「1979年、米国テキサス。 若手女優のマキシーン(ミア・ゴス)は、...」X エックス りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
1979年、米国テキサス。 若手女優のマキシーン(ミア・ゴス)は、...
1979年、米国テキサス。
若手女優のマキシーン(ミア・ゴス)は、恋人でプロデューサーのウェイン(マーティン・ヘンダーソン)が製作する映画に出演することになったが、緊張が絶えない。
というのも「X指定」の映画なのだ。
映画は田舎の農場の一軒家で撮ることになっている。
一行は全部で6人。
もうひとりの主演女優、ブロンドのボビー・リン(ブリタニー・スノウ)とベトナム帰還兵で黒人男優のジャクソン(スコット・メスカディ)。
撮影兼初監督を務める学生RJ(オーウェン・キャンベル)と恋人で録音担当のロレイン(ジェナ・オルテガ)。
日が沈まぬうちに、と撮りはじめたが・・・
といったところからはじまる物語で、訪れた農場の老夫婦が殺人鬼だという、まぁ、米国都市伝説「アメリカン・ゴシック」の系譜。
田舎町なので、皆が旧弊でガチガチのクリスチャン。
途中寄った売店では、キリスト教の説教番組が絶えず流れている。
殺人老夫婦もガチガチのクリスチャンで、新しい価値観に反感を抱いている・・・のは確かなのだが、妙にヘン。
老いた妻がいつまでの性欲が抜けず、老いた夫を求める。
が、夫は心臓が悪く、応えることが出来ない。
と、新旧二世代のお色気コメディでもあるので、これ、本国ではゲラゲラ笑いながら観られたんだろうなぁと推察。
RJが撮る16mmフィルムの映像と、映画本来のデジタル・シネスコ画面のクロスカッティングや、デ・パルマもビックリなスプリット・スクリーンと、映画表現の計算されたお遊びも、なかなか楽しい。
なお、スプリット・スクリーンは、映画のもうひとつのお楽しみ(後述)への伏線と読み取ることも可能。
で、後半は、ゴア描写満載の殺戮オンパレードなのだが、『サイコ』(沼に沈んだ自動車)や『悪魔の沼』(ワニに食われちゃう)などを彷彿とさせるシーンも登場。
若手女優のマキシーンの正体(物語上の)がわかる最終盤の演出なども才気を感じるし、老いた妻の正体(こちらは役者。スプリット・スクリーンの伏線の回収)なども驚くギミックが仕掛けられている。
なお、映画最後にRJが撮影していたカメラが発見され、「何を撮っていたのか」という警官の答えも面白い。
これは『食人族』のパロディね。
ということで、ゲラゲラ笑いながら観るのがよろしい、ホラーコメディということで。
『ロッキー・ホラー・ショー』のようなイベント上映があってもいいでしょうね。
(もう、あった?)