「先生の針が恋しゅうございます」仕掛人・藤枝梅安2 ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
先生の針が恋しゅうございます
1作目の終わりで予告されていた待望の続編。今回は京を舞台に彦次郎にまつわる話…と思いきや、それだけでは終わらせない。梅安のもうひとつの過去バナに、この時代でも髪の量が多すぎて後ろにまとめている(違うか)佐藤浩市を強敵としてぶっ込んできて、クライマックスを盛り上げてくれる。
登場人物の誰もが脛に疵を持ち、そこは主人公も例外ではなく、薄暗い過去から来る弱さを抱えているのがいい。人妻に女を教わり(篠原ゆき子というのがまた絶妙)、死を覚悟した闘いを前に、鍋のハゼをちゅうちゅう吸うようにおもんにむしゃぶりつかずにはいられないトヨエツ梅安。闇のヒーローとはいえ実に人間味がある。今作は愛之助とのブロマンス要素より、女にモテモテのトヨエツ全開であり、言い換えればそんなモテモテ許すまじで命を狙われているわけである。
仕掛けのシーンは際限なく殴り合うバトルもののようなクドさがなく、潔く終わる。山犬の眼・桔平の最期なんか毒薬&縛り首というカッコ悪さ(笑)。裏切り必至のアウトレイジにしか見えなかった白子屋・石橋蓮司が信頼のおける蔓というのは意外性があった。
エンドロール後の幸四郎についてはちょっとググったところ、来年に池波正太郎バースが続くということらしい。本作1・2とも堪能した身としちゃあ、梅安先生にはもう1本ぐれえ針を打ってもらいてえもんだが。
コメントする