「なんと魅力的なジジイとババアか」X エックス nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)
なんと魅力的なジジイとババアか
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シチュエーションは古典的で所謂ホラーとしてはビックリ系に当たる。
ただとにかくまともからかけ離れた位置からぶっ放していく爺さんと婆さんのキャラ立ちが凄い。登場から被害妄想が激しく思い込みの強い爺さんと窓からじっとこちらを見つめる干からびた婆さんはそこにいるだけで背筋をゾクッとさせてくる。
特に婆さんのいい具合にみすぼらしい格好とシミだらけの顔にボサボサの白髪頭は非常に感情を掻き立ててくる。
若さへの執着と異様なまでの愛への渇望が衝動へと移り変わっていく様は見ていて恐ろしくもありつつ、何故かワクワク感も引き出された。
それもこれもやはりキャラクターのインパクトによるものか。
ただ老いへの恐怖というのは誰しも共通で、どこかシンパシーも覚えてしまった。好き勝手に振る舞い、若さにあぐらをかきながら欲に溺れる男女を前に本能が暴走するのも無理ないか と思えてしまうからまあ困ったものである。
またゴア描写もそれなりに激しくもあるが、A24だけあって色彩と場面の描き方が美しい。特に婆さんが血飛沫の飛んだヘッドライトに照らされ踊るシーンは何故か妙な高揚感を覚えてしまった。
前日譚も描かれるようだが、今作によって婆さんが若さを謳歌していた過去というのがより引き立つ構造にもなっており非常に楽しみ。
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