劇場公開日 2022年10月21日

  • 予告編を見る

「いつから絵を描かなくなったのだろう」線は、僕を描く ROKUxさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いつから絵を描かなくなったのだろう

2022年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

保育所から小学校の頃までは、暇さえあれば絵を描いてる子供だった。たぶん描いているのが楽しくてしょうがなかったんだろう。それがいつの頃からか、練習をするためだったり、賞を獲るためだったり、画力を自慢するためだったり、とにかく何か描くことに「意味」がなければ描けなくなってしまった。
この映画は、そんな私に、描くことの素晴らしさをもういちど思い出させてくれた。特に、前半では、描きたくて描きたくてなんだかもううずうずしていた。
食材を求めて農家を回るシーンで、水墨画が自然と不可分の関係であることを、しっかりと主張してくれたのには感動した。そういう、絵を描くことの「奥深さ」のようなものが、後半より強く表現されるものと思っていたが、そこは期待外れだった。

役者の中では江口洋介がよかった。彼は、ヤクザや強面の人物より、『一つ屋根の下』の「あんちゃん」がやはりいちばんよく似合う。
三浦友和も生き生きと演じていた。道を極めた人はきっぱりとした物言いをする。水墨画家篠田湖山の飄々としてかつ高潔な人柄がよく出ていたと思う。

ROKUx