「現代の高校生の青春譚なのにアラフィフのハートに楔を打ち込む、切なくて爽快なロックンロールジュブナイルコメディ」目指せメタルロード よねさんの映画レビュー(感想・評価)
現代の高校生の青春譚なのにアラフィフのハートに楔を打ち込む、切なくて爽快なロックンロールジュブナイルコメディ
ど田舎の高校生がバンドを組む青春映画ということで、フィンランド映画の『ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』、ノルウェー映画の『ロスバンド』や『ロード・オブ・カオス』といった作品をすぐ連想しましたが、こちらそのどれとも異なる甘酸っぱい作品。
スカルファッカーというバンド名からして頭悪すぎるコンビ、ギター&ボーカルのハンターとドラムのケヴィン。ドラムのケヴィンは体育の授業が免除されるからという理由でマーチングバンドで太鼓を叩いてる眼鏡っ子。ドラムの叩き方も知らないのにハンターがお父さんのクレジットカードで勝手に購入したツーバスのセットで黙々とWar Pigsを黙々と練習するところとか、ビールを飲んで盛大に嘔吐するところとか自身の高校時代を思い出してもう泣けて泣けてしょうがなかったです。そんなバカコンビの物語に花を添えるのがチェリストのエミリー。パッと見は質素で内気な彼女が物凄くブッとんだキャラクターなので彼女が加わることで俄然物語が華やかかつハチャメチャになります。この辺はネタを割ってしまうと興醒めになるので実際に観てもらいたいです。そして彼らのオリジナルソング、『拷問マシーン』。これが物凄くいい!この曲に込められたルサンチマン、これはエミネムの『8 Mile』に匹敵する切なさに満ちています。80’sメタルを浴びるように聴いていた世代には夢のようなカメオ出演もあったりして、現代を生きる高校生の青春譚なのにアラフィフのハートに楔を打ち込む爽快なロックンロールコメディに仕上がっています。出来れば大音量で楽しんで欲しい愛すべき作品です。
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