「怪優たちの饗演」ロストケア にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
怪優たちの饗演
アマプラ自動再生していたら、
いきなり始まってしまった。
やばい…
陽光降り注ぐ、暑い夏の昼に観るテーマじゃない。
全人類に共通する重い重いテーマ。
そして一生答えなんか出ない。
それでも、いざ自分の出番が来た時に
どうするかは分からないが、今のうちから
考えておかなくてはならないテーマ。
ということで、肯定も否定もできない。
頭のどこかに置いておくことにした。
その日が来るまで。
なので映画的目線でお話しする。
なんといっても松山と長澤の熱演。
これに尽きる。
もちろん他の俳優も凄いのは言うまでもない。
最初の取り調べのシーン。
松山の背中から語り掛ける長澤。
・事実関係の確認しているだけですよ。
というアングル。
ゆっくりとカメラは90度移動し、
長澤は松山の前に回り込み、二人は対峙する。
・ここから内面について深堀しますよ。
という意思表示。
しばらくして2度目の取り調べのシーン。
基本的にカメラは相手の肩越し(斜め)から
話す人の正面の顔を捉えている。
・二人の意見は全くの互角。
両方に感情移入できる設定。
さて、あなたはどちらの考え?と観客に問いている。
ラスト刑務所での面会のシーン。
アクリル越しに長澤の独白を聞く松山。
相変わらずカメラは斜めだが、アクリルに相手の顔が映る。
・松山の行動には同意できないが、
長澤の内面には松山と同じ感情が同時に存在している。
あなたもそうでしょう?と観客に同意を求めている。
ついにカメラはアクリルに松山を映さず、
真正面からカメラ目線で「あなたのことを思いました。」
・自分の中に蓋をしていた感情が溢れ、
正直な自分を認知症の母に告げ、
そして今松山にも告白した。
何も言わず、やさしい表情を見せる松山。
ここまで書いて馬鹿らしくなった。
そういうテクニカルな映画じゃないのよ。
これは。
原作は知らんが、映画では最後に若干松山寄りに描かれた。
その賛否に関してだけは私は「否」。
でも実際に自分の番になったのなら「…」。
まだ答えは出さないでおくことにした。