「好きです」線は、僕を描く おナスさんの映画レビュー(感想・評価)
好きです
とても良い映画でした!
冒頭から横浜流星さん演じる霜介の表情に心を掴まれ、一瞬で物語に惹き込まれます。
その後にある水墨画パフォーマンスに圧倒され、釘付けでした。凄いです!
劇中に水墨画を描くシーンは沢山出てきますが、線を描くシュッという音や小皿で水を切る音がとても心地よく、白と黒だけなのにあんなに色鮮やかな生きた絵になるのが本当に凄い....
流星さんは1年以上かけて水墨画を練習されていたと聞いて、役に対する姿勢が本当に素晴しいですね。
霜介は過去のとある出来事で時が止まっていて空っぽな雰囲気がありますが、水墨画との出会いや三浦友和さん演じる湖山先生や江口洋介さん演じる西濱さん達と家族のような穏やかな日々を送っている姿に温かな気持ちになります。
ですが、前に進めないでいる理由を知ってからそれらの日々を振り返ると涙が止まりません。
楽しそうに水墨画を描く様子、周りの人達と関わることで明るくなる変わる様子、寂しげな表情、涙、どこを切り取っても繊細に演じられている流星さんのお芝居はとても魅力的でいつも心を奪われてしまい目が離せなくなります。
また、清原果耶さん演じていた強くて美しい、だけど心を閉ざしている千瑛も素晴らしかったです。強いだけではなく優しく弱い姿、表情ひとつひとつがとても繊細で一瞬も目が離せません。流石です。お着物姿はうっとりするほど美しいですね...
湖山先生の優しくて可愛らしい雰囲気もほっこりするのですが、西濱さんのカッコ良さにしびれました。気のいいお兄さんかと思いきや、水墨画を描く姿にしびれました!!
湖山先生や西濱さんが伝えてくれる言葉の数々が心に残ります。
「出来るできないじゃなく、やるかやらないかだよ」「何かになるんじゃなくて、変わっていくものなのかもね」
自分自身に刺さりました。
三浦さん江口さんの存在がとても大きくて、若い2人を支えてくれていますね。
予告を見ていて、霜介の喪失と再生の物語だと思っていましたが、霜介と千瑛2人の物語だったんですね。2人の友情でも愛情でもない、ライバル?戦友?のようなとても良い距離感の関係がとてもよかったです。
「線は、僕を描く」というタイトルの意味が見終わって初めてわかりました。私の線は見つけられていない気がする...
あとはエンドロールがとっても素敵でした。作品の余韻を感じられて、見終わった後の満足感が半端ないです。
音楽も素晴らしかったし映像もとても綺麗で、書ききれないことが沢山あります。
原作を読んでから、是非また映画を観にいきたいと思っています!