線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
全218件中、201~218件目を表示
気になる点もあるものの、原作ありで原作重視とのことなので…。
今年307本目(合計582本目/今月(2022年10月度)21本目)。
水墨画をテーマにしたという、映画館での作品では結構珍しいんじゃないかな、というタイプです。
もちろん日本の文化としては「実際に描いてみること」自体は高校の美術まで含めても扱うことはほとんどないし、おそらく大学の美大芸大で選択科目で専攻でもしていないと、「実際に描いてみること」自体は学んだこともなければ触れたこともない(そして、いわゆる市民文化教室の類で扱われるような内容でもない)のは確かだし、どうしても西洋の美術が一般的によく扱われる今日ではマイナーな点はあるものの、それでも「そういう文化はある」ということは常識扱いかな、という気はします。すると、そこの点に関する専門用語については抑え目でありながらそこそこ詳しく扱っているという点は評価できるかな…という感じです。
一方でこの映画は、原作も本映画も「あまり成績がよくない法学部の学生」(公式サイト、原作公式サイト、映画内でも触れられる)が主人公ということを考えた場合、主人公のおいたちや後半に出てくること(河川がどうこうという話。詳しくはネタバレ回避)に関しては、特に「河川がどうこう」の話は結局は国家賠償法(2条)の話になるところ、その話が一切出ない点は理解するものの(主人公が法学部の学生というだけであり、国賠の話をする趣旨ではない)、後半一部の部分で、資格持ちは「なんでそういう展開になるんだろう??」という点があることは確かですが(後述)、一方でそういう事情である関係上、ほかの部分に関しては概ね「学生さんとはいえ法学部」という事情から極端に変な展開になってもいないし、まぁそこに極端にウェイトをおいて引くのはフェアではないし、映画の趣旨的に見てもよくはないんでしょうね。
なお、扱っている文化が少し「変わっている」とはいえ日本の文化でもあるし、それほど難しい語句は出ないので、今、日本への旅行がほぼコロナ前になった今日においては、来日されている方の「日本の映画館ってこういうもの」ということ以上に「日本の美術についてもふれている」という点でも、その観点でも推せるかな…という印象です(まぁ、大阪市内でも解禁されても、ずーっと串カツだの何だので結局コロナ前と変わっていないし、まして映画館に来る方もレアですが…)。
採点にあたっては下記を考慮しています。
-----------------------------------
(減点0.3) 上述通り、この映画では「河川でのあるできごと」がひとつのファクターとして描かれます。ただこのことは極端な話「大震災」でもよければ、あるいは「大火災が延焼した」でも構わないところ、原作がそうなのだろうと思いますが、「河川でのできごと」として描かれています。
ただこのことは、一方で国家賠償法(2条、公の営造物の瑕疵)との関係で、特に河川に関してはいろいろな判例が多いことは資格持ちは知っているので…。映画内での描き方を見る限り、「河川の管理も、設置者(「国家賠償法」だからといって、常に国との争いとは限らない。設置者が都道府県・市町村ということもありうる)も責任なしか?」というと微妙な気がします。ただ、このことについて触れ始めると、映画の展開が変な方向にいってしまうし、一気に法廷ドラマものになってしまうという事情もあるので仕方なしという点は一応理解はしても、そうであればそもそも「大震災」とかであればその疑問も生じえず(まさか、大地震まで国の責任にされたらたまったものではない。もちろん、違法建築物が倒れてきただの何だの別の論点があれば別)、そこが「河川のあるできごと」であるのは原作重視とは思うものの、資格持ちは???な展開が「やや」あります。
※ といっても、リアルでいろいろ調べると、法学部の一般的なカリキュラムをみると、行政法(国家賠償法)自体が学部3年、4年配当の大学も多く、主人公は学部3年か4年であると思われるところ(飲み会で飲酒している描写の解釈から)、これらの科目は大半「選択科目」であるのもリアル法学部では確かで、そこは「うーんどうだろう…」という気はします(明確に憲法や民法など、明らかに学部1年配当の科目として理解が変という指摘とは違う)。
※ かつ、このことで大きく引けないのは、「確かに国賠2条の観点では描写が微妙」なものの、法学部の学生さんが弁護士などと一緒に設置者(国とは限らない。都道府県が管理していれば、被告は変わります)を訴えるだの何だのという話になると映画の趣旨を逸脱してしまう、という「実際上の問題」もあります(ストーリーが原作を逸脱して支離滅裂になる)。
※ このような細かい指摘は、結局、「主人公が法学部の学生という設定だから」という点に大半つきます(すべての映画でこの趣旨の描写が微妙、ということで引き始めるとまともな採点ができなくなる)。
-----------------------------------
ところで、「RRR」も楽しみにしているのですが、左下にバンバン出てくる謎の「たばこはやめましょう」みたいなのは出てくるのかなぁ…(明日のおたのしみ、かな?)。
まさに、水墨画「道」を描いた映画
水墨画には詳しくないが、シンプルなだけに奥が深く、技巧だけで良し悪しが決まるものではないのだろう。タイトルや劇中の台詞にもあるように、描き手の人となりや生き様が如実に表れるというのも、そのとおりなのかもしれない。
ただ、そうは言っても、水墨画で人に認められたり、賞を取ったりするためには、それなりの絵の才能やセンスが必要になるのではないだろうか?
その点、湖山先生が主人公を弟子に取った理由には、今一つ納得がいかないし、主人公が水墨画にのめり込み、めきめき腕を上げていく展開にも、どこか違和感を感じてしまった。
仮に、湖山先生が、行き詰まっている孫のために、一緒に前に踏み出すパートナーとして主人公を選んだのだとしたら、その深謀遠慮ぶりには舌を巻くしかないが・・・
いずれにしても、芸術家というよりは求道者のような水墨画家たちの言葉には、人生訓のような含蓄があるが、最も心に響いたのは、江口洋介演じる湖峰の、人や絵についての考え方だった。
水墨画の世界を舞台に自分の殻を破るお話です。絵は綺麗ですが話は・・
楽しみだった作品です。
初めて知ったのは、週刊少年マガジンでした。心惹かれたのは、作画の美しさだけでなく、物語の美しさでしてた。
映画化を知ったのは、原作を読もうとしてるときでした。漫画の中の4巻分を2時間弱でどう、表現していくのか、すごい楽しみでした。
水墨画に命を吹き込む、そのためには、どうすればよいのか。名人の見本の作品をマネして上手く描ければそれでよいのか、師匠、先生、先輩は、ちゃんと教えてはくれない。ヒントは、どこにかに隠れている。悲しみ、苦しみを乗り越えて前に進むことを考えてみるのには、よいのではないだろうか。
この作品も、テレビドラマとして、長い尺で観てみたいが、そうなると良いところが消えてしまいそうに思えてならない。
原作読んでみよ!!
静と動を動きから音楽から映像
続編は是非、千瑛と川岸で❗️
偶然だと思いますが、先週公開の『耳をすませば』も主人公は自分の心の声を聞くことで、また前に進み始めます。
心の声とはすなわち進む道を確認し選択することであり、それは、決して何かと〝折り合いをつけること〟ではなく、何かに〝踏ん切りをつけること〟なのかもしれません。
そして踏ん切りをつけた対象である何かが、決して忘れてはいけない大切なものだからこそ、選んだ道、選んだ生き方に命を吹き込む。
この映画では、鑑賞する多くの人に分かりやすく伝えるために、自然災害による不幸な出来事を背景として描きましたが、どんな人であろうとも、人生の選択においては、その都度、何かを諦めたり、一旦は距離を置いたりしているはずです。
よくよく考えると、災害や事件・事故という不運な事態を除けば、人生における選択の都度、何かを諦めたりするのは、女性の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
仕事におけるキャリア、家庭、こども等々…。
続編があるのなら、是非、千瑛やサークルを立ち上げた川岸の視点で、人生の選択や、そもそもその選択の時に何かを切り捨てなければいけないのか。
そんな20代から30代を描いて欲しい。
そんなふうなことを今考えています。
【関連情報⁈】
清原伽耶さん主演のドラマ『霊媒探偵 城塚翡翠』が始まりましたが、必ず最後まで見てください。
原作小説では、すべてが伏線、と帯に謳ってましたが、まったくその通りなので、最後の第4章まで見届けないとすべてが無駄になります。
スタートからいい!
白い紙に無限の可能性が広がっている
清々しい
#76 青春映画ではないけど
全体的に良かったです。
何故先生が青山クンを弟子に誘ったのかわからなかったけど、何も志のない青年を闇から引き上げたかったんじゃないかな。
また弟子である孫にも良い影響を与えてくれるとかんがえたんだと思う。
全然絵心も才能もないけど、水墨画を描いてみたくなった〜。
ちはやふるを見てもカルタをしたくならないのとはそこが違う。
体感する水墨画の世界
漫画版は読んでいます。
感想
水墨画を描くシーンはカッコいいが、物語としては何処か満足度不足感を感じてしまった。
・物語構成
基本的に原作に忠実に作られている印象です。一部映画として画面映えする様な追加シーンはありましたが、基本的には大筋は原作通りなので安心して観れました。
登場キャラクターの抱える精神的な問題についての場面も繊細に描かれていたと思います。しかし、大満足とはならず、何か物足りない?という印象は持ちました。
・水墨画の作画シーン
本作一番の見せ場である水墨画のを描くシーンはとても美しかったです。特に巨大な用紙に描くパフォーマンス作画のシーンは迫力があり、カッコよかったです。
・美麗画面
制作チームが『ちはやふる』を制作したチームなので、画面が終始美しかったです。
・演技
演技も俳優陣の皆さん役になりきっていていて、引き込まれました。
総評
美しい水墨画の世界を体感出来て楽しめた。一方で、物語としては盛り上がりに欠ける印象を少し持った。
真摯な眼差しで水墨画の道を求める
墨絵の求道者の映画なのだが、今を時めく横浜流星さんと清原果耶さんがメインなのでビジュアルがこの上なく美しい。ただ、この映画の見どころはビジュアルだけにあるのではない。主役の青山霜介を演じた流星さんはコロナ禍の延期もあって時間をかけて練習し、撮影に臨んだという。流星さん以外の水墨画家役の出演者も同様で、それは筆を執るときの真摯な眼差しに現れている。
ストーリーは水墨画の大家・篠田湖山(三浦友和)の孫、千瑛(清原果耶)が抱える悩みを軸に展開。その後、霜介もあるトラウマを抱えていることが、次第に明らかになっていく。指導面では湖山は弟子を教えるのが下手という設定だが、敢えて節目に大枠を示すだけで霜介や千瑛に自由に試行錯誤を重ねさせるという筋の通った指導を行っているように感じられた。
他の登場人物では、湖山邸の食などを取り仕切る西濱に扮する江口洋介が90年代のドラマの“あんちゃん”のキャラとあまり変わっていないのが興味深い。また霜介の仲間の役の細田佳央太さんや河合優実さんが水墨画サークルをつくって盛り上げるシーンは、同じ小泉監督作品の『ちはやふる』の乗りを想起させる。特に細田佳央太さんは4年前の『町田くんの世界』を引き継いだユーモラスなキャラクター。ちはやふるの西田を演じた矢本悠馬さんの後継は彼に落ち着きそう。三浦友和さんや、批評家役の富田靖子さんを含めて新旧青春スターの競演も見どころとなっている。
滋賀の五個荘の屋敷を借りきったという湖山邸を舞台として背景の景色は美しく、役者が映らないシーンでも、明らかに墨絵のテーマを意識した画作りとなっており趣がある。さらに、ちはやふるでもおなじみ横山克さんの繊細なメロディはこの映画でも健在、期待通りの作品となっていた。
清々しい青春映画
スポーツ報知さんの試写会で拝見。
水墨画について私は全然詳しくないので、どの程度の質と再現性なのかとかがよく分かりませんでしたが、セリフに頼らずに絵と周りの反応だけで、技術だけが重要なのではなく、自分自身の心と向き合い自分を描く境地に至ることの大切さ、ということが伝わってくる描き方でした。
セリフにしない感情表現を読み取れない人には、陳腐でありがちで、説明不足で不親切に思えてしまうかもしれませんが、そこがいいと思えました。
そして、人気若手俳優二人のキャスティングをしながら、安易に恋愛方面に行かず、同じ道を進む同志として描いた清々しい青春ものという仕上がりに満足。
流星くん演じる主人公の姿に、頭の中で『君は天然色』を作詞した時の松本隆さんのエピソードが蘇りました。
清原果耶の表情や仕草の上手さは格別だと再認識しました。
爽やかで、少し涙腺を刺激する、良き作品だと思います。
ウルウルはしたけど、ワクワクしなかった
想像以上にハードなドラマを構築、線に滲む彼らの迷いと美しさに息を呑む
てっきりキラキラ青春ムービーかと思っていたら、もろカウンター食らったよ…。白黒の濃淡に滲む過去と新たな世界に涙が止まらない。
誠実に実写化したことで支持を集めた『ちはやふる』のチームが再び集結し、次に手掛けたテーマは水墨画。水墨画がなんて中学生くらいで習った雪舟くらいしかイメージない。しかしながら、あくまでテーマの1つであることをしっかりと伝えてくれるので問題なし。セリフの中にあるうんちくの様な言い回しもなく、ただただ忠実に紡いでいく。ここまで直向きさが染みる映画もなかなかない。
そんな中で描かれる線は、不思議と観ているこちらも魅了されていく。彼らの過程をなぞりながら、感性が分からずとも不思議と惹かれていくのだ。それと同時に、それぞれが向き合うべきものが線に滲んでいく。あまり多くは語れないが、霜介の過去が何だったのか、向き合うべき線の行方に、この作品が描こうとしているモノの大きさを感じるのであった。その強さは社会派として括ってもあながち間違いではない。
主演は横浜流星さん。強い姿を多く見せても弱い姿を見ることはあまりない気がする。しかしながら、その凄さを改めて体感。真っ直ぐで力強い眼差しが水墨画と重なる。清原果耶さんは文句なしのヒロインだが、やはり年齢を掴みにくいのが惜しい。何にでもなれるからこその弊害と言っていいだろう。
そしてやはり、細田佳央太さんと河合優実さんの役回りは新たな発見と永く愛されるであろう片鱗を見せる。まだ大学生役だが、社会人役となった時、主人公の肩を叩くような役があまりにも似合う。その中で最も凄いのが、江口洋介さん。美味しい所ではあるけど、飄々とした中に隠した爪と柔らかさがもう…。笑
こういう秘密を持つと議論になりそうで心配だが、過程を見てくれれば大丈夫だろう。進むために必要だと気づけるはずだから。
全218件中、201~218件目を表示