「くびったけ」線は、僕を描く ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
くびったけ
水墨画の映画…?とどんな風に仕上がるんだろうと思いながらほのかに期待しつつ鑑賞。
少しだけ気になるところはありましたが、全体的に濃密な物語を堪能する事ができました。
弟子入りまでの速さは尋常じゃないですが、先生のキャラがキャラなんでそこまで違和感を感じないというのも良い意味でずるいなぁと思いました。
水墨画をしっとり描きつつも、小さな動きから大きな動き、墨汁の濃さ薄さ、背景とメインの描くものの対比など、一つの紙で独自の世界観を広げていくシーンが印象的でした。それぞれが手持ちの筆、それ以外にもTシャツや手を用いたりとこれまた迫力を増していっていました。水墨画にハマる瞬間もそのカットのみで分かりやすく描いているのも流石やな〜と思いました。
役者陣の台詞回しは勿論、息遣いや筆のスピードなど、一つ一つの動作がキレッキレで良かったです。清原果耶さんの横顔が抜群に凛々しかったです。隙のない演技合戦を堪能する事ができました。
主題歌の「くびったけ」も短い曲なんですが、映画を濃縮した様なワードセンスの光る楽曲でした。和の世界観に圧倒的なスピードが合わさっており、エンドロールの墨の流れる様子とともに最後にまたテンションを上げてくれました。
少し蛇足だったなと思ったのが霜介の家族が災害で亡くなったというシーンを明かすまでが少し長く、現場まで行ったりするのもわざわざやることかなと思ってしまいました。主人公に葛藤を背負わせるのはセオリーだと思いますが、ここまで重荷を背負わせた割には解決までのスピードが音速だったのも不思議でした。
テンポ良く進み、成長を描き切る、映画としての根幹がしっかりしていました。人入りもそこそこ入っていたので、ロングランを期待します。
鑑賞日 10/22
鑑賞時間 10:00〜12:00
座席 H-19