逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生のレビュー・感想・評価
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盗人猛々しいとはこのことか
まず、裁判が終わっていないためカルロス・ゴーン氏が実際に犯罪を犯したかどうかは曖昧な状態です。それ故、犯罪者と糾弾することもできないし、犯罪をしていないと証明された訳でもありません。このことは非常に重要なことで、本作を観て批評する際には留意しなければならないことです。
今まで私は、「国外逃亡したゴーン氏がレバノンにいると分かっているのに、何故レバノンから日本へゴーン氏の身柄引き渡しが行われないのだろう?」とずっと疑問に感じていましたが、本作を観てその謎が解けました。この映画は「カルロス・ゴーンは日本の司法に抹殺された」という前提の元、日本の司法を批判し、ゴーン氏を擁護する内容となっています。レバノン出身のカルロス・ゴーンは、地元ではヒーローであり、日本はそれを不当に犯罪者扱いしていると見做されているようですね。
インタビューを受けているのはゴーン氏の親族や友人や使用人など、ゴーン氏の人柄などを根拠に彼を擁護する人たちばっかりです。犯罪を犯したか否かと人柄は無関係ですよ。インタビューの最中、ゴーン氏が行ったとされている金融商品取引法違反や特別背任について根拠を持った発言を行なっている人がいないのが非常に不満でした。
一応、ゴーン氏に批判的な意見を言う人物(例えば安藤優子さん)も登場しますが、インタビューを受けている関係者の数から考えればほんの一握りです。
どうしても私にはこの映画がゴーン擁護・日本批判のプロパガンダ映画に思えてなりません。中立の立場からカルロス・ゴーン事件を描いた作品とは、とてもじゃないけど言えません。私にとって本作は純粋にドキュメンタリー映画として楽しむことができず、ガッカリな作品だったと思います。
日本に気づかせてくれたこと
目的に向かって、正解に向かって真っ直ぐ突き進むカルロスゴーン。 サラッとカラッとあっさりとカルロスゴーンは行ってしまった。軽い身のこなしさながら、映画もサラッと見られた。世間体や身分を気にしすぎる時代は終わらせるべきなんだと教えてくれたのでは。
分かり易くまとまっている!!
出演は安藤優子、西川広人、高野隆、ナイラ・ベイドウン、ルイ・シュバイツァー等で、特に安藤優子がゴーンについて楽しそうに語っているのが良くも悪くも印象的でした。観易い番組で、中盤から雲行きが怪しくなっていき、終盤の日本脱出シーンはオリバー・ストーンの「スノーデン」並みの緊張感がありました。ルノー以前は何をしていたのか分かりませんが、父親は神父殺しの死刑囚だったようです。ゴーン自身は一度も乗った事が無いという、日産のCEOとしてトヨタのトップの7倍の報酬を得ていたという事で、日産から800万ユーロ、ルノーから120万ユーロの年間報酬を得ていたという事です。巧妙な手口で膨大なお金が世界中に流出したようですが詳細やボスなどはここでは分からず、植民地総督のような立場だったのではないでしょうか。(かつて王族が歩きながら排便していたという)ベルサイユ宮殿で行われた60歳記念パーティでは、ルノーと日産から63万ユーロが使われたと言います。地球上で最も強欲な人間の一人として分かり易くまとまっていて、また本作が世界中に配信されて凄い事だと思います。空港でゴーンが入った奇妙な箱を開けていればと悔やまれますが、それを怪しんだ日本人女性や逃亡に成功して喜ぶ身内も登場して、やはり文字だけでは分からない物なので、これはこれで貴重なものに感じました。初めはあまり観たくなかったですが、下手な映画より面白かったです。
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