アウトフィットのレビュー・感想・評価
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【”私は野蛮ではない。善人になりたい。”サヴィル・ロウで経験を積んだ英国人テーラーのシカゴの店で起きたマーク・ライランスの魅力あふれる密室スリリングサスペンス。】
■ロンドンにある町、サヴィル・ロウで経験を積んだ英国人テーラーのレオナルド(マーク・ライランス)。
ジーンズの流行により店を畳んだ彼はシカゴへ移り、寂れた町の片隅で再び仕立屋を営んでいた。だが、彼の作る見事な服に袖を通すのは凶悪なギャングのファミリーだった。
◆感想
・冒頭の、レオナルドが型紙を切り、布を鋏で裁断し、背広を仕立てていく様が、今作のスタートである。その後の予想の可なり斜め上を行く展開になるとは、思わない。
店には、メイプルと言う女性店員が一人だけ。
・そこにやって来るのは、シカゴのボイル一家の跡継ぎリッチーとフランシスである。どうもレオナルドの仕立て屋はマフィアの集まりの場でもあるようである。
徐々に分かるのは、マフィアのドン、ロイ・ボイルが彼の仕立てた背広が気に入ったかららしい。
・リッチーとフランシスは抗争相手のラ・フォンテーヌとの抗争で、リッチーだけ腹を負傷して戻って来る。レオナルドは命じられるままにリッチーの腹の傷を縫うのだが、徐々にリッチーとフランシスとの確執が明らかになり、フランシスはリッチーを撃ち殺し、木箱の中に死体を隠す。
・そこにやって来たロイ・ボイルと部下。ボイルは息子の行方を問うが、レオナルドは咄嗟に嘘を付く。
<今作は、そこからの、明かされるレオナルドのロンドンでの過去と起こった悲劇と、メイプルと二人で仕掛けたロイ一家とラ・フォンテーヌ一家を手玉に取って行く練りに練った企みが、スリリングな状況の中で展開する様が面白き小品である。
良く出来た、密室劇である。舞台にしても良いのではないかな。>
テーラー
イギリスで修行した紳士服専門のテーラー。
手仕事がお見事。
いくつもの工程の説明も引き込まれた。
穏やかな職人の日常…かと思いきや、マフィアの抗争。
二転三転する展開にも引き込まれたあっという間にエンドロール。
すごいね、これを考えた人。
舞台はずっとテーラーの店内。
使い込まれた道具が並ぶ空間にもワクワクした。
登場人物も限られ、店を出たり入ったり。
もしかしたらあまりお金がかかってない、とか?
でも良質な舞台を鑑賞したような気分になった。
舞台劇は観たことないけど。笑
見応えあり
おじいちゃんといっていい年季の入った洋服の仕立て屋の店がマフィア...
おじいちゃんといっていい年季の入った洋服の仕立て屋の店がマフィアの連絡場所になっていて、しょっちゅうギャングたちが出入りしている。その店で起きる一晩の出来事がマフィアの勢力図を塗り替えてしまう。
舞台は仕立て屋の店内だけなので舞台劇にといってもいい。突然、負傷したギャングが駆け込んできても動じず、落ち着いて対応する仕立て屋(マーク・ライランス)が若いギャングたちより頼もしく見えてくる。状況が猫の目のように変わっても臨機応変にギャングたちを手玉に取って、危機を切りぬけていく様子にはただ者ではない風格すらあった。
最後にはなるほどと納得させられる過去がわかるのだが、その練られた脚本がすばらしい。
スパイは必ずしもスパイ然としてはいない。むしろスパイらしくない者こそ疑うべきだが、マーク・ライランスはその風采にぴったりで適役だった。
仕立て屋と呼ぶな
映画は脚本
仕立屋ではなく裁断師
主人公はイギリス人裁断師で、今はシカゴで仕立屋をやっている。
女性の受付をおいているが、ギャングの息子と親しいようだ。
ある夜、その息子が撃たれて担ぎ込まれる。
ここから二転三転のドラマが展開し、見ていてとても痛快だ。
渋い
配役の妙
概要によると監督のGraham Mooreはイミテーションゲーム(2014)の脚本を書いた人でこれが初監督だそうだ。
緻密なセリフ回しで持って行く戯曲のような作劇法で書かれていて、この主役に演劇寄りのマークライランスが充ててあるのは道理だった。
しかし共演者がゾーイドゥイッチなので一瞬頭にハテナマークがよぎる。ライランスとドゥイッチ。ちぐはぐなキャスティングがいやがうえにも見たい欲をそそった。
英国人の裁断師レナードバーリング(ライランス)の店にはアイリッシュモブのドロップボックスがある。レナードは堅気だが無関心とひきかえに汚金の一時保管場所を容認している。
ロンドンにはサヴィル・ロウという有名なオーダーメイド紳士服店だらけの通りがあり、そこの出身者は、(はさ)み1つでどこでもビスポークがひらける。
だが英国から追われたのは業界がブルージーンズ(既製服)に蚕食されたからだ。と、(表向きは)自嘲的に言うのだった。
店の受付嬢メイブル(ドゥイッチ)を娘のように想っていて、モブとねんごろになっている様子をはらはらしながら見守っている。が、界隈で生きてきたメイブルは意外にしたたかだ。
タイトルのアウトフィットとは、アルカポネが設立したモブたちの上位組織。
その指令書がドロップされてモブ一家はにわかに緊張する。リッチーはボスの息子だが軽佻で、フランシスは酷薄な忠臣、ふたりが情報提供者をめぐって対立するのをきっかけに、欺し合いの舌戦が繰り広げられる。
映画内の登場人物どうしの欺し合いと、映画自体の隠し事を相乗させてスリラーを盛り上げていく、作家らしい濃さがあった。
全編室内の密室劇だが、衣装賞になりそうな50年代の雰囲気を伝えている。役も適材を充て、それぞれが個を発揮している。ドゥイッチも渋くなりすぎを中和する華だった。
プロダクションデザインが完成されていて初監督作とは思えない。
Imdb7.2、RottenTomatoes85%と92%。
Tomatoesの複数の批評家からヒッチコックという言葉があがっていたが、まったくヒッチコック的ではない。おそらくロープやダイヤルMみたいな密室ものから連想したんだと思うが、これは舞台っぽいが、ヒッチコックは舞台っぽくない。ウィットみたいなものはなくアメリカらしくあっさりしているし撮り方も一般的。
筋はスリリングだが地味にまとまる。謀略でもっていくというより、咄嗟の気転で、なんとなくうまくいった──という感が強かった。
なおFBIの録音媒体がカセットテープのように見えたがフィリップス社がカセットテープを規格化したのは1962年だそうだ。
The Drop(2014)という映画があった。組織の金の一時保管場所となっているバーが舞台。バーリングの店同様、毎日汚い金がDropされるからThe Drop。
監督はMichaël R. Roskamでトムハーディやジャームズガンドルフィーニが出ている。クライムヒートという“ちゃち”な邦題が付けられて埋もれたがストイックで最高な映画だった。
秀逸…
マーク・ライランス演じる英国人仕立屋の実直な語り口が華麗なるどんでん返しを更に引き立てる。ラスト心地良くスマートに終わるかと思いきや、まさかの仕立屋の過去がわかり、蛇足な気もするし、彼の次なる行き先の続編が見たい気もする。時間も短く丁度良い。
トリックの連続と英国人仕立て屋の丁寧な物腰や仕事ぶりが魅力的な作品
本作は1950年代のシカゴを舞台とするマフィア映画である。アウトフィットとはシカゴ・マフィアの組織の名称で、古くはアル・カポネが率いていたグループだ。
ここではどうやらアウトフィットの下部組織らしきマフィア2グループが部分的な縄張り争いを繰り広げる中、その1グループにいいように使われている仕立て屋が、策略を弄して2グループをともに潰してしまうという痛快なお話である。
マフィアの親分の倅と用心棒の仲違いとか、アウトフィットからの連絡でFBIによる盗聴やラット=密告屋の存在を疑う疑心暗鬼、受付の女の子の謎めいた言動等を使って、次々にどんでん返しを繰り返す展開は、何やら「スティング」を思わせる巧妙さ。最後に決着がついたと思った後も、さらに主人公の履歴のどんでん返しが待っていて、サービス精神が旺盛というしかない。
また、トリックの連続という魅力の他に、本作には仕立て屋の落ち着いた仕事ぶり。語りの英国人らしい実直で丁寧な物言い、物腰の魅力もまた大きい。いい映画である。
ダンディーでジェントルマン
タイトルなし(ネタバレ)
ミステリーでかなり計算はされているが、結論は勧善懲悪。
裁断師は布目に合せて、ネスティングが必要だ。
つまり、裁断する場合、一番大事な事は経済的に最大の利益が出るように裁断せねばならない。
だから、完璧は望めなかったが、シカゴ警察でも、わかるんじゃ無いかなあ。どこか矛盾がある。しかし『完璧じゃない』と言ってんだらか良しとしよう。
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