「いつしか」ぼくらのよあけ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
いつしか
10年以上前の作品を今映画化…?と不思議に思いましたが、どう転ぶのかなと気になったので鑑賞。
うーん、全体的に面白く無い雰囲気やギスギスした雰囲気がずっと蔓延っていて、話も複雑化したまま終わりへ向かっていって、お話としての納得ができないままエンドロールへ突入してしまいました。「雨を告げる漂流団地」とまさかの団地被りですが、漂流団地の方が面白さは上回っていたと思います。
まず良いところを挙げていくと、世界観を表現するための宇宙の映像はとても良かったと思います。幻想的な世界を大スクリーンで堪能できるので、その面では楽しめました。主題歌もマッチしていて良かったです。
あとは微妙だったり悪かった点だったりばかりです。列挙していきます。
・声優陣のミスマッチ
決して下手な人はいなかったのですが、杉咲花さんはかなりミスマッチだったと思います。声優としての表現力はすごいと思うんですが、全体的に煩い感じが琴線に響いてしまい、前半は特に疲れました。「サイダーのように言葉が湧き上がる」の時は全体的に落ち着いた雰囲気の役だったので合っていたんですが、ここは表現力が仇になったなって感じです。花澤香菜さん、細谷佳正さん、津田健次郎さんはじめプロの声優陣も完全に無駄遣いだなと思いました。近年でもトップクラスに使い方の下手な映画だなと思いました。悠木碧さんの可愛らしさは全面的に出ていたのが救いでした。
・時々起こるぶっ飛び要素
この作品、女子の腕力が異常です。まず花香が屋上で真悟を突き飛ばすシーン、いくら体勢が崩れたとはいえ、そこから転落するまでの流れは強引すぎじゃないかなと思いました。ピンチを作るにしても中途半端な場面ですし、それをお姉ちゃんが助けて腕捻るとか規模の大小がデカすぎてもう訳わからんかったです。あと悠真のお母さんが故意に花香のお父さんを過去に屋上から落としてしまった様子も描写されるんですが、これまた肩の力だけで振り回して落とすという超パワーを見せつけてくれます。もう少し変化をつけられなかったのかなとも思いましたし、そんな事があった後に何の確執も見られなかったのも違和感を増している原因にもなっています。
・姉の必要性
真悟の姉はたびたび登場するんですが、いてもいなくても同じようなキャラだなと思いました。とりあえず他人の目を気にするキャラとしての立ち位置だったとは思いますが、それで踏み出すようなキャラもいませんし、ただただ自己満で済ませているようなキャラでした。ギャーピー騒いでいるだけなのでかなり不快なキャラで終わってしまった印象です。
・知識のいるワードの連発
宇宙を題材にしているので、ある程度知識はいるんだろうなと基礎的な宇宙のことを調べてみましたが、その知識では足りないくらい聞いたことのないワードが散りばめられていました。全員に分かりやすくというのはエゴなので強く言えませんが、観客を置いてけぼりにして物語を進めていく強引さはどうなのかなと思った次第です。
映画化そのものが失敗とまでとはいきませんが、120分の尺を使い切れてはいませんし、物語そのものが面白く無い状態で進んだので乗れなかったです。そこそこ期待してただけに残念です。
鑑賞日 10/23
鑑賞時間 17:30〜19:40
座席 G-9