「どうすればよかったか?」ロストケア アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
どうすればよかったか?
介護の問題は直接関わった経験がある方々と私のように直接関わったことはない者(映画の中の言い方で言えば安全地帯にいて穴に落ちなかった者)とでは感じ方は全く違うのだと思う。
だが、映画は父親に対する嘱託殺人も含め介護に苦しむ人々を「救った」と論ずる松山ケンイチ側にたつシーンが多く正解を見えにくくしているが、42人の老人を殺したことは大罪であり極刑以外に判断の方法はあり得ない。長澤まさみは自身の父親を見殺しにした事実に苛まれるがそれは罪ではない。母親に感謝し、しっかり寄り添っていけばよいのだと思う。
私は昨年から年金生活をしている。「敵」の長塚京三ではないが、僅かな年金と小遣い程度の配当では生活は賄えないので蓄えを取り崩し、それが尽きた時がXディだと思っている。
年金生活に入ると健康保険(任意継続でも国民健康保険でも)の支払い、前年の年収に対する住民税の支払い、介護保険料の増額やら蓄えを一気に持っていかれる。こんなんじゃXディは予定より早く来そうだ。映画でも柄本明の年金は月僅か7万円だし、働けなくなった松山ケンイチが生活保護を申請しても却下され、万引きした綾戸智恵は3食が食べれる刑務所に入れてくれと懇願する。これらは、今の日本の現実であり、自分で何とかしないと生きていくことすらままならない。
超高齢化社会を迎えている日本。政治も行政も明らかに行き詰まっている。
簡単にその解は見つからないのかもしれないが、変えれるのは政治とお金をまわす経済である。
真面目に生きてきて、何らかの形で日本を支えてきた人々が、年をとってもまともな生活をしていける。そんな当たり前の世の中にしてもらいたい。
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