「トリックの連続と英国人仕立て屋の丁寧な物腰や仕事ぶりが魅力的な作品」アウトフィット 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
トリックの連続と英国人仕立て屋の丁寧な物腰や仕事ぶりが魅力的な作品
クリックして本文を読む
本作は1950年代のシカゴを舞台とするマフィア映画である。アウトフィットとはシカゴ・マフィアの組織の名称で、古くはアル・カポネが率いていたグループだ。
ここではどうやらアウトフィットの下部組織らしきマフィア2グループが部分的な縄張り争いを繰り広げる中、その1グループにいいように使われている仕立て屋が、策略を弄して2グループをともに潰してしまうという痛快なお話である。
マフィアの親分の倅と用心棒の仲違いとか、アウトフィットからの連絡でFBIによる盗聴やラット=密告屋の存在を疑う疑心暗鬼、受付の女の子の謎めいた言動等を使って、次々にどんでん返しを繰り返す展開は、何やら「スティング」を思わせる巧妙さ。最後に決着がついたと思った後も、さらに主人公の履歴のどんでん返しが待っていて、サービス精神が旺盛というしかない。
また、トリックの連続という魅力の他に、本作には仕立て屋の落ち着いた仕事ぶり。語りの英国人らしい実直で丁寧な物言い、物腰の魅力もまた大きい。いい映画である。
コメントする