擁護は出来ない。
心情も理解出来る。
途中、モヤモヤした
他の方のレビューを見たら、その原因がわかるかもと思ったが、解決しなかった。
多分、救いを与えたという所謂「死の天使」という位置付けというか、主張がしっくり来なかったのだと思う。
自分の父親を手にかけ、更に介護職に就き
同じ境遇の家族を救う事で、父親を殺害した事実を正当化しようとしたように思えた。
税金や年金、健康保険料金を引き上げ、その割に定年後の生活は保証されない。
政治家は私腹を肥やす傍らで、在宅介護を勧めながら、生活は保証されない。
これで生きて行けとは、なんとも理不尽である。
松山ケンイチの演技は実に素晴らしかった。
葛藤を感じる事で、どうにか重い気持ちと
モヤモヤが少し軽くなった気がした。
非常に重要な重いテーマの作品です
介護疲れの家族を救う主人公。
綺麗事だけでは済まされないテーマであり主人公には非常に共感出来ますが、倫理的・道徳的には許されません。
何年も前から社会問題になっていますが、政治家はそっちのけで私腹を肥やす事に一生懸命です。
個人的には、人に迷惑をかける前にスっと自ら身を引きたいと思っています…迷惑かけたらゴメンなさい^^;
胸えぐる映画
人は人を殺してはいけない ! でも、国は人を殺してもいい。
逆に国が人を殺すこと、それこそが正義なのだといいきれる社会は
絶対におかしい(戦争も同じ論理)。
例えば「再エネ賦課金」
電気料金にいつのまにか忍び込ませ
税金とは別に全ての国民から強制集金
その金額も毎年つり上げて、国民から搾り取る
でも生活保護や、年金等は1円でも多く渡してなるものか!!
そんな気迫さえ感じてしまう
国は介護で苦しむ人や家族に温かい手を差し伸べることもしない。
出来うる限り、お金を出そうとしない
そうしておきながらルールで更に追い詰め、
当事者達がロストケアせざるを得ない状況に追い込む。
自分達は高いところから見下ろし、
法という名の元に堂々と人を殺す。
殺したという罪悪感さえもないままに。
綺麗事にしか思えない腐った倫理観で尊厳死さえも汚す!
法の下に裁くことが出来るのは、完璧な法律であることが大前提
ましてや未熟な法律で人を死刑にするなんてもってのほか
法律家こそ、法律の矛盾点を熟知しているはず
法で裁く前に、たとえ1歩でもいい、完全なる法律へと近づけて欲しい
その努力を怠って、
長いものに巻かれて、
傲慢にも正義感だけを振りかざすなんて、悪の手先と思われても仕方ない
主人公:斯波のセリフ1つ1つに共感した。
国が救えない! いや救おうとしない人達!
自己責任だと言って見て、見ぬふりをして見捨てた人達!等々
追い詰める検事さえもその言葉に揺さぶられていくこのストーリー。
なんと素晴らしい映画なんだろう。
同じ監督作品の「老後の資金がありません!」もそうですが
この国の恐ろしいまでの冷徹さを、マスゴミが追求しないことを
こういう形で人々に訴えていく。
映画を作るって素敵な仕事ですね。
前田監督に惜しみない拍手
松山・長澤・の演技にスタンディングオベーション。
やりきれない気持ちになる映画
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非常に真面目で親切で評判の高い介護士・松山。
ところが松山の会社で世話してる老人が2年ほどで41人も死ぬ。
特別に不審な点はなかったが、全て松山の休日だった。
こうして検事・長澤が取り調べなどを通じて事件を解明する。
そしてやっぱり犯人は松山だった。
松山はかつて介護してた認知症の父に頼まれて殺した。
それが疑われなかったため、介護の世界に入ってさらに41人殺した。
父を介護してた頃の地獄のような経験から、人助けと思ってた。
介護者・非介護者どちらも自分の行為で救われると信じてた。
実際に感謝する者もいれば、恨む者もいた。
長澤には認知症の母がいて、離婚して20年会ってない父もいた。
その父からの連絡を無視した数か月後に父は孤独死した。
そんな経緯もあり、松山を心から糾弾できない葛藤があった。
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柄本の演技がうま過ぎて、胸が悪くなるというか後味が悪かった。
実際、松山のやったことって本当に悪なのか?って思ってしまう。
考えさせられることは多く、およそ面白い映画ではなかったな。
ストーリーも特にひねられたりせず、早々に松山が犯人と判明。
特に隠されてた事実もなく、どんでん返しなども全く無し。
長澤って相変わらずスゴい女優やなって思ったな。
松山に真理的なことを言われ、とても反論できない気持ちになり、
動揺しつつも検事として毅然と振る舞うような演技が見事やった。
介護の現実
私自身も母の介護を2年間したことがある。
だからこそこの映画の現実感は実感としてわかる気もする。
介護は家族も追い込まれ疲弊していく。
介護疲れから虐待などに繋がりやすい現実が待っていたりもする。それが現実でも人の命を奪っていいという問題では無い。
それでも自分が自分で無くなっていく事も想像に難く無い。
介護士の方は家族や利用者さんの問題を解決もしてくれる。
その現実を見ているからこそ、その辛さもわかるのだろう。
この映画の介護士は家族そして介護を受ける方達を死を持って解決していこうとする。あってはならない事。
それは超えてはならない一線だと思う。
今作の松山ケンイチ演じる主人公には殺人を犯す悪意では無い思いが感じられる。
それは自分の過去が絡んでくる。それもとても辛い現実が。とても悲しい映画だった。
重い問いかけ
原作者・葉間中顕が「ロストケア」を刊行したのが
2013年2月です。
何故この事を書くかと言うと、
相模原障害者施設殺傷事件は、その後の2016年7月で、
葉間中顕さんが「ロストケア」を書く後で相模原の事件は
起きているのです。
私が思ったのは、葉間中顕さんのオリジナル作品で、
相模原事件になんのヒントも得ていない。
その事でなんかホッとしています。
(あの事件は違った意味で特殊、ですから・・・)
原作では大友検事は男性で映画では長澤まさみが演じてるように、
女性に変えられています。
脚本は監督の前田哲と龍居由香里。
この映画の最も優れたシーンは、ラストで、
検事の大友秀実(長澤まさみ)が、
拘置所の斬波(松山ケンイチ)に会いに行き、
驚くべき告白をするシーン。
法の番人である検事の秀実が、父親の20年ぶりの電話と
ショートメールのコンタクトを全く無視して見殺しにしていた事実。
ここで最初の孤独死して2ヶ月後に発見される独居老人の遺体が
大友検事の父親だったシーンと、結びつくのです。
20年、音信不通の父親の電話を無視する・・・そんな事が
出来るのが人間なのですね。
一方で私の友人は、突然連絡してきた父親を受け止めました。
心臓手術を受けるための入院の保証人が必要だったのです。
友人はショックを受けましたが、遠方の病院に通い
付き添って看病をしました。(その後は知りません)
この映画では長澤まさみの一点のシミもシワもない、
完璧なまでの美しさに目を奪われました。
そして殺人犯の松山ケンイチもまた澄んだ
摩周湖のような透明感と清廉な美しさです。
そして脚本も推敲を重ねられ、実に素晴らしく
なんの破綻もなく辻褄が合います。
八賀デイケアセンターの介護士として、末期の認知症などで、
家族を追い詰める《老親》を、まるで家族の意を汲むように
41人も殺めた斬波宗典。
そして最初の一人実の父親(柄本明)を加えると42人になる
《神の代わりに殺めました》《正しい事をした》
長澤まさみの完全無欠な美しさと存在感。
「僕の殺人は救済です」と信じて一点の曇りもない
松山ケンイチの斬波。
ラストで斬波も大友も心が大きく乱れます。
「私が手を差し伸べていたら、父親は生きていた・・・」
泣き崩れる大友。
斬波は父親を手に掛けた後で、折り鶴を開くてと、
たどたどしい字で書かれた父親の感謝の言葉。
「むねのりの、こどもで、しあわせだった」
2人が唯一、素顔を見せた瞬間です。
みんな多かれ少なかれ大友のように、親を見捨てて、
姥捨をして、あの世への引導を渡しているのかも
知れません。
アメリカで「死の医師」と呼ばれて130人を安楽死させた
医師は、殺人犯と非難される一方で、末期患者の尊厳死を
可能にさせた功績もあるとの見方も。
日本映画「ドクター・デスの遺産BLACK FILE」で、
柄本明は「ドクター・デス」を演じていた気がします。
日本の介護保険も始まって23年。
人手不足は深刻で、このままでは5年持たないとの声も
聞きます。
「人生100年時代」などと言いますが、
大いなる幻想ですね。
死ぬ時は家族に迷惑をかけたくないですし、
プライドもあるし、・・・難しい、
本当に難しすぎる「死ぬ事」
そして、
一つだけ、惜しいのは、凄惨な話なのに生活感が薄い・・・
これは長澤まさみの完全無欠な美しさのせいかも・・・ですね。
全108件中、21~40件目を表示