劇場公開日 2022年7月15日 PROMOTION

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ボイリング・ポイント 沸騰 : 特集

2022年7月11日更新

編集部【とにかく観たい映画】…これ絶対面白いやつ!
正真正銘の90分ワンカット、1分に1度事件が起きる!
SNS上で特大バズ→観たら大満足の“良作”だった!

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これほどまでに、映画的好奇心を刺激する作品がほかにあっただろうか? 7月15日から公開される「ボイリング・ポイント 沸騰」は、まさに奇跡のような一作である。

本作最大の特徴は、何と言っても「90分ワンカットで“超忙し”の高級レストランを描く」こと。しかも疑似ワンカットではなく、ノー編集・ノーCG……つまり正真正銘のワンカットなのだ。

Twitter上では「ボイリング・ポイント 沸騰」のプレビューが6万いいねを獲得するなど、すでに話題も沸騰状態。本作を「とにかく観たかった映画」と語る映画.com編集部員Oが、実際に鑑賞したうえで、その魅力のすみずみを解説。レビューも交え、強烈にレコメンドしていく。

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※Tips…ワンカットとは? ワンショット/長回しとも言われる。編集などでカットを割らず、ひと続きのシーンとして撮影すること。「1時間以上撮影しても、途中で演技が失敗したら最初からやり直し」など難易度が高い手法として知られている。


【あらすじ】崖っぷちシェフの波乱に満ちた一夜 最高にスパイシーなジェットコースタームービー
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一年で最もにぎわうクリスマス前の金曜日。ロンドンにある人気高級レストランのオーナーシェフのアンディ(スティーブン・グレアム)は、妻子との別居や衛生管理検査で店の評価が下げられるなど、さまざまなトラブルに見舞われて疲れ切っていた。

そんななか、アンディは気を取り直してディナータイムを迎えるが、あまりの予約の多さにスタッフたちは一触即発状態となっていた。さらにアンディのライバルシェフが有名グルメ評論家を連れて突然来店し、脅迫まがいの取引を持ちかけてくる。

もはや心身の限界を超えつつあるアンディ。波乱に満ちた一日を切り抜けられるのか……。



【何が何でも観たい映画】評判が1.6万RT、6万いいね
“ガチ”90分ワンカットを実現した【奇跡の逸品】

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[作品解説]疑似ではない“正真正銘の長尺ワンカット”に挑んだ、規格外の野心作

予告編をご覧いただければ、まず間違いなく「観に行こう」と決心するはず。期待感が胸のうちで暴れまわり、体の底からつき上がる強烈な好奇心を押さえきれるわけがない。

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本作の特徴は“ガチ”90分間ワンカット。本編の最初から最後までを、カットをかけずにやり通すため、芝居のNGは出せない。「主人公のセリフ直後、人物Aが横から入って口を挟む」などタイミングもあわせなければいけない。役者だけでなく、当然スタッフの些細なミスも許されないのだ。

ゆえに、本作が完成していることがまず信じられない。しかも、そこそこの出来栄えではなく、感嘆するほどの完成度に仕上がっていることは、もはや奇跡としか言いようがない。

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[世界が絶賛]批評家・観客ともに極大の高評価「とてつもない没入感」

製作国イギリスを含む世界中ですでに公開されており、(当然というべきか)すさまじい高い評価を獲得している。

辛口で知られる映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では99%フレッシュ(2022年3月末時点)で、英国アカデミー賞では作品賞含む4部門にノミネート。さらに英国インディペンデント映画賞(BIFA)では最多11部門にノミネートされ、そのうち4部門(助演女優賞、キャスティング賞、撮影賞、録音賞)を受賞している。

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当然、海外メディアも絶賛。イギリスの大手新聞The Guardianは、「パニックが加速していくリアルな体験、とてつもない没入感。途切れることのない連続した映像は、螺旋状に落ちていく物語を過剰なぐらい面白くする。心を打つ骨太のドラマだ」と激賞している。

……観れば必ずや、あなたの血をも沸騰させるであろう規格外の野心作。それが「ボイリング・ポイント 沸騰」である。

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【実際に観た】期待を軽々超える“とんでもない映画”
予想を裏切るスリル、失神寸前の面白さ…何度も観たい

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この作品がどのように製作されたのか、その舞台裏は別の記事に譲るとして……ここからはレビューをお届け。実際に鑑賞した映画.com編集部員Oが、特に興奮した事柄を記述していく。


[狂気的なまでに緻密]本当にワンカットだ…驚きを通り越して恐怖すら感じる

もともと、本作は「2022年公開作でめちゃくちゃ観たかった一本」だった。鑑賞して真っ先に感じたことは、少し歪な表現かも知れないが、なんと“恐怖”だった。といってもホラー的恐怖ではなく、これほどの作品を作り上げた、製作陣の怨念にも似た熱意に対する畏怖である。

物語はアンディが大遅刻をかまし、そそくさと店に入るシーンから始まる。開店準備に大忙しの従業員たちと挨拶を交わしながら、厨房へ歩を進める。仕込みを済ませ、やがて“100人以上が予約している”という狂乱のディナータイムを迎える。

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客が次々にテーブルにつく。注文が入る。厨房で前菜やメインやさまざまな料理が出来上がる。フロアスタッフが席へ運ぶ。合間に何らかのトラブルが起こる……これが目まぐるしく続く。どれもこれも複雑なシークエンスだが、カットは一切なし。編集の痕跡もなし。本当にワンカットだ――狂気的なまでに緻密に計算された映像世界が広がる。

12年間シェフとして働いた経験のあるフィリップ・バランティーニ監督が紡いだ物語と演出に、レストラン(ロンドンに実際にある人気店で撮影)を縦横無尽に動き回るカメラワークや、俳優たちの即興的演技が加わる。

約92分間、極限まで凝縮された臨場感と、尋常でない没入感を味わうことができ、まさに息つく間もないままエンドロールを迎えることになった。

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[動悸がするほどスリリング]物語を盛り上げる要素…1分に1回事件が起きる!

ワンカットという手法が筆者にメタ的なスリルを与え、さらに物語で巻き起こる“事件”もスリルを与えてくれた。

客から注文が殺到、殺到、殺到……料理を作り、サーブする間、ほとんどのべつ幕なしに何らかのトラブルが発生。とんでもなくハラハラする。これこそが、本作をさらに面白くしている最大の要因である。

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以下、例を出してみよう。

・そもそも主人公アンディが最悪のコンディション(妻と別れて家がなく、事務所で寝泊まり)

・発注ミスにより大事な食材が届いていない(発注ミスしたのはアンディ)

・「ステーキ焼いてくれ(メニューにない)」とヘラヘラ注文するインフルエンサー

・客の1人が人種差別主義者で、そのテーブルの担当が黒人女性スタッフになってしまう

・ある女性客がアレルギー持ちだと当日に発覚→メモ書きを厨房に渡す(本来はシステムに情報登録しないといけない)

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などなど、トラブルが殺到する注文と同じくらいの速度と頻度でやってくる。普通の映画だったら、休日の主人公が湖のほとりで1人たたずみ、悩む……みたいな小休止的シークエンスを入れるところを、本作はワンカットなので休憩すら許されない。猛烈なスピード感だ。

ちなみに上記のトラブル例は、実はまだまだ序の口。本編ではもっと「うわ、そりゃそうなるけど、うわ……」となる事件のつるべ打ちだ。日常的な細かなミスの積み重ねが、やがて重大なアクシデントへ発展するメカニズムが可視化されており、レストラン関係者などが観たら失神するのでは?とも思い、リアルな描写にもうならされた。

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[価値観変えるほどの逸品]人間ドラマも良い…こんなに面白い映画と出合えた喜びよ

90分間ワンカットに、トラブルだらけの物語展開。そこへさらに主演スティーブン・グレアムらの“何かが降りてきてしまっている”熱演や、トラブルが人間の内情を浮き彫りにするサスペンスフルかつ心揺さぶるドラマが、スクリーンという大鍋にぶち込まれる。

すべてが渾然一体となって響き合うハイクオリティの映像世界。観る間、「こんなに面白い映画があるんだ」とほとほと感激させられた。

映画の可能性をまだまだ感じさせ、これまでの価値観をガラリと変えてしまうほどの力強さに満ちた逸品。いち早く鑑賞してほしい。

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