「綺麗すぎるのか?」ロストケア 三月☆うさぎさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗すぎるのか?
前半はすごく良かった。介護の現場で斯波たち介護士が働いている姿や、苦しんでいる家族たちの様子に、揺さぶられた。
こういう、身につまされる映画は、心がえぐられるから苦手なんだと思いながら見ていた。
検察事務官の青年が、すごく良かった。斯波の話に動揺する様子とか印象的だった。
このまま抉られて言って、最後は大号泣か?と思いきや後半失速(個人の見解です)
なんかねぇ、主役のふたりが綺麗すぎる。長澤まさみは凛と美しすぎ、松山ケンイチは真っ直ぐに揺らぐことが無さすぎて美しすぎる。
しかも、見ているうちに、だんだんと過剰な映像の演出が鼻につくような気がしてきた。泣かせに来る良いシーンぽいのだけれど、説得力がなくて、ただ綺麗なだけ。
話が泣けるんだから、小道具とか映像とか(鏡とかガラスの演出がうるさい)いらんねん。
そもそもこの映画、2人の対立が主眼なのが違和感。大友のキャラが、斯波と対決するには弱いのだ。彼女に対して共感できる要素もゼロ。説得力のない空虚な正論を振りかざすのみで、全然響かない。かといって正論が空回りしている、という意図でもないらしい。よく分からない。
斯波に引きずられて崩れた訳でもないのに、大友検事の突然の揺らぎにはついていけず。彼女のパートの物語としての必然性が分からず、少し白けてしまった。(それをなぜ斯波に告白するのだ?)
こういう映画だと父親は必ず柄本明で、母親は藤田弓子だ。キャストのマンネリも、邦画が苦手な理由の一つなんだよな。
あと、主役ありきの無理のある展開も。
うーむ、原作を読んでみようと思う。
すごく良さそうな物語だったのに、なんか消化不良。
原作を読みました。映画見て引っかかっていたところは腑に落ちた。
そして、この原作と脚本で、あのキャラクターを作り上げた松山ケンイチが凄いと思い知らされました。柄本明も凄かったんだ。