線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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誰が描いたの?
水墨画に昔から興味はあったものの、チャンスなく年月が去り……
大学のサークルにあったなら、参加してただろうなぁ
羨まっ!!
大大大好きな女優:富田靖子が少し残念だったのは、きっと役柄のせいです
ハイ
いい年の重ね方をしている三浦さんも、江口さんもメチャこの役にハマってました
適役とはこういう場合に使うべきだと思います
主人公の横浜さんも、清原さんも決して悪くはなかったけどね
外国の大使?あれは??
水墨画の良さが分かる前提?
あそこだけは、この映画の流れの中で要らないシーンだし、要らない登場人物ですね
たとえそれが原作にあったとしても
3年も経っているのに庭の椿が残っている??
刻んだ背の高さを書いた柱も??
ありえないなぁ
大学の講師には謝礼金は誰が出すの?
細かいところは気になったけど、まぁいいか
★特筆すべきは、エンドロール★
1つ1つの水墨画の完成度も凄過ぎて、誰が描いたのか調べても出てこなかったのが残念
ただ、コンポジットをSUPER SUPERというラボが担当したのは分かった
名前の出し方も斬新でいいし、味のある筆致!
描く順番などを意識して、まるでそれを再現してるかのようなコンポジションには震えた
きっと、横浜さんの人気と相まって水墨画のファンが増えるだろうなぁという映画でした
実際、保存して、水墨画にチャレンジしたいなと思ってます
墨に現れるモラトリアム
霜介も千瑛も同世代で、自分の進む道を探している時期。
霜介は法学部に通う大学3年生だが、家族を亡くした後悔と苦悩、孤独に3年間苛まれ続けている。将来進む道を考える時期だが、自分が何者かでいる感覚も何者かになれる自信も、湧いていない。
そんな中友達の代わりに来た水墨画イベントの設営で、ふと見た椿の水墨画に家族を思い出し涙する。
水墨画の巨匠に出会い、弟子入りは烏滸がましいので生徒になり、椿を描いた、千瑛と出会う。
千瑛もまた、巨匠を祖父に持ち、素直に祖父に教えを請えない距離感になってしまった関係性と、作品を賞の目線で酷評されて以来楽しいだけの水墨画ではなくなってしまい表現に彷徨っていた。
そのような心模様は、水墨画では線に出るという。
繊細な霜介の線に、形にとらわれず、思い通りにはならない自然に任せて好きにして良いんだと声をかける巨匠の温かみ。
巨匠は霜介の繊細さをいち早く見かけていたとともに、礼儀正しさにも気付いていたと思う。
受けたアドバイスを何度も練習して、現実を忘れるが如く水墨画にのめり込んでいく霜介。そのうち、向き合う事が難しく、蓋をしていた心のつっかかりと向き合い、3周忌に故郷に足を運ぶ覚悟がやっとできた。
上京する日に喧嘩したきり、家族が水害で流された。自分を責め、戻らない現実を悔い、あの日以降も戻れずにいた故郷に戻る道中、抱えていた経緯を千瑛に打ち明けて話す事ができた。
千瑛もまた、祖父が2度目に倒れたことで、まだまだ聞きたい事が沢山あるのにと素直な気持ちを出す事ができた。写実的な画風の千瑛もまた、自分の命をかけて心を表す線を描くことに苦戦していたが、家出をし、本心と向き合い、霜介の故郷を一緒に訪れることで自我の解放をできるようになる。
二十歳前後の年齢は、将来進む線を描くのがとても難しいことに激しく同意する。
その頃、本人自身がこれと思う選択に心を決めるまで、ゆったりと支えて待てる大人達がとても理想的に見えた。三浦友和も江口洋介も、子供を成人させている。自分と家族を支えて育てる責任の過程を経験してきた俳優にしか出せない、若者を見守る目線がある。
そして、横浜流星の横顔が惜しげなく写る。
かっこ良いだけではない、隠しきれない真面目さ。筋の通った、でも素直で優しく繊細な感性が、佇まいや所作に表れている。持ち合わせる雰囲気が、ストイックに突き詰める何かや、日本の伝統的な要素とぴたりと相性が良い。空手にボクシングに華道に料理に色々見てきたがどれもしっかりと身になるまで習得していてすごい。
作中で霜介は自分の線をかける精神状態になってから、一気に作品を仕上げるのだが、それをできたのは生徒になって以降、真面目にひたすら練習を重ねて技術を身につけていたからだと思う。
家族と植えて剪定した椿の思い出を通して、水墨画が心に響いてその道が開けたり、筆使いにも現れる礼儀正しさや優しさが千瑛の心を開いたり、亡くした家族による導きを感じずにいられなかった。
霜介の友達も「何年も止まっている霜介を家族が喜ぶと思うか」と鼓舞してくれて、周り全員が霜介の心の回復と霜介が自分だけの人生を謳歌するよう見守ってくれている。きっと家族も。
清原伽耶もまた、凛とした芯の強さが際立つ。聡明で、素直じゃない役ばかりだが、笑顔で誤魔化す必要のない演技力や他の子とは混ざらない別格感のある存在感がある。
作中でもそのような場面があるが、日本の誇る水墨画で作品を撮る以上、いい加減な恥ずかしい仕上がりで撮るわけにいかず、難しい部分はプロの手捌きを使うにせよ、ある程度のレベルまでは本人が仕上げて挑むだろうと信頼された俳優にしかキャスティングが来ないような気がする。
その意味で、ひとつひとつ積み重ねてきた横浜流星に信頼を寄せられてのキャスティングだったのだろうなと思うと嬉しいし、1年以上特訓し立派にこなした横浜流星はやはりすごいなと感じる。
掛け軸の水墨画を何度見ても、滲んだところと濃いところがあるなとは思うが画法が長年わからずにいた。
千瑛の説明で、筆の中に3層の色の濃さを作ってコントロールすると聞いて初めて、言われてみれば竹の節は確かにわかりやすいと気付いた。にしても、いきいきと躍動感のある、描き入れた瞳に魂を吹き込まれたようなタカも、のびのびと力強い龍も、技術もとんでもないのだがそれを通り越してダイナミックで心が魅了される衝撃があった。
雪舟の時代とはまた違う水墨画の世界が、見ていてとても楽しかった。
泣ける!
いきなり素人大学生が超有名な絵師の生徒になってしまうトントン拍子なスタートでしたが、椿の花への想いがあとから分かって泣けました
清原かやちゃんがとても、かっこいいですね
スンッとした佇まいや雰囲気がすごく合ってました
【この映画が好きな人におすすめ(かも)】
3月のライオン
感受性豊かな男青山
仮に水墨画が出てこなかったとしてもいい内容の作品だったろうと思う。
うまく表現できないが、簡潔に言うならば「自分と向き合う」ことについてのドラマだ。
横浜流星演じる主人公青山と清原果耶演じる千瑛は互いに、周りの大人に、そして水墨画を通して成長する。
見えていなかったものが見え始め、世界に自分を溶け込ませる。世界から疎外された自分ではなく、自分で自分を受け入れたとき、澄んだ心で見ることができるようになる。
自分の心のフィルターを通すことで自分を含んだ世界に変わるのだ。
そして彼らの心の変化は水墨画を通して物語となる。水墨画だけではない映像によって心境変化、彼らの成長が描かれているところも素晴らしい。
物語終盤、青山と千瑛が青山の家があった場所を訪れたあと、穏やかな小川の流れや飛び立つ鳥は青山の心の映像だ。
冒頭に湖山先生が描いた鳥の水墨画は木に止まる鷹だった。湖山先生が青山に執着していたことを考えると、あの鷹は青山だ。
飛んでいなかった鳥が飛んでいる。家族を押し流した濁流は穏やかなせせらぎに。青山の心がどう変わったのかをこれだけで表すのはいい。
そして、ラストの青山の水墨画は本当に素晴らしい。
青山が見る夢のシーン。過去の家の中にいる自分。窓の外を眺める自分。窓の外には椿が。
この夢こそが青山の心だ。心のフィルターを通すとは、ここを通らなければならない。
青山の水墨画に描かれたのは椿。夢の中でずっと見ていた椿。描かれた椿は光が差し込んで、ガラス窓を通して見たような椿だった。
夢の中でずっと見ていた椿をそのまま描いたのだ。
自分の心を通した線が活きた線となり、その線は、タイトルにもなっているように、翻って自分を構成する。
心に蓋をして、偽って、見ぬふりをして、これで生きているといえるだろうか。
映画は娯楽であり芸術だ。映画ファンとしては、芸術に対するエモーションは重要である。心を殺さないことの大切さを描出されたら評価せざるを得ない。
涙を流す青山くんの場面から物語が始まるが、彼の中に特別な想いがあったにしても絵を見て泣ける感受性には感心する。
あの感性で映画を観たらもっと面白いだろうなと羨ましく感じた。そりゃあ湖山先生も弟子にしようとするよね。
白と黒の世界
余計な色が一切ない映像だった
淡白でいて、繊細でいて、されど奥深い
1枚のキャンバスに白と黒で描かれているだけなのにキャンバス以上に世界が続いていくように、見る人によって色が付け足されるように、そんな水墨画のような世界観が描かれていた
人によって描き方が違うことが人生観の違いであったりして本当にいい映画と思うんだけど、大臣要素はちょっと浮いてたかな?あとは「家族」というワードへのこだわりがもう少し欲しかったかも。
『鳥獣戯画』と『信貴山縁起絵巻』を生まれて初めて見た。
最初で最後になるが、小学校5年の頃、僕も『三墨法』で竹を描いて年賀状を送ったことがある。
水墨画や書道には興味はあったが、小学校3年生から3年間書道教室に通って、結局、初段にもなれずに止めてしまった。才能がないのは致命的。同期の女の子は有名な書家になった。消されるから、名前は書けない。
さて、本日は水墨画ではないが、東博へ『大和絵』を見に行った。『鳥獣戯画』と『信貴山縁起絵巻』を生まれて初めて見た。
さてさて、
来年正月は1月2日からまた『長谷川等伯』画伯の『松林図屏風』が展示される。毎年見ていて、もう何度も見たが、東博で見る回数は後、七回。東博へ行く事が僕の初詣。
この映画の画伯は『男はつらいよ 夕焼け小焼け』の『宇野重吉さん』をリスペクトしている。フーテンの寅さんを、画伯が気にいられた理由が分からなかった様に、この映画の主人公が、どういった理由で、この映画の画伯に気に入られたかそれが最後まで分からなかった。
追記
書家は主に紙を扱う商売だから、禁煙すべきだと思うが。
線は、僕を描く
水墨画と出会った青年が自分の人生の暗い部分から避けていた事に目を向けて、自分というものを取り戻していく。
原作の小説と設定が変わってる部分もあったりしたけど、十二分に楽しむ事が出来ました!
後悔しても仕切れないまま、過去に自分を取り残した主人公。
そんなある時にバイト先で水墨画と出会い、その人生に戦を描き始める。
何事もやってみないと分からない。
何か夢中になれるかどうかなんて、誰にも分からない。
そんな所から思ってみないような場所に辿り着けるような気がする。
「ちはやふる」の水墨画バージョン。
水墨画をテーマにした青春映画。小説の映画化なんですね。
水墨画について詳しくないのですが、描いたこともなく、興味すら
なかった人物が、こんなに短期間で上達するものなのかな?
と疑問を抱きながら見ていました。展開としては、「ちはやふる」ほど
ドラマチックでもなく、淡々と進んでいきますね。
まあでも、退屈することもなく、最後まで楽しめました。
三浦友和さん、江口洋介さん、この二人の演技が素晴らしいですね。
あ〜と思ったシーンが一つ。柱が見つかるという描写。
「柱の傷」が何度も出てきたので、どこかで回収されるのだろうな、
と思いましたが、必要ないんじゃないかな?
泣かせようとする描写に感じて、あまり好きじゃないな。
原作付きの映画化としては出色の出来
水墨画の世界を映画化しただけあって、全体的に抑えた落ち着いたトーンの映画になっていて好感が持てました。もちろん劇中で山場となる場面や賑やかな場面というのはあるのですが、それらの場面もチャラチャラした印象を与えることなく描いていて落ち着いて楽しむことが出来ました。
主役の2人を筆頭に、江口さん等の脇役もそうですけど、役者さん達の演技のよさがそれに貢献しているのもあるし、邦画にありがちな安直な恋愛描写を入れていないのもそれに寄与している様に思います。原作では多少の恋愛描写めいたものもあるのですが、映画化に際しては多少薄味にアレンジされています。邦画って原作にないのにこれでもかと浮ついた恋愛描写とか足してしまい、蛇足が何本も生え散らかしてしまいがちですが、本作は水墨画が題材ということもあるし、主人公が深い悲しみから立ち上がる話でもあるのでこれが正解なのではないかと思います。
この様に映画化に際して原作との差異が発生するわけですが、個人的には絶妙なアレンジだったと思います。小説原作の映画化としてはかなり出色の出来なのではないでしょうか。原作との差異でいうと割と重要人物の斉藤さんが省かれてしまっているのは少し残念でしたが、枠の限られた映画の中で出していたら話がとっちらかった可能性もあるし、仕方のない改変だったと思います。
原作もそうですが、この物語には「嫌な奴」というのが出てきません。主人公に嫌がらせをしたりとか登場人物の足を引っ張ったりする様な人物は一切出てきません。それが故に勧善懲悪的カタルシスは得られませんが、安心して気持ちよく観ていられるのも事実。
そういった様々な要素がこの水墨画の世界に相応しい落ち着きを持って表現されている素晴らしい映画だと思いました。
ただ、これだけは本当に意味がわからないのですが、エンディングテーマは何故あの曲を選んだのでしょうか。全く劇中イメージにもあっておらず、余韻を台無しにしてしまうという最悪のエンディングテーマだったと思います。せめて挿入歌の「Lost」をエンディングに持ってきた方がまだよかったのではないでしょうか。yamaさんの歌そのものが悪いわけではありませんが、とにかくミスマッチでそれだけが残念でした。
本質を描く、思いきりの線
Paraviで鑑賞(レンタル)。
原作は未読です。
競技かるたの世界を鮮やか且つダイナミックに描き出していた「ちはやふる」三部作のスタッフだけに、水墨画の世界に魅せられた主人公の青春模様を瑞々しい映像と音楽で描写する手腕が流石の一言。その線で何を描くのか、と云う主題はかなり王道な部類の問い掛けながらも、主人公とヒロインの悩みや葛藤と結びつき、己の心や家族と向き合うことになる展開は青春映画らしかったし、否応無しに感動的でした。
[余談]
水墨画を描くシーン、文章でどう表現されているのか気になったので原作を読みたくなりました。
画は、僕を描き変えていく
『ちはやふる』のスタッフが次に挑んだのは、再び日本ならではの芸術の世界。
大学生の霜介。バイト先で魅了されたのは、水墨画だった…。
競技かるたも知られざる世界だったが、水墨画もまた。
それがどういうものか漠然とは知っているけど、深くは知らない。
水墨画の大家・湖山に誘われ、弟子入り…いやまずは生徒として始めた霜介。
見る我々も彼の視線になって。
この水墨画の世界に触れていく…。
色彩豊かな絵画と違って、墨一つで創り上げていく。
白と黒のコントラスト。
シンプルだが、非常に高度な技が要求される。多彩な色での表現とは全く別物。
繊細さ、向き合い、己をも投入。
描き出したものは、自分そのもの。
“線は、僕を描く”とは上手いタイトルだ。
奥深き水墨画の世界。
勿論、水墨画の基本もレクチャー。入門編としても。
『ちはやふる』同様、全くの素人でも難なく見れる。
水墨画の魅力と並行して描かれる物語の主軸となるのが、主人公・霜介の再生と成長。
家族に関する悲しい過去を抱える霜介。それはあまりにも悲劇的…。
悔やんでも悔やみきれず、それから逃れようとすればするほど背負い込み続け…。
今尚苦悩し続けるのは、振り返って向き合ってこなかったから。
確かにトラウマに等しい悲しい過去だ。が、そこから新たな一歩を踏み出すには、必ず向き合わなければならない。
水墨画に真摯に向き合う事で、自身の過去にも真摯に向き合う。
悲しく複雑だった僕の色が、シンプルながらも澄み透り、新たに描かれていく。
何かになるのではなく、何かに変わっていく。この台詞が印象的で心に残った。
キャストは皆、好演。
横浜流星のクリーンな佇まい。さながら真っ白な紙のよう。そこに、実直さや繊細さを画き表す。猛訓練したという見事な水墨画も披露。昨年から躍進著しく、水墨画の表現のように可能性がどんどん拡がっていく。間もなく公開の『ヴィレッジ』も期待大。
三浦友和はさすがの存在感。ただ威厳たっぷりじゃなく、温かさ、柔らかさ、優しさを兼ね備えた人間味のある先生。何だかうっすら、樹木希林が被った。
この師弟二人も良かったが、特に良かったのが…
湖山の弟子の一人で、実の孫。“美人すぎる水墨画家”として人気の千瑛。才能あるが、最近伸び悩み。自分の“画”が描けない。突然弟子となった霜介をライバル視するが…。
クールビューティーだが、霜介の通う大学で講師として招かれ、同世代の若者たちと触れ合った際の素顔。
が、水墨画に向かうとキリッと切り替わる。
もう清原果耶の為のような役。力強い眼、表情、演技力、存在感、魅力、着物姿、横顔…全てが美しい。
湖山の元で料理や身の回りの世話やイベント事の準備などの雑用や仕事、関係複雑な祖父と孫娘の間も取り持つ。新弟子の霜介の面倒見もいい。
江口洋介が演じる西濱。本当に“あんちゃん”。時々暑苦しさある江口だが、自然体の超好演。
彼はお手伝いさん…? 否!
実は、湖山の一番弟子。あるシーンで代打でパフォーマンス水墨画を披露。圧巻の腕前で、一気に場をさらってしまった。チョー美味し過ぎる役回り。
小泉徳宏監督の演出も正攻法。
美しい映像や音楽。
知られざる水墨画の世界を見易く。
一人の青年の再起を心染み入らせ…。
『ちはやふる』に続いて、本作もまた“悪くない”作品であった。
が、『ちはやふる』を超えるような名画とはならず。腑に落ちない点が幾つか。
まずは物語の入り。霜介が水墨画に魅了されたきっかけ。
ある一つの水墨画に涙するほど感銘受けてとなっているが、何故どう魅了されたのか、ちと吸引力に欠けた。
湖山が霜介を弟子にした理由も。突然、「弟子にならないか?」。霜介は水墨画の嗜みあったのか…? いや、ナシ。序盤で水墨画をするシーンがあったか…? 声を掛けられたのは開幕すぐだったので、そんなシーンも勿論ナシ。あまりにも突然。
後々霜介が水墨画に魅せられた訳、湖山が霜介を弟子にした理由も語られるが、これらもまたちと説得力と納得力が弱い。
きっかけは些細な事だってある。それが自分を決める。“運命”や“必然”とも言えるが、描きが弱いと映画としての“ご都合主義”になってしまう。
『ちはやふる』は主人公の千早が“かるたバカ”で、その熱が周りの皆を突き動かし、自身にもなっていく“絶対的な必要性”があったが、本作はそこの弱さも感じた。一心不乱の没頭と魅了されていくでは、作品に引き込まれる熱量も違う。
まあ『ちはやふる』はスポ根的な要素あり、本作は繊細な作品であるから全く印象も引き込まれる魅力も違うのは致し方ない。
『ちはやふる』はあの作風がぴったりハマるし、本作はこの作風がしっくり来る。
全三部作の『ちはやふる』と本作一本の見応えと深みの差は如何ともし難いが、作りにちと難があっただけで、作品的には偽りなく良かった。
EDの主題歌は作品世界とあまり合わず。静かな美しい音楽で終わって欲しかった。
水墨画に、自身の人生に、真摯に向き合い、描いていく。
そこに描かれた意味、可能性。
あなたなら、真っ白な紙に何を描くか…?
画は、僕を描き変えていく。
かなりオリジナル突っ込んでる
コミカライズで知って、原作小説も既読。
映画化と知って、(楽しみではあるけど、映画化かぁ。うーん、題材としては地味だし、文芸映画的に作るのかなぁ)と思った。
コミカライズの印象が強いので、(えっ、先生を三浦友和?格好良すぎでしょ。それに、もっと歳上じゃね?存命なら、好々爺バージョンでの津川雅彦さんかなぁ)(江口?先生と違って逆にオッサン過ぎるでしょ)。しかも、本当は男性のキャラが富田靖子に・・・・。他のキャラもイメージ違うなぁと。
原作だと、両親が事故で死んでいるのに、映画途中までだとオリジナルで出した妹が死んだ?って思う描写、最後の方で家族全員かって分かるけど、妹必要?
先生が青山を弟子にしようと理由自体はまぁ、演出は過剰だけど基本同じもの。ただ、先生が青山に興味を持った部分がザックリと切られているので、原作未読だとなんで水墨画の大家が初対面の学生を弟子にしようとするのかが分からないだろうなぁと言う始まり方。
まぁ、その辺が原作からの違和感。
100分強にまとめるため、映画は青山の描く水墨画の成長には殆ど触れず、青山や先生、千瑛、西濱との関係のみに絞った感じ。なので、原作ではもっと才能があり成長している水墨画家としての青山ではない。
と言うと、映画として良く無いみたいだけど、原作を知らずにこれだけ見れば悪くない。最初の先生が青山に興味を持つ部分の違和感さえ気にしなければ、スムーズに見られる。むしろ、オリジナル部分の終盤、流された家の跡地で椿が映された時はハッとなる。
映画でオッサン化された西濱も、水墨画を描くパフォーマンスの迫力は若い役者では出ない、江口だからだろうな(だから、オッサン化した西濱が「茜さ~ん」と若い女に寄って行く所は再現しないで欲しかったw)
ラストもオリジナルだけど、この展開だったらアレで正解かな。
ただ、エンディング曲がいきなり作風と違うイントロで始まったのが・・・・・・曲は良いと思う。結構、好き。だけど、あの終わり方なのにエンディング曲としては・・・
ひとことReview!
「再生」がテーマらしいのだが、何がしたいのかよく分からない感じ。小泉監督の代表作の実写版『ちはやふる』3部作で見せたようなテクニックが全く無いのは残念。
水墨画に出逢う青年の足跡
心にポッカリと穴の空いた青年が出逢う水墨画を通して、彼が足を踏み出す姿を描く。
誰しも全てが整い全うする人生はなく、何処かで躓き、方向を見失い、いろいろな経験を重なることでその人生が彩られる。
その姿を主人公の目を通して描くことで観てるものにも少なからずひたむきに進むことの大切さを実感させてくれる。
水墨画の青春
映画館にて鑑賞
話題作で評価も高いので気になってた作品
あらすじは悲しみを抱える青年が水墨画家に弟子入りしないかと言われ水墨の世界に触れて成長していくストーリー
まず冒頭の弟子にならないかのシーンから引き込まれる
ありきたりな展開だが
三浦友和の自然体な演技に魅了される
リアルに感じるし人間味がある
また横浜流星も中々演技が上手く違和感なく見れる
横浜流星はどちらかと言うとパリピの役より少し影のある役の方が似合うのかな?
江口洋介もさすがで良いキャラクターを演じていて最近では主役よりも脇役の方が活躍してる気がする
清原果耶もいいのだがすこし若すぎる感は否めない
ストーリーの展開は悪くないが、少し盛り上がりにかける気がするし、ちはやふるの監督ということで少し青春色を足しすぎた感はある
原作はまだ読んでないがもっとセピア色なんじゃないかな?
また洪水で家族を失った設定もうーんって感じる
家壊れるくらいの事やのに柱とか椿残ってるとかもないやろって話やし
命を吹き込むとか言われているが
水墨に関しても明確な答えが出ておらず
湖山も千瑛に厳しくいうばかりで指導する気あるのか?ってなる
また友達A.Bの演技が酷く完全に白ける
怒りで震えるシーンなど全く表現出来てなく
主人公と同じでおいおいどうした?と感じた
もう少し別の役者いたんじゃないのか
最後とかは上手く纏めているように感じるし
yamaの主題歌や挿入歌も中々よい
またエンドロールもおしゃれだ
あまり青春映画感は少ないが
見終わった後前を向いて頑張ろうと思える気持ちの良い映画ではあるので機会があれば是非
感動!
予告をみて気になっていたので観に行きました!
横浜流星さんが演じる青山霜介と
清原伽耶さん演じる篠田千瑛はとてもよかったです
湖山が描いたあの龍の水墨画!
「あっ」と言って失敗したのかと思いきや
そこから少し考え再び描き始め完成、、
とても迫力があって感動しました!
映画に出てくる水墨画の作品の数々は実際にみてみたい
と思う物ばかりで凄かったです!
語彙力がなくてすみません笑
個人的に今年観た映画の中で
上位に入るほど素晴らしい映画だったと思います😊
いろんな人に観てもらいたい映画です!
素晴らしい映画をありがとうございました☺️
水墨画って深い~
以前、営業先の階段に飾ってあった水墨画見てから、興味はありました。書道を習っていたこともあり、墨をするシーンは懐かしい。
墨の濃淡、ダイナミックさと繊細さが描かれて劇中、思わず拍手したくなりました(笑)。流星くんが一生懸命、描いてる横顔が凛々しくて美しい。ストイックで努力家な流星くん、今後も楽しみ。江口さんの作品もステキすぎて目を奪われた。江口さんも役柄でガラリと変わる演技力がすごい。続編があれば観たいと思います。
白と黒とで描かれる水墨画の世界。それを描く事に生きる意味を見いだした男の、人生再出発の物語です。
墨と水。 それだけで描かれた絵が
ときに深遠幽玄な世界をも描き出す。
水墨画って惹かれるものを感じます。 うん。
その水墨画の世界を題材に
どんなお話が描かれるのか気になり鑑賞です。
寺の境内に並べられた多数の水墨画。
その中の1枚を見て涙を流す男・青山霜介 (=横浜流星)。
彼は 展示会を手伝いに来た大学生。
絵を描く実演の場。
描くのは巨匠・篠田湖山(=三浦友和)。
先程、霜介に値段の高い方の弁当をくれた人。
実演開始。
そして描き上がる作品。
湖山先生が、舞台側の霜介に近づき声をかける。
「君、ぼくの弟子にならないか?」
突然の事にとまどい、固辞する霜介。 結局
水墨画スクールの生徒として師事することになる。
そして訪ねた湖山先生の家。
湖山先生に言われるまま
ひたすら墨を磨り そして
紙の上に線を引く。 1本、また1本。
先生の手本を見ながら 時間を忘れて何枚も。
描き終えて道具の片づけをしようと
洗い場を探す霜介。
奥の部屋で、一人の少女が筆を握っていた。
その筆使いと所作を見つめる霜介。 と
「誰?」
人の気配に気付いた少女が、声をあげた。
この少女が篠田千瑛(=清原果耶)。
湖山先生の孫であり、弟子でもある。
道具のことなどを霜介に教えてあげるよう
湖山先生に言われる千瑛。
「なぜ私が…」
といいながらも色々と教えてくれる。 いい子だ。
この三人に加えて
・湖山先生の住み込み弟子の西濱(=江口洋介)
(雑用兼まかない担当 と思わせといて…)
・霜介の友人二人
軽い感じの男・古前匠(=.細田彼央太)
↑の彼女(?)・川岸美嘉(=河合優実)
といった登場人物が
大事なところで話に関わってきます。
この作品の主人公(霜介)
過去 (3年前) にあった悲しい出来事によって
家族(両親・妹)を失っていて
「ただなんとなく」毎日を過ごしてしまっていた。
それが、
水墨画と出会い
そして湖山先生や千瑛たちと出会い
それを通じて
再び生きる意味を見いだしていく。
そんなお話です。
◇
AIが絵を描く。そんな時代になってきました。
この作品で描かれるのは、その対極。
人が筆を使って紙の上に紡ぎだす
白と黒のモノクロームの世界。
白い紙の、どこにどんな線を描くのか
人が考え、感じるままに筆を走らせる。
描かれた線は、一本として同じモノにはならない。
それでいて、同じ人の描く線は どこか似ている。
それが、筆致というものなのだろうか。
まさに 「人のなせる業」 。
技術も必要。
白い紙の上に、どんな線を引きたいのか。
どんな世界を描きたいのか。
自分で考え、自分で決め、そして描く。
それが、何よりも大事。 …たぶん。
話の起伏が、筆で描かれた線のように
なだらかで滑らかなお話です。
じんわりと
良かったと心に感じられる作品でした。
自分でも 「竹」 の絵を描いてみたくなりました。
うん 観て良かった。
◇ あれこれ
四君子
梅・欄・菊・竹 の四種類と知りました。
この題材が上手く描ければ
水墨画を描く上で必要な技術がある ということらしい。
※麻雀牌の「花牌」の図柄がこの四種ということを
調べて初めて知りました。 へぇ そうなんだ。
三浦友和
巨匠の役者が誰だか分からず
最後にテロップで確認。
…で 三浦友和。
あぁそうか、と納得。
いい歳の取り方をしてきたのでしょう。
こういう爺さん役の年齢なんだとしみじみ。
富田靖子
割と最近、床屋さんで見かけました(「向田理髪店」)が
今作では水墨画壇の重鎮として登場。
厭味なばあさん役かと思ったら 違ってました (…ゴメンなさい)
※個人的には理髪店の奥さん役の方が好きかも
江口洋介
陰の主役はこの方です はい。
巨匠の弟子は、巨匠でした。
良いところを持って行きました。
「アキラとあきら」 のカタブツ部長役も良かったし
このところ色々と好演&熱演です。
※ あれだけ料理が上手ということは
ずっと独身なのでしょうか… (余計なお世話)
◇ 最後に
洪水に見舞われた霜介の実家の跡を
霜介と千瑛が訪ねる。
家族が暮らしていた痕跡を探す二人。
千瑛がそこで見つけたのが
「椿の花」 そして 「背比べを刻んだ柱」
「椿」 のことは霜介に伝えた。
「背比べを刻んだ柱」 の事は 伝えなかった。
霜介に関わりがある物と 気付かなかったのか。
それとも、
霜介の心の重荷にならぬよう 知らせなかったのか。
どっちなのだろうか
と、観終えた今も考えています。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
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