劇場公開日 2022年5月21日

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「暴力の津波」ドンバス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0暴力の津波

2022年5月24日
PCから投稿

ドキュメンタリー監督による、まさかの「ブラックコメディ」。
冒頭から、役者が役者を演じて、「ウクライナ軍のテロで、ノボロシアの市民が命を落としました」とフェイクニュースを作っている現場を撮っているのを見て、すぐに「ドキュメンタリーじゃない」とわかりました。

ウクライナ内で起きている、親ロシア・ノボロシア政府の実話(悪行)を、NHK『LIFE』のノリで、役者を使って大袈裟に再現したコント。
皮肉と風刺、批判、揶揄の混ざった「おちょくり」の精神で描かれますが、だいたいが登場人物の誰かの「命」か「尊厳」か「財産」か「人権」かが、「奪われる」のがオチで笑えません。
TVで流れない大川興業のライブや、アメリカの『サウスパーク』が近いかも。
暴力の津波な舞台が12連発。
尺の半分くらいからちょっとウンザリしてしまいました。

その批判攻撃の手はノボロシア政府相手だけでなく、党派性や祖国への愛着を飛び越えて、同じくらいウクライナ軍や政府へも及び、不正ややる気のなさをおちょくっていました。

映画から自分が感じたのは、
「むしろ理解が遠のいた」
「善悪は簡単じゃない」
「2つの国が抱く歴史も感情も複雑で一口には言えない」
「ロシアは全く信用できないが、ウクライナもあまり信用できない」
「振り回される市民は被害者だが、身を守るために時に加害者になる」
ですかね。
とはいえ、「だからといって侵略と虐殺は正当化できない」
とも思いましたね。
おそロシア。

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コージィ日本犬